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Drug Atlas · C10 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

アズトレオナム

aztreonam

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
アザクタム
商品名(EU)
Azactam
科目
Pharmacology
トピック
C10: Carbapenems. Monobactams. Beta-lactamase inhibitors
標的微生物
Pseudomonas aeruginosaEscherichia coliKlebsiella pneumoniaeEnterobacter cloacaeProteus mirabilisSerratia marcescens
副作用
皮疹悪心
自然耐性の微生物
Acinetobacter baumanniiBacteroides fragilisFusobacterium necrophorumFusobacterium nucleatumPeptostreptococcusPorphyromonas gingivalisPrevotella intermedia
対象疾患
嚢胞性線維症

🧠 全体像を1つだけ持つ「」という一薬一系統の薬で、Gram陰性だけを狙う狭いスペクトラムと引き換えに、ペニシリン・セファロスポリン・とほぼを起こさないという他に代えがたい利点を持つ。「広域でないから使いにくい」のではなく、「βラクタムアレルギーの患者にGram陰性菌治療を届けるための専用チャンネル」と理解するのが正しい位置づけになる。

薬効群の中での位置づけ

C10で扱うβラクタムの中で、だけがGram陰性に特化する。

系統 代表薬 カバーする範囲 ペニシリンアレルギーでの扱い
など Gram+/Gram−/嫌気性の超広域 の頻度は低いが完全ゼロではない
Gram陰性のみ がほぼない。第一選択級の代替になる
など 側鎖により様々 アレルギーの原因そのもの

唯一の例外はセフタジジム。 とセフタジジムは側鎖構造が同じため、この2剤の間だけはのリスクが上がる。「はペニシリン・セファロスポリンと交差しない」を暗記する際は、この1つの例外とセットで覚える。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aztreonam'>アズトレオナム</span>がGram陰性菌の外膜を通過"] --> B["PBP3に選択的に結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septum formation'>隔壁形成</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transpeptidase'>トランスペプチダーゼ</span>反応を阻害"]
    C --> D["分裂できず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='filamentation'>糸状化</span>した菌体"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteriolysis (lysis)'>溶菌</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>)"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monobactam'>モノバクタム</span>環(単環)構造"] -.->|"ペナム・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cephem (cephalosporin)'>セフェム</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational'>立体構造</span>が異なる"| G["IgE抗体がほぼ認識しない=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cross-allergy (cross-reactivity)'>交差アレルギー</span>が少ない"]

💡 PBP3への選択性がスペクトラムの狭さを説明する。 PBP3は主にGram陰性桿菌のに関わる酵素で、Gram陽性菌・嫌気性菌にはこの標的が存在しない、または構造が異なるためが結合できない。「Gram陰性だけ」という狭さは機序の必然的な帰結であって欠陥ではない。

薬物動態

項目 値・特徴
IV/IM(吸入製剤もあり、嚢胞性線維症の緑膿菌気道感染に使用)
分布 組織移行良好、髄液へも炎症時に移行
代謝 ほとんど受けない
排泄 (未変化体が主)。腎機能低下でが必要
半減期 約1.5〜2時間

適応

領域 使いどころ
重症Gram陰性感染 敗血症、など緑膿菌を含むGram陰性感染
ペニシリンアレルギー 重篤な(アナフィラキシー型を含む)βラクタムアレルギーの既往があり、Gram陰性菌治療が必要な患者の代替選択肢
嚢胞性線維症 吸入製剤による嚢胞性線維症の緑膿菌気道感染に対する

Gram陽性菌・嫌気性菌には無効なため、が疑われる場合は他剤(メトロニダゾール、バンコマイシンなど)と併用する。

用法・用量

IV/IM。重症感染では1回1〜2 gを6〜8時間ごとに投与する。腎機能に応じた調整が必要。吸入製剤は嚢胞性線維症に対する専用レジメンで投与する。実際の用量は適応・年齢・体重・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌に対する過敏症
  • ⚠️ セフタジジムとは側鎖構造が類似するために注意。 それ以外のペニシリン・セファロスポリン・とのはほぼない
  • Gram陽性菌・嫌気性菌には無効。単剤でをカバーしようとしない

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、消化器症状、注射部位反応
注意 皮疹
重篤・まれ アナフィラキシー(自体への過敏症)

まとめ

  • βラクタム。Gram陰性だけをカバーし、Gram陽性菌・嫌気性菌には無効。
  • PBP3に選択的に結合しを阻害する
  • 単環構造のためペニシリン・セファロスポリン・とほぼがなく、βラクタムアレルギー患者でもGram陰性菌治療に使いやすい。
  • 唯一の例外はセフタジジム(側鎖構造が類似しのリスクがある)。
  • 吸入製剤は嚢胞性線維症の緑膿菌気道感染に用いる。