内科学

内科学 · S-17

痛風

Gout

前提:病態
痛風治療薬・頭痛治療薬
前提:正常
ヌクレオチド代謝と尿酸の生成・排泄
薬剤
プロベネシド
疾患
痛風
症状
急性痛風
検査値
尿酸
画像所見
二重輪郭徴候

🧠 全体像:痛風は、が関節・組織へして生じる炎症性結晶関節炎である。急性発作時のは正常のことがあり、確定の基本は中の結晶同定である。発作を鎮める治療と、長期のを分けて考える。

病態と臨床経過

尿酸産生増加または、より多い低下によりとなり、結晶がと好中球炎症を活性化する。、肥満・、アルコール、プリン過剰、脱水、・、、などがリスクとなる。

病期 特徴
無症候性 や発作が明らかでない
急性発作 夜間急発症、4〜12時間で最大、発赤・熱感・激痛;第1MTP関節のが典型
間欠期 発作間は無症状でも結晶は残り得る
慢性結節性痛風 、骨びらん、耳介・・などの

診断

flowchart TD
    A["急性の発赤・腫脹関節"] --> B["可能なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arthrocentesis'>関節穿刺</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polarization microscope'>偏光顕微鏡</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Gram stain'>Gram染色</span>・培養"]
    C --> D{"針状・強い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='negative birefringence'>負の複屈折</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='monosodium urate crystal'>MSU結晶</span>"}
    D -->|"あり"| E["痛風を支持"]
    D -->|"なし/穿刺不能"| F["超音波または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dual-energy CT'>デュアルエナジーCT</span>を補助に"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='septic arthritis'>敗血症性関節炎</span>の併存を除外"]

尿酸値、、、腎機能を確認するが、発作中の正常尿酸値で除外しない。単純X線では慢性期に縁が張り出す様びらんを認める。結晶が見えてもは併存し得る。

急性発作の治療

発症早期に、併存症・腎機能・薬物相互作用に応じて、低用量、経口または関節内グルココルチコイドのいずれかを用いる1。重症多関節例では併用を検討する。の静注は重篤な毒性のため行わない。安静、冷却を併用する。

長期管理

項目 実践
の強い適応 、痛風による画像上の損傷、頻回発作(年2回以上)
条件付きの適応 2回目以降の発作だが頻度が年2回未満の例
初回発作 原則としてを開始しないことが条件付き推奨。ただしCKD3以上、尿酸 >9 mg/dL、のいずれかがあれば開始を条件付きで推奨
無症候性 発作も皮下結節もなければ、薬物を開始しないことが条件付き推奨
第一選択 ;でも低用量から開始し漸増
目標 血清尿酸 <6 mg/dLを基本に
、または低用量ステロイドを開始時から通常3〜6か月以上
代替 、条件を満たす場合の;難治性重症例の

💡 ACR 2020は42の推奨を出し、うち16が「強い推奨」である(逐語は「Forty-two recommendations (including 16 strong recommendations) were generated」。16の内訳は本文のに、の適応3・開始6・漸増と目標達成型2・不成功後の対応2、発作治療3と書かれている。前版からの「格上げ」ではなく、この版で付けられた強さの分布である)。強い推奨に入ったのは、・痛風による画像上の損傷・頻回発作のある全患者への開始、第一選択としての(中等度〜重度=3以上を含む)、低用量からの開始(100 mg/日以下、ではさらに低用量/40 mg/日以下)、**血清尿酸を繰り返し測って用量を調整する目標達成型(treat-to-target)戦略で目標を<6 mg/dLに置くこと、開始時に少なくとも3〜6か月の抗炎症予防を併用すること、そして発作治療に・・グルココルチコイド(経口・関節内・筋注)を用いることである1。⚠️ **「症状が出たら治す」(treat-to-symptom)ではなく目標達成型が推奨される点が実務でいちばん外れやすい。尿酸値を測らずにを固定用量で出し続けるのは、この推奨の反対側にある。

はを併用すれば急性発作中にも開始できる。ただしこれはACR 2020では条件付き推奨であり(発作が治まってから始めるより発作中に始めることを条件付きで推奨)、原文は「すべての条件付き推奨と同様に、発作が治まるまで開始を遅らせるという代替を妥当に支持する患者要因や希望がありうる」と明記している。「発作が治るまで待つ」を誤りとして切り捨てない1。既に服用中なら発作が起きても通常中断しない。-B*58:01の保有率が高い集団(ACR 2020が名指しするのは東南アジア系=漢民族・韓国系・タイ系7.4%と、アフリカ系米国人3.8%。白人・ヒスパニック系は各0.7%)では開始前検査を条件付きで推奨し、それ以外の集団への一律検査は条件付きで推奨しない(いずれも確実性は very low)。⚠️ これとは尺度の違うでは漢民族 約10〜15%、韓国系 約12%、タイ系 約6〜8%で、欧州系と日本人はともに約1〜2%とひとまとめに書かれている——保有率とは分母が違うので並べて読まない2。は主にの薬で、風の標準ではない。体重、アルコール、飲料、食事、血圧・脂質・腎疾患を同時に管理する。

⚠️ の心血管シグナルは2つのでが割れている。 痛風と心血管疾患を併存する6,190例のCARES試験では、はでにだった(10.8%対10.4%、1.03)一方で、(1.22、95%CI 1.01〜1.47)と心血管死(1.34、95%CI 1.03〜1.73)は群で高かった。ただし試験薬中止56.6%・追跡脱落45.0%という解釈上の大きな限界がある3。対して心血管リスク因子をもつ高齢者を長期に追ったFAST試験では、はにで、死亡やの増加も認めなかった4。どちらか一方に決めつけず「割れている」と覚えるのが正確で、いずれにせよ第一選択がである点は動かない1。

まとめ

  • のを確認し、同時に培養して感染併存を除外する。
  • 急性期は、低用量、グルココルチコイドから選ぶ。
  • を低用量から漸増し、尿酸 <6 mg/dLと3〜6か月を基本とする。

出典

  1. 1.2020 American College of Rheumatology Guideline for the Management of Gout(American College of Rheumatology・2020)全文(PMC10563586)で確認した。42の推奨(うち16が強い推奨)のうち強い推奨には、痛風結節・痛風による画像上の損傷・頻回発作(年2回以上)のあるすべての患者への尿酸降下療法(ULT)開始、中等度〜重度の慢性腎臓病(ステージ3以上)を含む第一選択としてのアロプリノール、低用量からの開始(逐語は「≤100 mg/day [and lower in patients with CKD] for allopurinol or ≤40 mg/day for febuxostat」=アロプリノール100 mg/日以下・フェブキソスタット40 mg/日以下)、血清尿酸値を繰り返し測定して用量を調整し目標を6 mg/dL未満に置く目標達成型(treat-to-target)戦略、ULT開始時に少なくとも3〜6か月の抗炎症予防を併用すること、および発作の治療にコルヒチン・NSAID・グルココルチコイド(経口・関節内・筋注)を用いることが含まれる。⚠️ 発作中のULT開始はこれらと違って条件付き推奨であり、逐語「As with all conditional recommendations, there may be patient factors or preferences that would reasonably support the alternative of delaying ULT initiation until the flare has resolved」のとおり、発作が治まるまで開始を遅らせる代替も患者要因によっては妥当だと原文が明記している閲覧 2026-09-17
  2. 2.Allopurinol Therapy and HLA-B*58:01 Genotype(NCBI Medical Genetics Summaries(CPIC/ACRガイドラインに基づく)・2020)HLA-B*58:01スクリーニングはACR 2020で東南アジア系(漢民族・韓国系・タイ系など)・アフリカ系米国人に条件付きで推奨。⚠️ 本文献には尺度の異なる2組の数値がある。ACRガイドラインの節が引く保有率(prevalence)は漢民族・韓国系・タイ系7.4%、アフリカ系米国人3.8%、白人・ヒスパニック系各0.7%。別に本文が示すアレル頻度(allele frequency)は漢民族 約10〜15%、韓国系 約12%、タイ系 約6〜8%で、日本人は欧州系と同じ区分に置かれ約1〜2%である(日本人の保有率そのものは本文献に示されていない)閲覧 2026-09-17
  3. 3.Cardiovascular Safety of Febuxostat or Allopurinol in Patients with Gout(The New England Journal of Medicine(CARES、White WB et al.)・2018)痛風と心血管疾患を併存する6,190例を対象とし腎機能で層別した多施設二重盲検非劣性試験(中央値32か月追跡)で、フェブキソスタットは主要評価項目(心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・緊急血行再建を要する不安定狭心症の複合)についてアロプリノールに非劣性であった(10.8%対10.4%、ハザード比1.03、片側98.5%信頼区間上限1.23、非劣性のP=0.002)が、全死亡(ハザード比1.22、95%CI 1.01〜1.47)と心血管死(ハザード比1.34、95%CI 1.03〜1.73)はフェブキソスタット群で高かった。試験薬は56.6%で中止され45.0%が追跡から脱落しており、この点が解釈上の大きな限界である閲覧 2026-08-25
  4. 4.Long-term cardiovascular safety of febuxostat compared with allopurinol in patients with gout (FAST)(The Lancet(FAST investigators)・2020)心血管リスク因子を有する高齢患者でフェブキソスタットはアロプリノールに対し主要心血管イベントで非劣性、長期使用で死亡・重大有害事象の増加なし閲覧 2026-08-25