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Disease Atlas · 皮膚 · 症候群

Sweet症候群

Sweet syndrome

別名
急性発熱性好中球性皮膚症急性熱性好中球性皮膚症スウィート症候群Sweet病
臓器系
皮膚免疫・膠原病腫瘍
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-25:腫瘍随伴性皮膚症状皮膚科 3-27:血管炎・多形紅斑・結節性紅斑
上位概念
好中球性皮膚症
鑑別疾患
結節性紅斑好中球性エクリン汗腺炎多形紅斑丹毒・蜂窩織炎白血病の皮膚浸潤
関連疾患
Majeed症候群ベーチェット病壊疽性膿皮症
治療薬
プレドニゾロンヨウ化カリウムコルヒチンダプソンインドメタシンシクロスポリンA
原因薬剤
フィルグラスチムアザチオプリンミノサイクリンボルテゾミブイピリムマブ
症状
発熱局面紅斑丘疹疼痛関節痛
検査値
白血球数絶対好中球数C反応性蛋白(CRP)赤沈
原因となる疾患
炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)急性骨髄性白血病骨髄異形成症候群

🧠 全体像:は「発熱+有痛性の紅色局面+」が突然そろうで、と同じスペクトラムに属する。押さえる幹は3つ——①原因を3群(・悪性腫瘍関連・薬剤誘発性)に分ける、②悪性腫瘍関連では皮疹がの発見のきっかけになりうる、③全身ステロイドが劇的に効き、その反応の良さがの項目そのものになっている。培養陰性で抗菌薬が効かないのに蜂窩織炎とされやすい点も、と共通の落とし穴である。

位置づけ

は、感染がないのに好中球が組織へ密に浸潤する一群の疾患で、のほか・・などを含む1。同じ自己炎症的な土台を共有しながら、病変の深さ・経過の慢性度・傷害される組織で分かれると理解すると、スペクトラムとして整理できる。

疾患 経過 転帰
表在性の有痛性紅色局面・結節 急性・発熱を伴う 瘢痕を残さず治癒する2
深い(堤防状の暗赤紫色辺縁) 慢性・進行性 瘢痕を残す
口腔・陰部潰瘍、様皮疹、ぶどう膜炎 再発性・全身性 臓器障害を残しうる

💡 両者は背景疾患を共有する。 ・という同じ土台の上に、浅く出れば、深く出ればとして顕在化する。重症のでは病変が・し、に合併した表在性のと見分けがつかなくなることがある3。

3群への分類

原因の切り分けが、そのまま「次に何を探すか」を決める。

群 特徴 次にすること
(特発性) 最も多い。上気道・やワクチン接種が先行することがある。妊娠・炎症性疾患に伴う例を含む 誘因の聴取と全身ステロイドによる治療
悪性腫瘍関連型 患者の約21%が悪性腫瘍を合併し、その最大80%はである1 血算・血液像の確認と血液内科への相談
薬剤誘発性 が最も多く報告される起因薬3。の中止で軽快する 投の見直しとの中止

悪性腫瘍関連型で押さえること

⭐ が、と最も高頻度に関連する腫瘍性病態である。 悪性腫瘍関連例ののうちが42%、が22%を占める3。もよく合併する1。

⚠️ 皮疹は悪性腫瘍の診断に先行しうる。 発症は腫瘍の出現に先行しても、後行しても、同時でもありうる3。では皮膚病変が血液学的診断に約6か月先行した報告があり、の診断からの診断までの平均は17か月であった1。「の病気」で終わらせず、血算を確認する。

薬剤誘発性で押さえること

⚠️ 製剤で最も多い。 は好中球の産生と組織への動員を直接増やすため、機序と結果が一直線につながる。・・・なども報告されている2。

⚠️ 化学療法中の発熱と皮疹を、感染症と決めつけない。 好中球減少期を脱してを投与された患者に発熱と有痛性紅斑が出たとき、としてだけを続けると軽快しない。この場面では薬剤誘発性が鑑別に入る。

病態

flowchart TD
    A["誘因:感染・悪性腫瘍・薬剤・炎症性疾患"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granulocyte colony-stimulating factor'>G-CSF</span>などのサイトカインが過剰に働く"]
    B --> C["好中球の産生亢進と組織への遊走・活性化"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reticular dermis'>真皮網状層</span>への<br>びまん性で密な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neutrophil infiltration'>好中球浸潤</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukocytoclasis'>白血球核破砕</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='papillary dermis'>乳頭層</span>の浮腫<br>(真の血管炎所見は通常欠く)"]
    E --> F["突然発症する有痛性の紅色局面・結節"]
    D --> G["発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neutrophilia'>好中球増多</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='elevated inflammatory markers'>炎症反応上昇</span>"]
    H["些細な外傷"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pathergy reaction'>パセルギー反応</span>"| C

💡 「血管炎ではない」ことが決定的である。 好中球が血管壁を壊しているなら血管炎であり、治療も予後も別の話になる。では好中球が真皮の間質に充満するだけで血管壁は保たれる——この一点が組織診断の中心であり、のに組み込まれている2。

臨床像

  • 突然発症する有痛性の紅色〜暗赤色の局面・結節が、顔面・頸部・上肢に非対称性に出現する。表面は浮腫が強く、に見えることがある。
  • 発熱とを伴う。⭐ 「発熱+有痛性紅斑+」の3点がそろったら、まずこの病名を思い浮かべる。
  • 皮膚外病変:状が30〜60%にみられる。(結膜炎・・強膜炎・角膜炎・ぶどう膜炎)も生じ、まれに心筋炎・・・胸水・を来す2。
  • (些細な外傷部位に新病変が生じる現象)はと同様にでも陽性となりうる2。

診断

はSu と Liu が1986年に提唱し、von den Drieschが1994年に改訂したものが標準として使われる。2項目の両方と、4項目のうち2項目以上を満たすことを要する13。

区分 項目
(両方必要) ①突然発症する有痛性のまたは結節 ②血管炎を伴わないの組織像
(2項目以上) ①38℃を超える発熱 ②炎症性疾患・妊娠、または先行する上気道/・ワクチン接種 ③全身性ステロイドまたはへの反応 ④異常(20 mm/h超、上昇、8,000/μL超、好中球70%超の4項目中3項目)

💡 「ステロイドが効くこと」がの項目に入っている。 治療反応が診断の一部になっているのは、特異的なが存在しないためである。逆に言えば、全身ステロイドに反応しない病変はの診断を疑い直す根拠になる。

⚠️ 組織診断は必須である。 血管炎・感染症・の皮膚浸潤は臨床像だけでは除けない。生検でのびまん性の・・を確認し、真の血管炎所見がないことを見る2。培養は陰性である。

Nofalらは2017年に、常に存在する所見(突然発症する有痛性皮疹と真皮の密な)と変動しうる所見を分ける改訂案を提唱している1。

鑑別

鑑別疾患 見分けの手がかり
・蜂窩織炎 抗菌薬に反応する。培養陽性となりうる。は培養陰性で抗菌薬に反応せず、ステロイドで劇的に軽快する
下腿前面に左右対称の圧痛性皮下結節。病理はで、真皮のではない
の左右対称な3層構造の。感染が最多の誘因
血管炎 と血管壁の炎症所見。では血管壁が保たれる
生検で白血球系腫瘍細胞そのものを認める。悪性腫瘍関連型と併存しうる

治療

全身ステロイドが第一選択で、反応は劇的である。 成人では全身ステロイド(換算0.5〜1 mg/kg/日)で開始し、症状は48時間で軽快、皮疹は1〜2週で消退する。4〜6週かけてする3。

⚠️ ステロイドを減量しすぎるとする。 実際の投与量・速度は重症度と背景疾患で変わるため、施設のプロトコルで確認する。

経過・予後

適切に治療すれば瘢痕を残さず治癒する2。再発はで約30%にみられ、を背景に持つ例では最大69%に達する3。⚠️ 再発を繰り返す例では、まだ見つかっていないを疑って血算のフォローを続ける。

まとめ

  • は突然発症する有痛性の紅色局面・発熱・を三徴とするで、・と同じスペクトラムに属する。
  • 原因は・悪性腫瘍関連型・薬剤誘発性の3群に分ける。約21%に悪性腫瘍を合併し、その最大80%がである。
  • ⭐ が最も高頻度に関連し、皮疹がの診断に先行することがある——の病気で終わらせず血算を確認する。
  • 薬剤誘発性ではが最多で、なども報告される。化学療法中の発熱と皮疹を感染症と決めつけない。
  • 診断はvon den Drieschの1994年改訂基準(2項目+4項目のうち2項目以上)による。組織で血管炎を伴わない真皮のを確認する。
  • 治療は全身ステロイド(換算0.5〜1 mg/kg/日)で、症状は48時間・皮疹は1〜2週で改善する。再発はで約30%、を背景に持つと最大69%。

出典

  1. 1.Sweet Syndrome Associated with Myelodysplastic Syndrome—A Review of a Multidisciplinary Approach(Life(Ferea CR, Mihai SN, Balan G, Badescu MC, Tutunaru D, Tatu AL)・2023)分類の節でSweet症候群が古典型・悪性腫瘍関連型・薬剤誘発型の3群に分けられること、疫学の節でSweet症候群患者の約21%が悪性腫瘍を合併し悪性腫瘍関連例の最大80%が血液悪性腫瘍(主に骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病)であること、皮膚病変が血液学的診断に約6か月先行した報告があることとSweet症候群の診断から骨髄異形成症候群の診断までの平均が17か月であったこと、診断の節でvon den Drieschの1994年基準が大基準2項目(突然発症する有痛性の紅斑性局面または結節、血管炎を伴わない好中球浸潤の組織像)の両方と小基準4項目(38℃を超える発熱、炎症性疾患・妊娠・先行する上気道/消化管感染またはワクチン接種、全身性ステロイドまたはヨウ化カリウムへの反応、赤沈20 mm/h超・CRP上昇・白血球8,000/μL超・好中球70%超の4項目中3項目を満たす検査値異常)のうち2項目以上を要すること、Nofalらが2017年に改訂案を提唱したこと、好中球性皮膚症がSweet症候群・好中球性エクリン汗腺炎・壊疽性膿皮症・ベーチェット病などを含む枠組みであることを確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Sweet Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2022)病因の節で薬剤誘発性Sweet症候群の起因薬としてG-CSFが最も多く、ミノサイクリン・ニトロフラントイン・ヒドララジン・フロセミド・ジクロフェナク・アザチオプリン・カルバマゼピン・ボルテゾミブ・イマチニブ・イピリムマブ・クロザピン・プロピルチオウラシルなどが挙がること、組織所見の節で真皮網状層のびまん性・密な好中球浸潤と白血球核破砕・乳頭層浮腫を認め真の血管炎所見は通常欠けること、検査所見の節で赤沈・CRPの上昇と末梢血白血球増多・好中球増多を認めること、臨床像の節で関節症状が症例の30〜60%にみられ、眼病変として結膜炎・上強膜炎・強膜炎・角膜炎・ぶどう膜炎が生じ、まれに心筋炎・多発性無菌性骨髄炎・肺胞炎・胸水・無菌性髄膜炎を来すこと、ベーチェット病と同様のpathergy反応陽性がSweet症候群でもみられること、経過の節で適切な治療により瘢痕を残さず治癒することを確認した。閲覧 2026-08-20
  3. 3.Acute Febrile Neutrophilic Dermatosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)病因の節で急性骨髄性白血病がSweet症候群と最も高頻度に関連する腫瘍性病態であり、悪性腫瘍関連例の血液悪性腫瘍のうちAMLが42%・骨髄増殖性疾患が22%を占めること、皮疹が腫瘍の発生に先行しても後行しても同時でもありうること、薬剤誘発性ではG-CSFが最も多く報告される起因薬であること、診断の節でSu と Liu の基準が大基準2項目(突然発症と矛盾しない組織像)に加えて小基準4項目のうち2項目以上を要し、その検査値異常の項目が赤沈20 mm/h超・白血球8,000/μL超・好中球70%超・CRP上昇の4項目中3項目を満たすことを求めること、治療の節で成人では経口プレドニゾン0.5〜1 mg/kg/日で開始し症状は48時間で軽快・皮疹は1〜2週で消退し4〜6週かけて漸減すること、二次治療がダプソン50〜100 mg/日・ヨウ化カリウム300 mgを1日3回・コルヒチン0.5 mgを1日3回であること、予後の節で再発が古典型で約30%、血液悪性腫瘍を背景に持つ例では最大69%に及ぶことを確認した。閲覧 2026-08-20