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Microbe Atlas · 細菌

Fusobacterium necrophorum

分類
G− 桿菌・偏性嫌気性 / Gram− rods (anaerobic)Fusobacterium
性状
Gram陰性 (G−)桿菌 Bacilli偏性嫌気性 Obligate anaerobe
科目
Medical MicrobiologyENT
トピック
2/6: Anaerobic Gram-negative rods (Bacteroides, Fusobacterium, Prevotella, Porphyromonas)41: Complications of acute tonsillitis. Peritonsillar abscess
自然耐性薬
ゲンタマイシンアミカシントブラマイシンアズトレオナム
原因となる疾患
Lemierre症候群咽後膿瘍急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍縦隔炎頸部膿瘍

🧠 全体像F. necrophorumは咽頭・消化管・女性生殖器に常在するグラム陰性桿菌で、青年・若年成人の・咽頭炎の重要な原因菌であると同時に、の中心的な起因菌でもある——「若く健康な人の咽頭炎が、数日後に敗血症性肺塞栓を伴う重症疾患へ豹変する」という、この菌がなければ説明のつかない臨床像を作る。近縁のF. nucleatumが口腔の「橋渡し役」としてに関与するのに対し、F. necrophorum単独でも咽頭からへ直接進展する攻撃性の高さが対照的である。

微生物学的な特徴

のグラム陰性桿菌で、咽頭・消化管・女性生殖器のの一部を構成する1。他の嫌気性グラム陰性桿菌と同様、を解毒する酵素系(・カタラーゼ)を欠く、または部分的にしか持たないため、酸素のある環境では自壊する。

病原性の仕組み

咽頭炎からへの進展が本菌の病原性の核心である。口腔咽頭感染が外側咽頭間隙へ波及し周囲へ至ると、本菌が血小板を凝集させてを促す一方、周囲組織の炎症による外部からの静脈圧迫(が加わり、の敗血症性が形成される1

flowchart TD
    A["口腔咽頭感染<br>(咽頭炎・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritonsillar abscess'>扁桃周囲膿瘍</span>)"] --> B["外側咽頭間隙への進展"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet aggregation'>血小板凝集</span>による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intravascular coagulation'>血管内凝固</span><br>+周囲炎症による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous stasis'>静脈うっ滞</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal jugular vein'>内頸静脈</span>の敗血症性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thrombophlebitis'>血栓性静脈炎</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septic embolism'>敗血症性塞栓</span>が全身へ播種"]
    E --> F["肺・胸膜・関節・骨・筋・脾・肝・腎"]

感染経路と疫学

  • :常在部位である咽頭からの内因性進展が主体で、とくに青年・若年成人の・咽頭炎の重要な原因菌である2
  • の好発年齢は10〜35歳(中央値19〜22歳)で、以前は健康であった若年者に多く、男女比は約2:1である1

起こす疾患

疾患 特徴
・咽頭炎 青年・若年成人での重要な原因菌の一つ
咽頭炎後の+敗血症性肺塞栓。本菌が中心的な原因菌

診断

  • 画像検査:造影CTが最も広く用いられる。MRIは血栓の検出感度97%と高いが、CTほど利用しやすくない1
  • 血液培養:70%超でFusobacterium属が陽性となるが、に時間・技術を要するため偽陰性もありうる1
  • として、軽度〜高度の、肝機能異常、血小板減少を伴うことが多い1

治療と予防

  • βラクタマーゼ耐性βラクタム系などのを含む)やメトロニダゾールクリンダマイシンなど嫌気性菌カバーを持つ薬剤を、通常6週間投与する1
  • ⚠️ の適応は議論がある。 脳静脈洞への進展、大きい・両側性の血栓、72時間で改善しない場合などに限って考慮される1
  • 膿瘍形成・・縦隔や頭蓋内への進展があれば外科的介入を要することがある
  • 適切な治療下でも死亡率は5〜18%、平均入院期間は約3週間でしばしばを要する1
  • に共通してアミノグリコシド系・には種としてを持つ

まとめ

  • F. necrophorumは咽頭・消化管・女性生殖器に常在するグラム陰性桿菌で、青年・若年成人の・咽頭炎の重要な原因菌である。
  • によると周囲炎症によるを介して(咽頭炎後の+敗血症性肺塞栓)を起こす中心的な原因菌で、好発は10〜35歳の健康な若年者(男女比2:1)である。
  • 診断は造影CT・MRIによる血栓評価と嫌気性血液培養(陽性率70%超だが偽陰性もありうる)で行う。
  • 治療はβラクタマーゼ耐性βラクタム系などによる6週間の抗菌薬投与が基本で、や外科的介入の適応は個別に判断する。適切な治療下でも死亡率5〜18%と侮れない。

出典

  1. 1.Lemierre Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)F. necrophorumが咽頭・消化管・女性生殖器の常在フローラの一部である偏性嫌気性グラム陰性桿菌でLemierre症候群の中心的な原因菌であること、病態が口腔咽頭感染→外側咽頭間隙への進展→内頸静脈の敗血症性血栓性静脈炎→肺・胸膜・関節・骨・筋・脾・肝・腎への敗血症性塞栓の播種という順に進むこと、血小板凝集による血管内凝固と外部圧迫による静脈うっ滞が機序に関与すること、好発が10〜35歳(中央値19〜22歳、男女比2:1)の若年健常者であること、CTが最も広く使われる画像検査でMRIは内頸静脈血栓検出感度97%であること、血液培養は70%超でFusobacterium属が陽性となるが嫌気培養の困難さから偽陰性もありうること、βラクタマーゼ耐性βラクタム系を通常6週間投与すること、抗凝固療法の適応は議論があり脳静脈洞への進展や72時間で改善しない例などに限られること、適切な治療下でも死亡率が5〜18%であることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Anaerobic Infections(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)Fusobacterium属が口腔・消化管の常在フローラの一部であるグラム陰性桿菌で頭頸部感染の重要な嫌気性病原体であること、F. necrophorumがとくに青年・若年成人で扁桃周囲膿瘍・咽頭炎を起こす重要な病原体であり、これがLemierre症候群(内頸静脈の敗血症性血栓性静脈炎、しばしば敗血症性肺塞栓を伴う)へ進展しうる生命を脅かす病態の主要な原因菌であることを確認した閲覧 2026-08-10