内科学

内科学 · S-39

非ホジキンリンパ腫

Non-Hodgkin Lymphomas

前提:病態
濾胞性リンパ腫/マントル細胞リンパ腫/節外辺縁帯(MALT)リンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)/バーキットリンパ腫菌状息肉症/セザリー症候群/末梢T細胞リンパ腫
薬剤
ベンダムスチン
疾患
バーキットリンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫非ホジキンリンパ腫非特定型末梢性T細胞リンパ腫

🧠 全体像:は成熟B細胞、T細胞またはNK細胞に由来する多様なリンパ系腫瘍の総称である。「NHL」という一括診断では治療を決められず、・・遺伝学を統合して正確な病型を確定する。

代表的病型

系統・病型 生物学的特徴 重要点
(DLBCL) 、最多のNHL 急速増大する腫瘤。治癒を目指す
低悪性度、しばしばBCL2関連 長い経過と再発を反復し得る
CLL/SLL 小型成熟B細胞、CD5・CD23 末梢血優位がCLL、リンパ節優位がSLL
CD5、cyclin D1、CCND1 多くはで、消化管病変もある
MYC再構成、極めて高い 対策を伴う緊急治療
成熟T細胞由来の異質な群 多くは
、ALK陽性/陰性 ALK状態は病態・予後に関係する
Sézary症候群 の型 、リンパ節腫大、腫瘍性T細胞

は緩徐でも自然治癒するという意味ではなく、は急速だが治癒可能な病型を含む。

💡 病型分類は現在ひとつではない。 2022年に -HAEM5(分類第5版)1と ICC(International Consensus Classification)2が相次いで公表され、成熟リンパ系腫瘍の病型名・定義・が一部で食い違ったまま並立している。どちらか一方だけが正しい分類ではないので、病理報告書がどちらの体系に拠っているかを確かめて読む。

臨床像

  • 無痛性リンパ節腫大、B症状、掻痒、倦怠感
  • 節外病変:消化管、皮膚、中枢神経、骨髄など、臓器に応じた症状
  • による血球減少、脾腫
  • ・高増殖病型では上昇、尿酸上昇、自然発症の

診断

flowchart TD
    A["持続するリンパ節/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extranodal mass'>節外腫瘤</span>"] --> B["可能なら切除または十分量のcore生検"]
    B --> C["形態+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunohistochemistry (IHC)'>免疫組織化学</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorescence in situ hybridization'>FISH</span>/分子・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='karyotype analysis'>染色体検査</span>で病型確定"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron emission tomography–computed tomography'>PET/CT</span>または病型に適した画像+必要時骨髄"]
    E --> F["病期・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='International Prognostic Index'>IPI</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor burden'>腫瘍量</span>・症候性を評価"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='subtype-specific treatment'>病型別治療</span>"]

前のステロイド投与は組織像を消失させ得るため、生命・臓器危機がなければ生検を優先する。診断後は、腎肝機能、、尿酸、//、心機能などを治療計画に応じて評価する。

💡 病期評価と治療反応判定は(2014年)に従う。 集積性のリンパ腫ではをの標準とし、治療反応はの5段階尺度(Deauville基準)で判定する。はと大半のDLBCLではルーチンのに不要となり、症状を示すA/Bの接尾辞はにのみ付ける3。

治療原則

状況 原則
無症候性・低の一部低悪性度病型 が適切なことがある4。無作為化試験ではリツキシマブ早期投与が次治療までの期間を延ばすが、経過観察に対するの利益は示されていない5
CD20陽性B細胞リンパ腫 anti-CD20抗体を単独または化学療法と併用
DLBCL リツキシマブを含むcurative-intentの多剤療法を病型・リスクで調整
CNS予防を含む高強度・短期間の病型特異的治療と厳格な腫瘍崩壊対策
病型によりを組み合わせる
再発・難治 、/、、CAR-Tなどを病型別に選択

治療前に再活性化、感染予防、妊孕性、を評価する。放射線、、CAR-TはすべてのNHLに一律適応ではない。

⚠️ DLBCLの一次治療とCAR-Tの位置づけは、この数年で動いた。 未治療の中間・高リスクDLBCLでは、R-CHOPのをに置き換えたpola-R-CHPが無増悪生存を改善したが、2年には有意差が出ていない(POLARIX、2022年)6。再発・難治では、初回治療に不応または12か月以内に再発したでCAR-T(axicabtagene ciloleucel7、lisocabtagene maraleucel8)が+よりイベントフリー生存を改善し、へ前倒しされた。「再発したらまずと、CAR-Tは治療以降」という旧来の順序が、この集団では標準ではなくなっている。ただしCAR-Tのは「初回不応または12か月以内再発」という条件付きで、12か月を超えて再発した例では従来どおりが選択肢に残る。

まとめ

  • NHLは一疾患ではなく、B/T/NK系の多数の病型からなる。
  • 診断の中心は十分な組織量による病理・免疫・遺伝学の統合である。
  • 経過観察から緊急化学療法、抗体、細胞療法、移植まで、治療は病型・病期・リスクにより大きく異なる。

出典

  1. 1.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Lymphoid Neoplasms(World Health Organization Classification of Tumours Editorial Board・2022)WHO分類第5版(2022年)が成熟リンパ系腫瘍の病型を再編し、階層的な系統・分化に基づく枠組みで病型名と定義を改訂したことを確認した閲覧 2026-08-25
  2. 2.The International Consensus Classification of Mature Lymphoid Neoplasms: a report from the Clinical Advisory Committee(Blood / Clinical Advisory Committee・2022)ICC 2022がWHO-HAEM5と並立する成熟リンパ系腫瘍の分類体系であり、多くの病型で定義・推奨検査・診断基準を改訂し、一部の暫定病型を独立病型へ格上げしたことを確認した閲覧 2026-08-25
  3. 3.Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma: the Lugano classification(International Conference on Malignant Lymphoma Imaging Working Group・2014)FDG集積性リンパ腫の病期評価にFDG-PET/CTを正式に組み込み、治療反応をPET-CTの5段階尺度で評価すること、症状を示すA/Bの接尾辞はホジキンリンパ腫にのみ付けること、骨髄生検はホジキンリンパ腫と大半のDLBCLではルーチンの病期診断に不要となったことを確認した閲覧 2026-08-25
  4. 4.Newly diagnosed and relapsed follicular lymphoma: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up(European Society for Medical Oncology・2021)濾胞性リンパ腫の診断、病期評価と低腫瘍量・無症候例を含む病型別治療の原則を確認した閲覧 2026-08-25
  5. 5.Rituximab versus a watch-and-wait approach in patients with advanced-stage, asymptomatic, non-bulky follicular lymphoma: an open-label randomised phase 3 trial(Lancet Oncology・2014)進行期・無症候・低腫瘍量濾胞性リンパ腫では経過観察に加え、リツキシマブ早期投与が次治療までの期間を延長する選択肢であることを確認した閲覧 2026-08-25
  6. 6.Polatuzumab Vedotin in Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma(New England Journal of Medicine・2022)未治療の中間・高リスクDLBCLでpola-R-CHPがR-CHOPよりPFSを改善した一方、2年OSに有意差を示さなかったことを確認した閲覧 2026-08-25
  7. 7.Axicabtagene Ciloleucel as Second-Line Therapy for Large B-Cell Lymphoma(New England Journal of Medicine・2022)初回治療不応または12か月以内再発の大細胞型B細胞リンパ腫でaxi-celが標準救援療法よりイベントフリー生存を改善したことを確認した閲覧 2026-08-25
  8. 8.Lisocabtagene maraleucel versus standard of care with salvage chemotherapy followed by autologous stem cell transplantation as second-line treatment in patients with relapsed or refractory large B-cell lymphoma (TRANSFORM)(Lancet・2022)初回治療不応または12か月以内再発の大細胞型B細胞リンパ腫でliso-celが救援化学療法後自家移植よりイベントフリー生存を改善したことを確認した閲覧 2026-08-25