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Microbe Atlas · 細菌

Fusobacterium nucleatum

分類
G− 桿菌・偏性嫌気性 / Gram− rods (anaerobic)Fusobacterium
性状
Gram陰性 (G−)桿菌 Bacilli偏性嫌気性 Obligate anaerobe
科目
Medical Microbiology
トピック
2/6: Anaerobic Gram-negative rods (Bacteroides, Fusobacterium, Prevotella, Porphyromonas)
自然耐性薬
ゲンタマイシンアミカシントブラマイシンアズトレオナム
原因となる疾患
Lemierre症候群急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍脳膿瘍肺膿瘍
作用する薬剤
クリンダマイシン

🧠 全体像F. nucleatumは口腔常在のグラム陰性桿菌で、単独では弱毒菌だが「橋渡し役」として他菌種との協調で組織を破壊するという性質が病原性の軸になる。と組んでPlaut-Vincent anginaを起こし、口腔から離れた深頸部・血流へ広がればを起こす——バリアが破れた口腔常在菌が異所性の組織で悪さをするという、この属全体(BacteroidesPrevotellaPorphyromonas)に共通するロジックの典型例である。

微生物学的な特徴

グラム陰性ので、口腔()に常在する。他の嫌気性グラム陰性桿菌と同様、・カタラーゼ・を欠く(または部分的にしか持たない)ためを解毒できず、酸素のある環境では自壊する。

病原性の仕組み

F. nucleatumは内で多菌種の「橋渡し()」を担う——初期(Streptococcus属など)と後期の病原性の強い菌(*Porphyromonas gingivalis*など)の両方に接着できる表面構造を持ち、単独の病原性は強くないが多菌種の構造的な要となる。

Treponema vincentiiなど)と共同することでを起こし、を伴う潰瘍性病変を作る。

flowchart TD
    A["口腔常在の F. nucleatum"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Periodontal pocket'>歯周ポケット</span>で多菌種<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biofilm'>バイオフィルム</span>の<br>『橋渡し』として機能"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral spirochete'>口腔スピロヘータ</span>と協調<br>(Plaut-Vincent angina)"]
    B --> D["深頸部組織・静脈への波及"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internal jugular vein thrombophlebitis'>内頸静脈血栓性静脈炎</span>"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septic embolism'>敗血症性塞栓</span>が肺・関節など<br>全身へ播種"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Lemierre syndrome'>Lemierre症候群</span>"]

感染経路と疫学

  • :口腔に由来し、・扁桃炎など隣接組織の感染を契機に深部へ波及する
  • 咽頭炎後にへ進展すると、が肺・関節など全身へ播種しうる
  • への異所性定着と大腸癌組織内での存在量増加が近年報告されており、FadAを介した促進への関与が研究されている

起こす疾患

疾患 押さえどころ
Plaut-Vincent angina(の進展) とのによるを伴う
咽頭炎後のと敗血症性肺塞栓。古典的な原因菌はF. necrophorumだが、F. nucleatumも同症候群を起こす代表的Fusobacterium属菌である
化膿性感染(口腔・大腸・腟由来) など他の嫌気性菌とのの一員として関与

診断

  • 検体:膿瘍穿刺液・血液培養(嫌気ボトル)。ではなく吸引検体で搬送する
  • 標本の菌体とスピロヘータの共存像を確認
  • を疑う所見(咽頭炎後の再増悪、片痛・腫脹、画像上の血栓、肺塞栓像)があれば血液培養とを行う

治療と予防

  • メトロニダゾール配合ペニシリン、など嫌気性菌カバーを持つ薬剤を用いる
  • では長期の抗菌薬投与(数週間単位)を要し、の要否は個別に判断する
  • ⚠️ はアミノグリコシド系・を持つ。 性の取り込み機構とグラム陰性に限定されたPBP3標的という、それぞれ異なる理由による

まとめ

  • F. nucleatumはグラム陰性桿菌で、口腔の一員。単独の病原性は強くないが多菌種の「橋渡し役」として働く。
  • とのでPlaut-Vincent anginaを起こし、深頸部へ波及すれば+敗血症性肺塞栓、古典的原因菌はF. necrophorumだが本菌も代表的原因菌)を起こす。
  • 大腸癌組織への異所性定着とFadAを介した促進への関与が近年注目されている。
  • 治療はメトロニダゾールなど嫌気性菌カバーを持つ薬剤。アミノグリコシド系・には