薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A13 Antigout drugs / 痛風治療薬 · 必修

ラスブリカーゼ

rasburicase

分類
Antigout drugs / 痛風治療薬
商品名(日本)
ラスリテック
商品名(EU)
Fasturtec
科目
Pharmacology
トピック
A13: Drugs used for treatment of gout. Drugs for headache syndromes
禁忌疾患
遺伝性・後天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症・G6PD欠乏症・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間ヘモグロビン尿症)
監視検査値
尿酸
対象疾患
バーキットリンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)
原因となる疾患
メトヘモグロビン血症

🧠 全体像:ヒトは遺伝子を進化の過程で失っており、尿酸を代謝の最終産物として残す唯一の霊長類の一つである。はこの失われた酵素を組換え技術で補い、尿酸を一段階酸化して水溶性の高いへ変換する。が「これ以上の尿酸産生を止める」のに対し、既にある尿酸を数時間で分解するという決定的な違いを持ち、のうち急速な低下が必要な高リスク例に限定して使われる。分解過程で生じるが、という唯一な禁忌の理由になっている。

薬効群の中での位置づけ

尿酸を下げる3つのアプローチのうち、だけが「既存の尿酸を壊す」経路を取る。

アプローチ 代表薬 作用の速さ 位置づけ
産生抑制(XO阻害) 経口・効果発現に数日 風の主力。TLSでは低〜例の予防に用いる
分解促進( 静注・数時間で急速に低下 TLSの高リスク例、または既に著明ながある例に限定
排泄促進 経口 風の補助的選択肢(既往では不向き)

は「通常の風治療薬」ではない。 同じ系薬剤にpegloticase(難治性風向け)があるが、別薬剤でありの急性期対応とは適応が異なる。

機序

flowchart TD
    A["組換え<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uricase'>ウリカーゼ</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rasburicase'>ラスブリカーゼ</span>)を投与"] --> B["尿酸を酸化"]
    B --> C["不安定な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-hydroxyisourate'>5-ヒドロキシイソ尿酸</span>を経て<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='allantoin'>アラントイン</span>へ分解"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allantoin'>アラントイン</span>は尿酸よりはるかに水溶性が高い"]
    D --> E["腎からの排泄が容易になり<br>血中尿酸値が数時間で急速に低下"]
    B --> F["反応の副産物として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrogen peroxide'>過酸化水素</span>が生成"]
    F --> G{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='G6PD deficiency'>G6PD欠損症</span>か"}
    G -->|"はい"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glutathione'>グルタチオン</span>経路で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrogen peroxide'>過酸化水素</span>を処理できず<br>溶血・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Methemoglobinemia'>メトヘモグロビン血症</span>"]

💡 が禁忌になるのはそのものの副産物のため。 反応は必ずを発生させるであり、正常な赤血球は経路でこれを速やかに無毒化できるが、G6PD欠損赤血球はその能力を欠くため、に晒されて溶血する。

薬物動態

ではなく組換え蛋白製剤であり、古典的なPKより臨床上の実務ポイントの方が重要になる。

項目 特徴
静注(
作用発現 速い。投与後数時間で血中尿酸値が急速に低下する
で抗体が形成されうる。効果減弱・過敏症反応のリスクが再投与時に高まる
検体の扱い ⚠️ 採血後もが試験管内で尿酸を分解し続けるため、尿酸値測定用の検体は直ちに氷冷し速やかに処理する。 放置すると見かけ上の尿酸値が実際より低く出る

適応

領域 使いどころ
高リスク例、または化学療法開始前に既に著明ながある例(血液・
血液腫瘍の支持療法 ・高い治療感受性を持つ(特にが高い例)の化学療法導入時

用法・用量

IV。目安:体重あたりの用量を化学療法開始前後に単回〜数日投与する。G6PD欠損のリスクがある集団(地中海沿岸・アフリカ・アジア系など)では、可能な限り投与前にG6PD活性を確認する。 欠損が判明・疑われる場合はと十分な輸液へ切り替える。実際の用法・用量はプロトコルに準拠し、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(重篤な溶血・のリスク)を含む遺伝性・後天性溶血性貧血
  • ⚠️ 妊娠中の使用は個別にリスク・を評価する
  • では抗体形成による過敏症反応・効果減弱に注意する
  • 尿酸値の測定検体は直ちに氷冷・処理する(放置で見かけ上低値になる)

副作用

頻度 内容
高頻度 注入時反応(発熱、悪心)
注意 発熱、頭痛
重篤・まれ 溶血性貧血・(G6PD欠損例)、アナフィラキシー

まとめ

  • 組換え製剤。尿酸を酸化してへ分解し、既存の尿酸を数時間で急速に低下させる。
  • XO阻害薬()が「産生を止める」のに対し、は「既存の尿酸を壊す」という違う経路。
  • 。分解反応で生じるを処理できず溶血・を起こす。
  • リスクのある人種背景では投与前のG6PD活性確認が望ましい。
  • の高リスク例、または既にがある例に限定して使う(低〜で足りる)。
  • 尿酸値の検体は直ちに氷冷・処理しないと見かけ上低値になる点に注意する。