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Disease Atlas · 内分泌・代謝 · 先天性疾患

ビタミンD依存性くる病

Vitamin D-dependent rickets

別名
Pseudovitamin D deficiency rickets偽性ビタミンD欠乏症くる病Hereditary vitamin D-resistant ricketsHVDRR
臓器系
内分泌・代謝運動器
科目
PediatricsInternal Medicine
トピック
小児科 38:カルシウム・リン代謝の内分泌疾患とくる病内科学 S-13:骨軟化症とくる病
上位概念
くる病・骨軟化症
鑑別疾患
X連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症
治療薬
カルシトリオール
症状
骨変形O脚・X脚
検査値
カルシウム血清リンアルカリホスファターゼPTHビタミンD代謝物

🧠 全体像:(VDDR)は、日光・食事は十分でもビタミンDの活性化経路そのものが遺伝的に働かないために生じる、くる病・の遺伝性である。⚠️ 型の見分け方が本ノートの核心。 1A型(CYP27B1=欠損)・1B型(CYP2R1=欠損)はを作れない病態で少量の補充で反応するのに対し、2A型(VDR変異)はを受け取れないの病態で、1,25(OH)₂D値はむしろ高値をとり、治療にも大量投与を要する。

病態生理と型の分類

  • 通常の経路は、皮膚・食事由来のビタミンDが肝で25位水酸化され25(OH)Dに、次いでで**(CYP27B1)**により1位水酸化されて活性型1,25(OH)₂D()となり、(VDR)を介してを促す(詳細はを参照)。
  • 1A型(VDDR1A):CYP27B1の変異により25(OH)Dから1,25(OH)₂Dへの変換ができない。原料(25(OH)D)はあるのに活性化する酵素が無い状態1。
  • 1B型(VDDR1B):CYP2R1(肝の主要な)の変異により、そもそも25(OH)D自体が作られにくい。1A型よりさらに上流の障害にあたる。
  • 2A型(VDDR2A):VDRの変異により受容体が1,25(OH)₂Dと相互作用できなくなるの病態1。ホルモンは作られているのに受け取れない状態であり、1A・1B型とは成り立ちが逆になる。
  • 💡 「作れない(1A・1B)」か「受け取れない(2A)」かが、1,25(OH)₂D値の向きを決める。 1A・1B型では活性型ホルモンが作られないため1,25(OH)₂Dは低値になるが、2A型ではを代償しようと上昇→刺激が働き続けるため、1,25(OH)₂Dはむしろ高値をとる1。
  • ⚠️ 2A型の一部(重症型)は全身性の脱毛を伴うことがある。VDRが毛包の周期にも関与するためで、脱毛の有無は1A・1B型との臨床的な鑑別点になる。

ビタミンD欠乏性くる病・低リン血症性くる病との鑑別

⚠️ 25(OH)D・1,25(OH)₂D・リンの組み合わせが型を決める。 くる病・の中で、本症は栄養性の、型の(〈〉など)とパターンで区別する。

病型 25(OH)D 1,25(OH)₂D Ca
(栄養性) 低値 正常〜低値 低値 低値〜正常 高値
VDDR1A(CYP27B1欠損) 正常〜高値 低値 正常〜軽度低値 低値(高度) 高値
VDDR1B(CYP2R1欠損) 低値 低値 正常〜軽度低値 低値 高値
VDDR2A(VDR抵抗性) 正常 高値 低値 低値 高値
(等、関連) 正常 正常〜低値 著明低値 正常 正常〜軽度高値

VDDR1A の生化学プロファイルは、高度な・正常〜軽度低値の・高値・高値・正常〜高値の25(OH)Dという組み合わせで特徴づけられる2。⚠️ 25(OH)Dが正常であることは「ビタミンD欠乏性ではない」ことを示すだけで、VDDR自体を除外しない——1A・2A型では25(OH)Dは正常のことが多く、との鑑別にはリン・の組み合わせが必要になる。

臨床像

  • 発症は乳幼児期が典型的で、、O脚・などの、手関節・の肥厚、、歩行開始の遅延を来す2。
  • 高度なを背景に、乳児期には・性けいれんで発見されることがある。
  • 画像上はの・拡大・を認める(くる病・に共通する所見)2。
  • 2A型では上記に加え、を伴うことがある点が他の型と異なる。

治療

flowchart TD
  A["高度低Ca血症+くる病所見"] --> B{"1,25(OH)2Dは低値?高値?"}
  B -->|"低値(作れない)"| C["VDDR1A/1B"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcitriol'>カルシトリオール</span>少量〜中等量で反応"]
  B -->|"高値(受け取れない)"| E["VDDR2A"]
  E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcitriol'>カルシトリオール</span>大量投与+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcium supplementation'>カルシウム補充</span>"]
  F --> G{"経口療法で反応不十分?"}
  G -->|"はい(受容体抵抗性が強い)"| H["高用量カルシウム<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intravenous drip infusion (IV infusion)'>点滴</span>を要することがある"]
  • 1A・1B型:欠けている活性化段階を薬理学的にバイパスする()の投与に良好に反応する1。
  • 2A型:受容体そのものが抵抗性であるため、の高用量投与とが必要になる1。標準量のでは反応が乏しく、経口療法でも制御できない重症例では、受容体を介さない機序でCaを補うため高用量カルシウムが必要になることがある。
  • いずれの型も、栄養性ので用いる(未活性型)の増量だけでは反応しない点が診断的にもにも重要である——1A・1B型は活性化できず、2A型は受容体が反応しないため。

まとめ

  • VDDRはビタミンD活性化経路のによるくる病で、1A型(CYP27B1)・1B型(CYP2R1)はを「作れない」病態、2A型(VDR)は「受け取れない」の病態である。
  • 1,25(OH)₂D値の向き(1A・1B型で低値、2A型で高値)が型を分ける鍵で、2A型はを伴うことがある。
  • は25(OH)D低値、(等)はリンの著明低値がそれぞれ目立ち、VDDRとは25(OH)D・1,25(OH)₂D・リンの組み合わせで鑑別する。
  • 治療は1A・1B型が少量〜中等量、2A型が高用量+で、未の増量だけでは効かない。

出典

  1. 1.Rickets(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)遺伝性ビタミンD依存性くる病が複数の型に分類されること、1A型(VDDR1A)が`CYP27B1`の常染色体劣性変異により25-ヒドロキシビタミンDを1,25-ジヒドロキシビタミンDに変換できない病態であること、2A型(VDDR2A)がビタミンD受容体(`VDR`)遺伝子の変異により受容体が1,25-ジヒドロキシビタミンDと相互作用できなくなる病態であること、治療はVDDR1A・1B型がカルシトリオール(1,25-ジヒドロキシビタミンD)で、VDDR2A・2B型がカルシトリオールの高用量投与とカルシウムで行われることを確認した。閲覧 2026-09-01
  2. 2.Phenotypes and Genotypes of Children with Vitamin D-Dependent Rickets Type 1A: A Single Tertiary Pediatric Center in Vietnam(Diagnostics (MDPI)・2025)ベトナムの小児19例のVDDR1A(`CYP27B1`双アレル変異)の後方視的検討から、診断時の生化学所見が高度な低カルシウム血症、正常〜軽度低値の血清リン、アルカリホスファターゼ高値、PTH高値、正常〜高値の25-ヒドロキシビタミンD値であったこと、臨床像として手関節・足関節の肥厚(19/19)、O脚・X脚(18/19)、成長不良(18/19)、くる病数珠(12/19)、歩行開始の遅延(11/19)を認めたこと、画像所見として骨幹端の杯状変形・拡大・毛羽立ちを全例で認めたことを確認した。閲覧 2026-09-01