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Microbe Atlas · 細菌

Peptostreptococcus

分類
G+ 球菌・偏性嫌気性 / Gram+ cocci (anaerobic)
性状
Gram陽性 (G+)球菌 Cocci偏性嫌気性 Obligate anaerobe
科目
Medical Microbiology
トピック
5/16: Description and diagnosis of infections caused by anaerobic bacteria2/3: Streptococcus pneumoniae, oral streptococci and cariogenesis. Anaerobic cocci
自然耐性薬
ゲンタマイシンアミカシントブラマイシンアズトレオナム
原因となる疾患
口底蜂窩織炎骨盤内炎症性疾患根尖性歯周炎歯性上顎洞炎人工関節感染肺膿瘍卵管卵巣膿瘍

🧠 全体像:Peptostreptococcus属は単独犯ではなく共犯として読む菌である——口腔・消化管・泌尿生殖器のに留まる限り無害だが、組織が損傷するとBacteroides属などと連れ立って侵入し、や(とくに)のの一員として現れる。かつて本属に分類されていた菌種の多くはFinegoldia・Parvimonasなどへ再分類されたが、臨床の現場では今も「Peptostreptococcus」が全体を指す実用的な呼び名として使われ続けている。

微生物学的な特徴

・塊状に配列するグラム陽性の球菌で、口腔・消化管・上気道・泌尿生殖器・皮膚のの一部を構成する1。2001年の分類学的再編以降、Finegoldia magna・Parvimonas micraなど臨床的に重要な菌種の多くが本属から独立し別属へ再分類されたが、これらは現在もまとめてPeptostreptococcus属として扱われることが多い1。

病原性の仕組み

強力な外毒素は持たず、組織が損傷した部位へが内因性に侵入することで感染が成立する。単独で検出されることはまれで、(Bacteroides属など)と連れ立って検出される・が典型像である——がまるごと迷い込んだ、という前提で読むほうが実態に近い。

感染経路と疫学

起こす疾患

疾患 特徴
(PID) の一員。とくに閉経後女性ので頻繁に検出される2
(肝・脾・膵を含む) Bacteroides属などとのとして関与
・副鼻腔炎、 上気道・口腔のとして関与
皮膚軟部組織感染・・菌血症 主にFinegoldia magna(旧Peptostreptococcus)による

診断

  • のため、検体は・を要し、通常は他の嫌気性菌とのとして発育する
  • グラム染色でのを確認することが、嫌気性感染を疑う手がかりになる

治療と予防

  • 侵襲性感染由来の(GPAC)133の解析では、メトロニダゾールはP. anaerobiusを含め全株が感性だった一方、同じP. anaerobius(11株)ではアモキシシリン・へのが54%・45%にとどまり、GPAC全体では133株中31株がクリンダマイシン耐性(うち30株がerm遺伝子保有)を示した。単剤に頼らず感受性を確認する姿勢が重要である3
  • 実臨床では、の標準治療(セフトリアキソン+ドキシサイクリン+メトロニダゾール)や、βラクタム/配合薬・など、嫌気性菌カバーを持つ広域レジメンの一部として治療される
  • ⚠️ 嫌気性菌はアミノグリコシド系・に通常耐性である4。アミノグリコシド系は細胞内への取り込みに性のが作る膜電位を要するためでは菌体に入れない。はのに作用するよう設計された薬で5、グラム陽性菌にも嫌気性菌にも臨床的に有用な活性を持たない——グラム陽性の嫌気性菌である本菌は、この両方の理由で効かない

まとめ

  • Peptostreptococcus属は口腔・消化管・泌尿生殖器・皮膚のを構成するグラム陽性球菌で、多くの旧分類種はFinegoldia・Parvimonasへ再分類された。
  • 単独犯ではなくBacteroides属などとの・として部位にを起こし、閉経後女性のを含む、、・副鼻腔炎、などに関与する。
  • メトロニダゾールは概ね有効だが、P. anaerobiusではアモキシシリン・のが低く、GPAC全体でもクリンダマイシン耐性が一定割合みられるため、単剤に頼らない広域嫌気性カバーが基本になる。アミノグリコシド系・には通常耐性である。

出典

  1. 1.Anaerobic Infections(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)Peptostreptococcus属が口腔・消化管・上気道・泌尿生殖器・皮膚の常在フローラの一部であるグラム陽性嫌気性球菌であること、慢性中耳炎・副鼻腔炎・誤嚥性肺炎・骨盤内炎症性疾患(特に卵管卵巣膿瘍)の日和見病原体として関与すること、Finegoldia magna・Parvimonas micraがかつてPeptostreptococcus属に分類されていた嫌気性グラム陽性球菌であることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Tubo-Ovarian Abscess(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)卵管卵巣膿瘍(TOA)が腸内細菌・呼吸器細菌・嫌気性菌を組み合わせた多菌性感染であり、Escherichia coli・Bacteroides fragilis・Peptostreptococcus属がとくに閉経後女性のTOAで頻繁に検出されること、標準治療がセフトリアキソン+ドキシサイクリン+メトロニダゾールなど嫌気性菌カバーを含むレジメンであることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.In Vitro Antimicrobial Susceptibility Profiles of Gram-Positive Anaerobic Cocci Responsible for Human Invasive Infections(MDPI(Microorganisms誌)・2021)フランス9施設で収集された嫌気性グラム陽性球菌(GPAC)133分離株(うちPeptostreptococcus anaerobiusは11株)の解析で、全分離株がイミペネム・リネゾリド・メトロニダゾールに感性だった一方、アモキシシリン・ピペラシリンにはP. anaerobiusのみ感性率が54%・45%にとどまったこと、133株中31株がクリンダマイシン耐性でうち30株がerm(A)(erm(TR)亜型)・erm(B)遺伝子を保有していたこと、いずれの分離株もβラクタマーゼ産生を示さなかったことを確認した閲覧 2026-08-10
  4. 4.Expected Resistant Phenotypes, Version 1.2(European Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing (EUCAST)・2023)現行版(v1.2、2023年1月)のPDFを取得し、Table 5(嫌気性菌)の表題が「嫌気性菌は通常アズトレオナム・アミノグリコシド系・ポリミキシンB/コリスチン・ナリジクス酸に耐性」と述べていることを確認した。同表に種別の行はClostridium ramosum・C. innocuumのバンコマイシン耐性の1行だけで、Peptostreptococcus属の個別の行は無い閲覧 2026-09-27
  5. 5.Azthreonam (SQ 26,776), a synthetic monobactam specifically active against aerobic gram-negative bacteria(Antimicrobial Agents and Chemotherapy(Sykes RB, Bonner DP, Bush K, Georgopapadakou NH)・1982)Europe PMC(PMID 6979307)の抄録で、アズトレオナムはβラクタマーゼに高い安定性を持ち緑膿菌を含む好気性グラム陰性菌に特異的に活性を示すこと、ペニシリン系・セフェム系と同様にグラム陰性菌の必須のペニシリン結合蛋白に作用することを確認した閲覧 2026-09-27