検査値ノート一覧へ

Lab values · Published

血清IL-18

Serum IL-18

別名
インターロイキン18
臓器系
免疫・膠原病
科目
Pediatrics
トピック
小児科 3-33:全身性エリテマトーデス・強皮症・皮膚筋炎・血球貪食性リンパ組織球症
関連疾患
Still肺病変成人発症Still病

🧠 全体像:血清IL-18はが処理するで、「高値」の中に何段階もの意味がある検査である。中等度の高値は成人発症Still病・の診断を支持する所見にとどまるが、健常域の数百倍という桁違いの高値は、(MAS)やNLRC4異常症のような、より激しい炎症・の病態を強く示唆する。数値の「桁」を読み分けることが実務上の要点になる。

何を測っているか

IL-18はIL-1ファミリーに属するサイトカインで、他のIL-1ファミリーサイトカインと同様に不活性な前駆体(プロIL-18)として細胞内に蓄えられ、が活性化するとカスパーゼ-1による切断を受けて活性型として細胞外へ放出される。IL-1βと共通の経路を使うが、産生細胞・作用の的が異なり、NK細胞・T細胞を刺激して産生を促す点が特徴である。

flowchart TD
    A["自然免疫の活性化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammasome'>インフラマソーム</span>の活性化"] --> B["カスパーゼ-1がプロIL-18を切断"]
    B --> C["活性型IL-18が細胞外へ放出"]
    C --> D["NK細胞・T細胞を刺激し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interferon gamma'>インターフェロンγ</span>産生を促す"]
    D --> E["マクロファージのさらなる活性化"]
    E -->|"制御を外れると"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='macrophage activation syndrome (MAS)'>マクロファージ活性化症候群</span>"]

💡 IL-18(IL-18BP)が濃度の解釈を複雑にする。 血中では大部分のIL-18がIL-18BPと結合したとして存在し、遊離型(フリー)IL-18だけが生物活性をもつ。通常の臨床検査で報告される「血清IL-18」は多くの場合総IL-18(結合型+遊離型)であり、活性の強さを直接表しているわけではない。

基準値と単位

pg/mLで報告されることが多いが、健常域は測定法・施設によって異なり数十〜数百pg/mL程度とされる。

状況 目安
健常域 測定法により異なる(数十〜数百pg/mL)
・全身型JIAの 高値だが、下記MASほどの桁には達しないことが多い
健常対照のおよそ500倍に達しうる1

⭐ 「高値の桁」を見る。 ある検証研究では、MASと家族性(fHLH)を鑑別するを24,000 pg/mLとしたとき感度83%・特異度94%が得られており、通常ののでみる高値とは一桁以上違う水準になることが診断の手掛かりになる1。

高値の意味

群 代表 手掛かり
の 、 S100蛋白とともにが診断を支持する2
・ Still病に合併するMAS、二次性 健常対照のおよそ500倍に達しうる桁違いの高値1
NLRC4異常症 NLRC4遺伝子のによる乳児期発症の によらず持続するかつ著明なIL-18高値が特徴とされる

⚠️ ののすべてでIL-18が同じように上がるわけではない。 の原因であるNLRP3遺伝子変異や、の原因であるMEFV遺伝子変異をもつ患者では、MASでみられるような水準までのIL-18上昇は検出されなかったと報告されている1。「関連疾患だから同じように上がる」と考えない。

⚠️ 測定上の注意

  • 施設・キットによって測定できる分子種(総IL-18か遊離型IL-18か)が異なりうる。総IL-18はIL-18BPと結合したを含むため、活性の強さをそのまま反映しない。
  • ・は測定法依存性が強く、複数施設・複数時点の値を単純に並べて比較しない。
  • (健常域の数百倍程度)を見たら、通常のの活動性というよりMAS・の切迫を積極的に疑う閾値として扱う。
  • 単独では確定診断にならない。・・フィブリノゲンなど他の、臨床経過とあわせて判断する。

経時変化とモニタリング

Still病・全身型JIAでは、が落ち着いている時期でも他の疾患に比べ高値が残ることがあり、単回値で寛解を判定する検査ではない。MASを疑う・リスクが高い時期は、など他のマーカーとあわせて頻回に確認する対象になる。IL-18を標的とする治療(組換えIL-18など)のも進んでおり、今後は治療反応性の指標としての位置づけも整理されていく領域である。

まとめ

  • 血清IL-18はが処理するサイトカインで、通常の検査は総IL-18(IL-18BP結合型を含む)を測っており活性の強さを直接示すわけではない。
  • 中等度の高値は・全身型JIAの診断を支持するが、健常対照のおよそ500倍に達する桁違いの高値はを強く示唆する。
  • NLRC4異常症でもが特徴的だが、(NLRP3)や(MEFV)ではMAS並みの上昇はみられない。
  • 単独では確定診断にならず、・・フィブリノゲンなど他のと組み合わせて判断する。

出典

  1. 1.Interleukin-18 diagnostically distinguishes and pathogenically promotes human and murine macrophage activation syndrome(Blood (American Society of Hematology)・2018)マクロファージ活性化症候群(MAS)の患者では血清IL-18が健常対照のおよそ500倍にまで著明高値になること、MASと家族性血球貪食性リンパ組織球症(fHLH)を鑑別するROC解析でカットオフ24,000 pg/mLとしたとき感度83%・特異度94%が得られたこと、NLRP3遺伝子変異(クリオピリン関連周期熱症候群)やMEFV遺伝子変異(家族性地中海熱)をもつ患者ではMASに近い水準のIL-18上昇は検出されなかったことを、PMC全文(PMC5877443)で確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.EULAR/PReS recommendations for the diagnosis and management of Still's disease, comprising systemic juvenile idiopathic arthritis and adult-onset Still's disease(European Alliance of Associations for Rheumatology / Paediatric Rheumatology European Society・2024)血清IL-18・S100蛋白の著明高値が成人発症Still病・全身型若年性特発性関節炎の診断を強く支持するため、測定可能なら測ることを推奨していること、IL-1β・IL-6・IL-18の過剰産生が病態の中心と考えられることを確認した。閲覧 2026-09-05