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Drug Atlas · C13 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

トブラマイシン

tobramycin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
トブラシン
商品名(EU)
TOBI
科目
Pharmacology
トピック
C13: Aminoglycosides
禁忌疾患
重症筋無力症
標的微生物
Pseudomonas aeruginosaEscherichia coliKlebsiella pneumoniaeSerratia marcescensProteus mirabilis
副作用
耳鳴難聴めまい筋力低下
監視検査値
クレアチニン
影響検査値
マグネシウム
自然耐性の微生物
ActinomycesBacteroides fragilisBifidobacteriumBurkholderia cepaciaBurkholderia malleiBurkholderia pseudomalleiClostridioides difficileClostridium botulinumClostridium novyiClostridium perfringensClostridium septicumClostridium tetaniFusobacterium necrophorumFusobacterium nucleatumPeptostreptococcusPorphyromonas gingivalisPrevotella intermediaTannerella forsythia
対象疾患
気管支拡張症嚢胞性線維症非結核性抗酸菌症
原因となる疾患
急性腎障害急性尿細管壊死

🧠 全体像:はアミノグリコシド系の中で緑膿菌への活性が特に強い薬で、全身投与に加えて嚢胞性線維症の気道内緑膿菌感染に対する吸入投与という、他のアミノグリコシドにはない独自のを持つ。吸入により全身への曝露を抑えながら気道内濃度を高く保てるため、全身毒性を避けつつ局所でを最大化する設計になっている。

薬効群の中での位置づけ

使い方の軸 代表薬 特徴
重症グラム陰性菌の主力 βラクタム系とのが確立
緑膿菌特化 緑膿菌によく効き、嚢胞性線維症で吸入投与という独自の使い方を持つ
耐性グラム陰性菌の切り札 に分解されにくい構造
局所・腸管内限定 全身投与は避ける

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tobramycin'>トブラマイシン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxygen-dependent'>酸素依存</span>的な<br>能動輸送で細菌内へ取り込まれる"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='30S ribosomal subunit'>30Sリボソームサブユニット</span>に<br>不可逆的に結合"]
    B --> C["mRNAの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='misreading'>読み違い</span><br>(misreading)を誘発"]
    C --> D["異常蛋白の産生・膜傷害<br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>"]
    E["嚢胞性線維症の気道へ<br>吸入投与"] -.->|"気道内濃度を高く保ちながら<br>全身への吸収はごくわずか"| F["局所で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='concentration-dependent killing'>濃度依存性殺菌</span>を最大化<br>全身毒性を回避"]

薬物動態

項目 値・特徴
ほぼ0%(消化管でほとんど吸収されない)
IV/IM(全身投与)、または吸入(嚢胞性線維症・での緑膿菌抑制)
分布 水溶性でに分布。吸入時は気道内濃度が高く保たれ、全身への吸収はごくわずか
代謝 ほぼ受けない
排泄 ()がほぼすべて(全身投与時)
半減期 約2〜3時間(腎機能正常時、全身投与)

適応

領域 使いどころ
重症グラム陰性菌感染 緑膿菌を含む院内感染・など
嚢胞性線維症 嚢胞性線維症:緑膿菌の初回定着時の早期、抑制目的の吸入サイクル投与
:慢性緑膿菌感染があり増悪リスクが高い患者への

用法・用量

IV/IM(全身投与)または吸入(嚢胞性線維症・での緑膿菌抑制)。全身投与はのために基づく用量設定が必要。吸入は専用製剤をサイクル投与(例:4週間投与・4週間)する。実際の用量は適応・製剤・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:過敏症(アミノグリコシド共通の交差性過敏症を含む)、(全身投与用製剤)。重症筋無力症は、米国・英国いずれの添付文書も禁忌ではなく神経筋疾患への慎重投与という注意事項として記載している12
  • ⚠️ 腎毒性()・耳毒性(不可逆のことあり)・——全身投与時はアミノグリコシド共通の3大毒性に注意。は添付文書上「よくある」(100人に1〜10人未満)副作用に分類され、症例報告でも聴覚のみ・前庭のみ・両方の障害がそれぞれ見られている3。ミトコンドリア12S の変異(m.1555A>G)をで持つと通常量でも難聴をきたしうる4
  • 吸入投与時はの可能性があり、初回投与時はの前投与下で観察することがある
  • 腎障害ではが必須(全身投与時)。全身投与時は+により、1日1回投与がと同等の有効性を保ちながら腎毒性のリスクを下げられる5

副作用

頻度 内容
高頻度 (吸入時)咳嗽、。(全身投与時)注射部位反応
注意 めまい、、筋力低下、(吸入時)
重篤・まれ 難聴(不可逆なことあり)、(全身投与時)

まとめ

  • アミノグリコシド系。緑膿菌への活性がアミノグリコシドの中でも高い。
  • 嚢胞性線維症・の慢性緑膿菌感染に対し吸入投与という独自の経路を持ち、全身毒性を抑えつつ気道内濃度を高める設計。
  • 全身投与時の腎毒性・耳毒性・は他のアミノグリコシドと共通。
  • +を持つ(全身投与時は1日1回投与が可能)。
  • 性の取り込みのため嫌気性菌には無効。
  • 重症筋無力症は禁忌。

出典

  1. 1.TOBI- tobramycin solution(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)/Viatris Specialty LLC・2025)米国の添付文書(2025年11月改訂)はTOBIを6歳以上の嚢胞性線維症患者における緑膿菌肺感染管理に適応と定めていること、CONTRAINDICATIONSにはアミノグリコシドへの過敏症のみを挙げ重症筋無力症は含めていないこと、聴覚・前庭機能に異常のある患者では聴力検査・血中濃度測定によるモニタリングを行うべきとしていることを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Tobramycin 40mg/ml Injection - Summary of Product Characteristics (SmPC)(Flynn Pharma Ltd(electronic medicines compendium、英国)・2022)英国のSmPC(2022年6月14日改訂)はSection 4.3で髄腔内投与とアミノグリコシドへの過敏症を禁忌としているが重症筋無力症は含めておらず、Section 4.4で神経筋疾患患者への慎重投与という注意事項として別枠で扱っていることを確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Tobramycin and vestibulotoxicity: retrospective analysis of four cases(European Journal of Hospital Pharmacy・2022)トブラマイシンの添付文書上、前庭毒性は「よくある」(頻度100人に1〜10人未満)副作用に分類されていること、静注トブラマイシンによる耳毒性の症例では聴覚のみ・前庭のみ・両方の障害がいずれも報告されており単純な前庭優位とは言えないことを確認した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.Mitochondrial 12S rRNA mutations associated with aminoglycoside ototoxicity(Mitochondrion・2011)ミトコンドリア12S rRNA遺伝子の変異(m.1555A>Gなど)を母系遺伝で持つ人は、通常量のアミノグリコシド投与でも難聴を来しやすいことを確認した。トブラマイシンを含むアミノグリコシド系全般に共通するリスクである。閲覧 2026-08-27
  5. 5.Single or multiple daily doses of aminoglycosides: a meta-analysis(BMJ・1996)21の無作為化試験・3091例のメタ解析で、アミノグリコシドの1日1回投与は分割投与と同等の治療成功率でありながら腎毒性のリスクを下げたこと(リスク比0.74、95%CI 0.54-1.00)。トブラマイシンを含むアミノグリコシド系全身投与に共通する知見である。閲覧 2026-08-27