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Microbe Atlas · 細菌

Mycobacterium scrofulaceum

分類
抗酸菌 / Acid-fastMycobacterium
性状
抗酸菌 Acid-fast桿菌 Bacilli
科目
Medical Microbiology
トピック
2/33: Actinomyces and Nocardia genus, atypical and apathogenic mycobacteria
原因となる疾患
非結核性抗酸菌症

🧠 全体像M. scrofulaceumはRunyon II群(緩徐発育・)に属する)で、小児のを起こす代表菌として知られる。MACと臨床像がよく似ており、実際の診療では両者が同じ(小児)の原因として並んで扱われることが多い。菌自体の病原性は強くなく、治療の主軸が抗菌薬ではなく外科的切除である点が、など他の抗酸菌と一線を画す。

微生物学的な特徴

(発育速度・色素産生パターンによるの分類。枠組みはMACのノートを参照)でM. scrofulaceumII群(緩徐発育・に位置づけられる。とは光曝露の有無にかかわらず暗所でも黄色〜橙色の色素を産生する性質を指し、光曝露で初めて発色するI群(とはこの点で区別される。

他の抗酸菌と同じくを含む脂質細胞壁を持ち、グラム染色では染まりにくく、Ziehl-Neelsenで検出する。発育は緩徐で、培養に数週間を要する。土壌・水・生乳など環境中に広く分布する環境常在菌で、ヒト-ヒト感染はしない。

病原性の仕組み

病原性そのものは強くなく、免疫正常な小児でも感染が成立する点が、主に免疫不全者でを起こすMACと対照的である。菌は口咽頭から侵入し、所属リンパ節である頸部リンパ節へ到達してを起こす。のような強い傾向は乏しく、病変はほぼ常に頸部リンパ節に限局する。

感染経路と疫学

  • は土壌・水・生乳などの環境で、経口・経気道的に口咽頭から侵入すると考えられている
  • 好発年齢は1〜5歳の小児1。成人での感染はまれ
  • 現在の小児の原因菌としてはMACが最も頻度が高く(約80%)、M. scrofulaceumは他の複数菌種と並ぶ相対的に少数派の原因菌である2

起こす疾患:頸部リンパ節炎

診断

  • を認めたら、まず・化膿性リンパ節炎との鑑別を行う
  • 確定診断は生検組織・検体の抗酸菌培養とによる。感染でもにより陽性〜弱陽性となりうるため、結核との鑑別には使えない
  • 病理ではを伴うを認め、と組織像だけでは区別できない

治療と予防

  • 罹患リンパ節の外科的完全切除が第一選択治療であり、多くの症例で抗菌薬なしに治癒する3
  • 切除が困難な部位(顔面神経に近いなど)やでは、を中心とした抗菌薬治療を追加する1
  • 完全摘出を伴わないのみはのリスクを高めるため推奨されない

まとめ

  • Runyon II群(緩徐発育・)ので、環境常在菌としてヒト-ヒト感染はしない。
  • 1〜5歳の小児のを起こす代表菌の一つだが、現在はMACの方が頻度が高い。
  • 病変はほぼ頸部リンパ節に限局し、はまれ(著明な免疫不全時を除く)。
  • 治療は外科的完全切除が第一選択で、多くは抗菌薬なしに治癒する。難治例・再発例にはなどを追加する。

出典

  1. 1.Nontuberculous Mycobacterial Infections(MSD Manual Professional Edition・2026)小児(1〜5歳)の慢性頸部リンパ節炎はMACまたはM. scrofulaceumによることが多く、外科的切除で十分なことが多いが、難治性・再発例にはマクロライド系抗菌薬が必要になることがある閲覧 2026-08-10
  2. 2.Non-tuberculous mycobacterial lymphadenitis(Archives of Disease in Childhood・1986)小児の抗酸菌性リンパ節炎の治療は全摘出(total excision)が第一選択で、抗結核薬は不要である閲覧 2026-08-10
  3. 3.Mycobacterium bohemicum and Cervical Lymphadenitis in Children(Emerging Infectious Diseases (CDC)・2008)小児の非結核性抗酸菌性頸部リンパ節炎の原因菌はM. avium(約80%)が最多で、M. scrofulaceumは他の複数菌種と並ぶ相対的に少数派の原因菌として位置づけられる閲覧 2026-08-10