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Drug Atlas · B3 Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤 · 必修

フィルグラスチム

filgrastim

分類
Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤
商品名(日本)
グラン
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
禁忌疾患
鎌状赤血球症
副作用
骨痛
監視検査値
白血球数
対象疾患
急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)骨髄異形成症候群再生不良性貧血無顆粒球症
原因となる疾患
毛細血管漏出症候群

🧠 全体像組換えG-CSFであり、B3の「(どの系統を増やすか)」のうち好中球系を担当する代表薬。)・(血小板系)と並ぶ位置づけで、「貧血治療薬」のページに載っているが貧血の薬ではないという頻出のひっかけの主役でもある。骨髄からの好中球産生を促すだけでなく、末梢血へのという化学療法とは別の使い道も持つ。

薬効群の中での位置づけ

系統 薬剤 標的 機序 代表適応
EPO受容体 組換えEPOとしての増殖・分化を促進 CKDに伴う貧血・化学療法に伴う貧血
好中球系 G-CSF受容体 の増殖・分化・末梢への動員を促進 好中球減少症・
血小板系 TPO受容体() の増殖・分化を促進 慢性ITP

の使い分けは「されているかどうか」がほぼすべて。 両者は同じG-CSFだが、は半減期が短く連日投与が必要な分、投与量やタイミングを毎日調整でき、好中球減少症の投与・のようにきめ細かく反応を見ながら使う場面に向く。は1サイクルに1回で済む分、化学療法後の一次・という決まった使い方に特化する(詳細はのノートを参照)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='filgrastim'>フィルグラスチム</span>(組換えG-CSF)を皮下または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV dosing'>静脈内投与</span>"] --> B["骨髄の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granulocytic'>顆粒球系</span>前駆細胞のG-CSF受容体に結合"]
    B --> C["JAK2-STAT3経路を活性化"]
    C --> D["好中球前駆細胞の増殖・分化・成熟を促進"]
    D --> E["末梢血中の好中球数が増加"]
    B --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow stromal cell'>骨髄間質細胞</span>とのCXCR4/CXCL12(SDF-1)接着を弱める"]
    F --> G["造血幹細胞が骨髄から末梢血へ動員される"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apheresis'>アフェレーシス</span>による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral blood stem cell, PBSC'>末梢血幹細胞</span>採取(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conditioning regimen'>移植前処置</span>)"]

💡 化学療法の直前・直後には原則として投与しない。 G-CSFは分裂中のを増殖させる薬であり、に対する感受性をかえって高めるおそれがあるため、通常は化学療法投与終了の24〜72時間後から開始し、次サイクルの化学療法開始24時間前までに終了するタイミングで使う。

適応

領域 使いどころ
腫瘍血液内科 化学療法による好中球減少・の予防と治療、の回復促進
白血病・ の支持療法として好中球減少期間を短縮
動員(のドナーとして前に投与)
災害・医療 骨髄抑制用量の放射線に急性した患者()のを高める適応1

用法・用量

が基本(骨髄抑制が高度な場合はも可)。好中球減少症治療では好中球数が回復基準に達するまで連日投与、では採取予定日の数日前から連日投与する。実際の用量・投与期間は適応・体重・好中球数の推移で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌鎌状赤血球症(好中球増多に伴う血管内皮への好中球接着増加が重症を誘発しうる)
  • 注意:化学療法・放射線療法の前後24時間以内の投与は避ける(分裂中のの感受性を高めるおそれ)
  • 白血病系の骨髄悪性腫瘍では、原疾患の増殖を促す可能性を念頭に、適応と時期を慎重に判断する

副作用

頻度 内容
高頻度 での急速な顆粒球産生による)、注射部位反応
注意 一過性の上昇、尿酸・LDH上昇
重篤・まれ 、鎌状赤血球クリーゼ、アレルギー反応

まとめ

  • のうち好中球系を担当する組換えG-CSF。・血小板系()とは別系統で、「貧血治療薬」ではない。
  • G-CSF受容体→JAK2-STAT3経路で好中球前駆細胞の増殖・分化を促進し、骨髄間質との接着を弱めて幹細胞を末梢血へ動員する。
  • 化学療法後の好中球減少・の予防治療と、前のの2本柱。加えて、骨髄抑制用量の放射線への急性患者のを高める適応も持つ。
  • 化学療法の前後24時間は投与を避ける(の化学療法感受性を高めるため)。
  • 鎌状赤血球症は禁忌(重症の誘発)。
  • 半減期が短く連日投与が必要な点が、単回投与で済むとの最大の違い。
  • 高頻度副作用は。重篤な副作用は・ARDS・とまれ。

出典

  1. 1.NEUPOGEN (filgrastim) injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / DailyMed・2026)骨髄抑制性化学療法・骨髄移植後・重症の先天性/周期性/特発性好中球減少症・末梢血幹細胞動員という適応に加え、骨髄抑制用量の放射線に急性被曝した患者の生存率を高める適応(造血症候群型急性放射線症候群)を持つことを確認した。閲覧 2026-08-03