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Microbe Atlas · 細菌

Burkholderia pseudomallei

類鼻疽菌

分類
G− 桿菌・好気性 / Gram− rods (aerobic)Burkholderia
性状
Gram陰性 (G−)桿菌 Bacilli好気性 Aerobic
科目
Medical Microbiology
トピック
2/19: Pseudomonas group and Acinetobacter, Burkholderia, Stenotrophomonas genus
自然耐性薬
コリスチンゲンタマイシントブラマイシン

🧠 全体像:菌を理解する軸は「潜伏期が数年におよぶことがある」という時間感覚である。東南アジア・オーストラリア北部の土壌・水系に住む環境菌で、皮膚の小さな傷や吸入から侵入したあと、糖尿病や免疫抑制などの誘因が加わって初めて数年後にすることがある。近縁の菌がウマ科動物からの直接曝露に限られるのに対し、菌は環境そのものが感染源という点で疫学像が大きく異なる。

微生物学的な特徴

菌と同じだが、菌体の極に鞭毛(極鞭毛)を持ち運動性がある点で、・無鞭毛の菌と鑑別できる12。東南アジア・インド・アフリカ・オーストラリアの土壌に典型的に存在する。

検査室での見分け方も、この運動性を軸にまとめられる。

項目 菌 菌
運動性・鞭毛 運動性あり(極鞭毛) ・無鞭毛
グラム染色像 を示しに見えることがある 短い
42℃での発育 発育する 発育しない
オキシダーゼ 陽性 可変
集落・ 数日で乾いた皺状になり、土臭い特有の 灰白色・平滑・無臭

出典:1

病原性の仕組み

  • 感染力が強く、少数の菌でも発病しうる
  • 感染が数年間潜伏し、糖尿病・腎不全・免疫抑制などのストレス状況下でする——この潜伏能力がの臨床像を多彩にしている

感染経路と疫学

  • 東南アジア・インド・アフリカ・オーストラリアの土壌・水系に典型的に存在する
  • 経路は皮膚の創傷を介した直接接触、汚染水の吸入・誤嚥
  • 糖尿病、慢性腎疾患、大量飲酒、免疫抑制状態が発症・のリスク因子

起こす疾患

病型 特徴
結核に類似した経過を取ることがある
劇症型肺炎 急性・重症の肺炎像
急性菌血症 限局したから血流へ播種する

診断

  • 培養が確定診断の基本だが、発育に時間を要し、施設での取り扱いが必要
  • 血清学的検査・も補助的に用いられる
  • への渡航歴・居住歴の聴取が診断の手がかりになる

治療と予防

  • :静注セフタジジムまたは。大半の症例はセフタジジムで、はを要する重症例に原則として留保する。期間はの部位と重症度で決まり、肺炎では最短2週間、によっては最短4週間とする3
  • :経口ST合剤を少なくとも12週間(約3か月)続ける3——だけで終えるとが高い
  • 皮膚病変・骨髄炎・・中枢神経感染・では、の段階から経口ST合剤を併用する(組織移行を補い耐性化を抑える狙い)3
  • ⚠️ アミノグリコシド系・()にを示す。 菌・Burkholderia cepacia complexと共通する属レベルの特徴
  • 予防はワクチンが存在せず、流行地での土壌・汚染水への曝露回避が中心。糖尿病など基礎疾患の管理も予防に関わる

まとめ

  • 菌は東南アジア・オーストラリア北部の土壌・水系に住む環境菌で、皮膚創傷・吸入から感染する。
  • 感染が数年間潜伏し、糖尿病などの誘因でする点が最大の特徴。
  • ・劇症型肺炎・急性菌血症という多彩な病型を取る。
  • 治療はセフタジジム/の(最短2〜4週間)+ST合剤の(少なくとも12週間)という二段階が原則で、を短縮するとしやすい3。
  • アミノグリコシド・にという点は菌と共通する。
  • 検査室では極鞭毛による運動性・42℃での発育・()が菌との鑑別の手がかりになる1。

出典

  1. 1.Clinical Features and Laboratory Diagnosis of Infection with the Potential Bioterrorism Agents Burkholderia Mallei and Burkholderia Pseudomallei(International Journal of Biomedical Science(Gilad J, Schwartz D, Amsalem Y)・2007)PMC全文(PMC3614684)を直接確認した。Burkholderia 属は好気性・無芽胞のグラム陰性桿菌で、『B. mallei を除くすべての菌種は極鞭毛(polar flagella)の存在により運動性をもつ』と記されていること(=周毛性ではない)。B. pseudomallei はグラム染色で両極染色・安全ピン様の像を示すことがあり、42℃で発育し、オキシダーゼ陽性、硝酸塩還元陽性であること。一方 B. mallei は『非運動性・無鞭毛』でオキシダーゼ活性は可変、42℃では発育しないこと。B. pseudomallei はコロニーが数日で乾いた皺状になり、土臭い特有の臭気を出すこと。両菌ともポリミキシンBに耐性であること。閲覧 2026-09-27
  2. 2.Immune response to recombinant Burkholderia pseudomallei FliC(PLoS ONE(Koosakulnirand S, et al.)・2018)Consensus の全文抜粋で確認した。B. pseudomallei が鞭毛をもつグラム陰性菌であること、fliC がコードするのが『極鞭毛(polar flagella)』であり、一部の株がもつ lafA 由来の側方鞭毛(lateral flagellin)とは別物であることを、考察の該当箇所で確認した。閲覧 2026-09-27
  3. 3.2020 Review and revision of the 2015 Darwin melioidosis treatment guideline; paradigm drift not shift(PLoS Neglected Tropical Diseases(Sullivan RP, et al.)・2020)PMC全文(PMC7544138)を直接確認した。B. pseudomallei は広範な自然耐性をもち治癒には長期治療を要すること、治療が静注の集中期(セフタジジムまたはメロペネム/イミペネム)と経口の地固め期(少なくとも12週間、通常はST合剤)に分かれること。セフタジジムが大半の症例に用いられ、メロペネムは集中治療室を要する重症例に原則として留保されること。静注の期間は病巣部位(antibiotic duration determining focus)と重症度で決まり、肺炎では最短2週間、病巣によっては最短4週間とされること。皮膚病変・骨髄炎・化膿性関節炎・中枢神経感染・深部膿瘍では集中期から経口ST合剤を併用すること。閲覧 2026-09-27