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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬 · 必修

ボルテゾミブ

bortezomib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(日本)
ベルケイド
商品名(EU)
Velcade
科目
Pharmacology
トピック
B35: Drugs used in cancer treatment V (Small molecule signal transduction inhibitors. Retinoids)
副作用
神経障害性疼痛
影響検査値
血小板減少
対象疾患
Waldenströmマクログロブリン血症アミロイドーシスマントル細胞リンパ腫多発性骨髄腫
原因となる疾患
水痘・帯状疱疹

🧠 全体像という、B35の中でも独自のを持つ薬。細胞は不要になった蛋白質や誤って折り畳まれた蛋白質を26Sプロテアソームで常時分解しているが、これを止めると異常蛋白質が細胞内に蓄積して細胞死へ向かう。の腫瘍細胞は大量の免疫グロブリンを合成するため、もともと蛋白質の折り畳み負荷()が高く、プロテアソームという「ゴミ処理システム」を止められると正常細胞より先に破綻しやすい——これがの根拠になる。第一世代のとして治療を大きく変えた薬である一方、末梢神経障害という特徴的な副作用が用量・の工夫を必要とし続けている。

薬効群の中での位置づけ

標的 代表薬 狙う対象
DNA修復・アポトーシス制御 ゲノムの・細胞死のスイッチ
(プロテアソーム) 細胞内の「ゴミ処理システム」そのものを止め、異常蛋白の蓄積で細胞死を誘導
未分化な腫瘍細胞を強制的に分化させる

分泌蛋白質の合成量が多い腫瘍(の形質細胞、)ほどプロテアソーム阻害の影響を受けやすいという、腫瘍の生物学的特徴と薬の効きやすさが直結する好例。

機序

flowchart TD
    A["形質細胞が大量の免疫グロブリンを合成"] --> B["誤って折り畳まれた蛋白質が生じる<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endoplasmic reticulum (ER) stress'>小胞体ストレス</span>)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ubiquitination'>ユビキチン化</span>された不要蛋白質を<br>26Sプロテアソームが分解"]
    C --> D["蛋白質の恒常性が保たれ細胞は生存"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bortezomib'>ボルテゾミブ</span>が26Sプロテアソームの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='chymotrypsin-like activity'>キモトリプシン様活性</span>部位を可逆的に阻害"] --> F["異常蛋白質の分解が止まる"]
    F --> G["細胞内に異常蛋白質が蓄積"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unfolded protein response (UPR)'>小胞体ストレス応答</span>が破綻"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apoptosis induction'>アポトーシス誘導</span>"]
    E -.->|"NF-κB経路のIκB分解も阻害"| J["NF-κBを介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='survival signal'>生存シグナル</span>も抑制"]

💡 NF-κB経路の抑制も見逃せない副次的機序。 プロテアソームはIκBの分解も担っており、これが止まるとNF-κBが核へ移行できず、腫瘍細胞のとの相互作用(シグナルを含む)も抑えられる。

薬物動態

項目 値・特徴
静注または皮下注射。皮下注射は静注に比べ末梢神経障害の頻度が低いことが示され、現在はが優先される
代謝 主にCYP3A4・CYP2C19
半減期 で約9〜15時間

適応

領域 使いどころ
血液 :初発・再発いずれでも、他剤(など)とのの中心的な構成薬剤
血液
血液 との併用

用法・用量

:週2回(3週投与1週など)または週1回のスケジュールで皮下注射または静注する。他剤併用レジメンに組み込まれることが基本。末梢神経障害・血小板減少の程度に応じて減量・の延長を行う。実際の用量・スケジュールはレジメン・施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 末梢神経障害・疼痛などの症状が出たら速やかに減量・する。への変更でリスクを下げられる
  • ⚠️ 帯状疱疹()の再活性化:投与中は抗ウイルス薬の予防投与を検討する
  • 血小板減少:投与サイクルごとに血算を確認する
  • を伴うことがある
  • のある患者では慎重投与(ただし腎機能低下自体は禁忌ではない)

副作用

頻度 内容
高頻度 (末梢神経障害)、悪心・嘔吐、疲労、便秘
注意 血小板減少、帯状疱疹の再活性化、
重篤・まれ 重度の末梢神経障害(不可逆例あり)、、心毒性、

まとめ

  • 26Sプロテアソームを阻害し、異常蛋白質の蓄積によるアポトーシスを誘導する第一世代の
  • 分泌蛋白質の合成量が多いの形質細胞で特に効きやすい(の負荷が高いため)。
  • 治療の中心的薬剤の一つ。にも使う。
  • 末梢神経障害への変更でリスクを下げられる。
  • 帯状疱疹再活性化・血小板減少にも注意し、予防投与や血算モニタリングを行う。
  • NF-κB経路の抑制という副次的機序も骨髄腫の抑制に寄与する。