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Drug Atlas · C11 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

コリスチン

colistin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(EU)
Colomycin
科目
Pharmacology
トピック
C11: Chloramphenicol. Polymyxins. Antifolate drugs
禁忌疾患
重症筋無力症
標的微生物
Pseudomonas aeruginosaAcinetobacter baumanniiKlebsiella pneumoniae
副作用
めまい知覚異常
監視検査値
クレアチニン
自然耐性の微生物
Burkholderia cepaciaBurkholderia malleiBurkholderia pseudomalleiProteus mirabilisProteus vulgarisSerratia marcescens
対象疾患
気管支拡張症嚢胞性線維症
原因となる疾患
急性腎障害

🧠 全体像E)は1950年代に登場した古い薬で、腎毒性・性の強さから一度は新しい安全な抗菌薬に取って代わられ、臨床現場から遠ざかっていた。ところが多剤耐性Gram陰性菌(CRE・Acinetobacter)が増え、他に効く薬がなくなったことで、2000年代以降「最後の手段」として現場に復活した薬の代表例になる。効くは単純そのもの——のようにGram陰性菌の外膜を物理的に壊すため、耐性が生まれにくい一方、同じ「」作用がヒトの腎尿細管細胞・神経細胞にも及んで強い毒性を生む。

薬効群の中での位置づけ

C11で扱う3剤のうち、だけが細胞膜そのものを物理的に破壊する。

薬剤 標的 効き方 位置づけ
50S ribosome のため最後の手段
Gram陰性菌の外膜・細胞膜(LPS) 多剤耐性Gram陰性菌への最終兵器
UTI・PJP・一部MRSAに頻用

機序

flowchart TD
    A["コリスチメト酸ナトリウム(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)を投与"] --> B["体内で徐々に加水分解され<br>活性体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colistin'>コリスチン</span>に変換"]
    B --> C["Gram陰性菌のLPS(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lipopolysaccharide (LPS)'>リポ多糖</span>)の<br>負電荷部分に結合"]
    C --> D["外膜の構造を乱し透過性を上げる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='detergent'>洗剤</span>のように外膜・細胞膜を破壊"]
    E --> F["細胞内容物が漏出し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteriolysis (lysis)'>溶菌</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>)"]
    G["Gram陽性菌"] -.->|"外膜自体を持たない"| H["標的が存在せず無効"]

💡 静注薬はであるコリスチメト酸ナトリウム(CMS)で、活性体への変換に時間がかかる。 そのため投与初期は血中の活性体濃度が低く、初回投与量を通常より多くする「が推奨される。この変換の遅さを知らずに通常量から始めると、治療域に達するまで時間がかかり効果不十分になりうる。

薬物動態

項目 値・特徴
IV(CMSとして)、吸入薬(嚢胞性線維症・の補助)
分布 血液脳関門への移行が乏しい(中枢神経系感染にはを要することがある)
活性化 CMSが体内で加水分解されに変換される(変換が遅く初回はが必要)
排泄 活性体腎尿細管で再吸収されるため腎毒性につながりやすい
治療域 狭い。有効性と腎毒性のバランスを取るため厳密なを要する

適応

多剤耐性Gram陰性菌感染の最終選択肢。 他に有効な薬がない場合に限って使う。

領域 使いどころ
全身感染 CRE(腸内細菌目)、多剤耐性Pseudomonas aeruginosa、多剤耐性Acinetobacter baumanniiによる重症感染。単剤ではなく他剤(など)との併用が推奨されることが多い
気道感染 吸入薬として嚢胞性線維症の慢性緑膿菌気道感染の

Gram陽性菌には外膜がなく無効。

用法・用量

IV(吸入薬もあり)。腎機能に応じた厳密なが必要で、初回はを用いる。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌/に対する過敏症、重症筋無力症作用により症状増悪しうる)
  • ⚠️ 腎毒性が 多くは可逆性だが、腎機能に応じた厳密な調整を怠るとに至る
  • ⚠️ ・めまい・。アミノグリコシド系やとの併用でリスクが増す
  • 血液脳関門への移行が乏しいため、中枢神経系感染には全身投与だけでは不十分なことがある

副作用

頻度 内容
高頻度 腎機能低下(上昇)
注意 めまい(口周囲・四肢の
重篤・まれ )、アナフィラキシー

まとめ

  • LPSに結合しのようにGram陰性菌の外膜・細胞膜を破壊する
  • 多剤耐性Gram陰性菌への最終兵器として、腎毒性・性の強さから一度は使われなくなった古い薬が復活した代表例。
  • 静注薬は(コリスチメト酸ナトリウム)で活性化に時間がかかるため、初回はを用いる。
  • 腎毒性(多くは可逆性)。性(・めまい・)にも注意。
  • Gram陽性菌には無効。重症筋無力症では禁忌。