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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 疾患

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

Eosinophilic granulomatosis with polyangiitis

別名
EGPAChurg-Strauss症候群
臓器系
免疫・膠原病呼吸器循環器
科目
Internal MedicinePathology
トピック
内科学 R-07:小血管炎内科学 S-47:血管炎病理学 C/61:急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
上位概念
ANCA関連血管炎
鑑別疾患
顕微鏡的多発血管炎好酸球性肺炎多発血管炎性肉芽腫症
合併症
心筋炎急性心膜炎ニューモシスチス肺炎
続発疾患
急性腎障害
関連疾患
気管支喘息
治療薬
メポリズマブプレドニゾロンメチルプレドニゾロンシクロホスファミドアザチオプリンリツキシマブスルファメトキサゾール+トリメトプリム
症状
多発性単神経炎触知可能紫斑発熱体重減少関節痛
検査値
好酸球増多血中好酸球数
画像所見
すりガラス影浸潤影
適応薬
メポリズマブ

🧠 全体像(EGPA、旧称Churg-Strauss症候群)は、ANCA関連血管炎のなかで唯一、①アレルギー期(喘息・)→②好酸球増多期→③血管炎期という3相の経過をたどる点でGPA・MPAと大きく異なる。もう一つの軸がANCA陽性率の低さで、陽性はおよそ40%にとどまり、ANCA陽性なら糸球体腎炎・紫斑・が、陰性なら心病変・が前面に出るという表現型の二分が臨床像を読み解く鍵になる。⚠️ 心病変(心筋炎・冠動脈炎)が治療反応不良例の死因として最多であり、好酸球を標的とするが新しい肢として承認されている。

病態

EGPAはANCA関連血管炎の一亜型だが、他の2病型(GPAMPA)と異なり、好酸球性炎症が病態の中心を占める。組織学的には腫とを伴うが特徴で、ANCAが陽性の場合は(p-ANCA)が主体である。

flowchart TD
    A["①アレルギー期<br>喘息・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allergic rhinitis'>アレルギー性鼻炎</span>"] --> B["②好酸球増多期<br>末梢好酸球増多、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary infiltrate'>肺浸潤影</span>、好酸球性胃腸炎"]
    B --> C["③血管炎期<br>喘息発症から3〜9年後に発症しうる"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myeloperoxidase ANCA'>MPO-ANCA</span>陽性か"}
    D -->|"陽性(約40%)"| E["糸球体腎炎・紫斑・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mononeuritis multiplex'>多発性単神経炎</span>が前面"]
    D -->|"陰性(約60%)"| F["心病変(心筋炎)・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary infiltrate'>肺浸潤影</span>が前面"]

3相の経過が幹になる。喘息は前駆(アレルギー)期の96〜100%で認められ、続く好酸球増多期では末梢血好酸球増多とともに・好酸球性胃腸炎・を来す。血管炎期は喘息発症から3〜9年後に発症することがあり、神経症状()がこの時期の特徴である1

⭐⭐ ANCA陽性は約30〜40%にとどまる1

臨床像

ANCA陽性(約40%) ANCA陰性(約60%)
主な標的臓器 腎(性・壊死性糸球体腎炎)、皮膚(紫斑)、末梢神経( 心臓(心筋炎)、肺(好酸球性浸潤影)
全身症状 筋痛、移動性の関節痛体重減少 好酸球増多を反映した症状が優位
ANCA型 主に(p-ANCA) ほぼ陰性

この表現型の二分は臨床的意義が大きい:心病変はANCA陰性・好酸球増多と強く関連する1

⚠️ 心病変(心筋炎・冠動脈炎)が、治療反応不良例における死因として最も頻度が高い。 無症候のことも多く、心エコー・での評価を怠らない1心筋炎に加えも来しうる。

末梢神経障害は75〜80%と高頻度で、または感覚運動性として・足の下垂で気づかれることがある1

⚠️ 等)投与中の喘息患者で血管炎症状が顕在化する例が報告されている。 多くはこの薬剤がグルココルチコイドの減量を可能にした結果、それまで抑え込まれていた既存のEGPAが「顕在化」したものと説明されるが、減量に該当しない時期の投与でも発症が報告されており、単純な顕在化仮説だけでは説明しきれない2。喘息治療薬を変更・減量した後の新規症状には注意を払う。

診断

2022年では、血管炎の診断がすでに確立していることを前提に、(最大値1×10^9/L以上で+5点)、閉塞性(+3点)、(+3点)、c-ANCA/抗PR3抗体陽性(-3点)、の好酸球優位炎症(+2点)、/などの障害(+1点)、血尿(-1点)を加減点し、合計6点以上でEGPAに分類する(感度85%、特異度99%)3。⭐ 陽性がGPAでは分類を支持する所見なのに対し、EGPAではとして減点方向に働く点が対照的である。

鑑別

GPA・MPA・EGPAの3者比較はGPA側の表を参照する。EGPAを他の2病型と分けるのは、成人発症の難治性喘息が先行すること、ANCA陽性率が約40%にとどまること、好酸球増多の3点である。血管炎としての多臓器障害(腎病変・・心病変)を欠き好酸球性のだけが前景に立つ場合は、(急性・慢性)も鑑別に挙げる。

治療

まとめ

  • EGPAはANCA関連血管炎のうち唯一「喘息→好酸球増多→血管炎」の3相をたどる病型で、ANCA陽性は約40%にとどまる。
  • ANCA陽性なら糸球体腎炎・紫斑・、陰性なら心病変・が前面に出るという表現型の二分が臨床像の理解の鍵。
  • 心病変(心筋炎・冠動脈炎)が治療反応不良例の死因として最多で、無症候でも評価を怠らない。
  • 2022年では陽性がむしろ減点方向に働く点がGPAと対照的。
  • 治療は重症度に応じグルココルチコイド・を用い、再発性・難治性の非重症例にはが選択肢となる。

出典

  1. 1.Eosinophilic Granulomatosis With Polyangiitis (Churg-Strauss Syndrome)(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)喘息が前駆(アレルギー)期の96〜100%で認められること、好酸球期が末梢好酸球増多と肺浸潤影・好酸球性胃腸炎・漿膜炎を来すこと、血管炎期が喘息発症から3〜9年後に発症しうり神経症状がその特徴であること(いずれもHistory and Physical)、ANCA陽性が約30〜40%にとどまること(Introduction)、ANCA陽性例が筋痛・移動性関節痛・体重減少・多発性単神経炎・腎病変(半月体形成性または壊死性糸球体腎炎)を来しやすい一方ANCA陰性例は心筋炎の頻度が高い好酸球性表現型をとる傾向があること(Etiology)、心病変がANCA陰性・好酸球増多と強く関連すること、末梢神経障害が75〜80%の症例にみられ多発性単神経炎または混合性感覚運動性ニューロパチーとして手首・足の下垂を来しうること(History and Physical)、心病変が治療反応不良例の死因として最も頻度が高く心筋炎・冠動脈炎が主因であること(Prognosis)、非重症例では経口プレドニゾン1mg/kg程度から開始しFive Factor Score1点以上ではシクロホスファミド静注を併用すること、臓器・生命を脅かさない再発・難治性EGPAの寛解導入にメポリズマブ(IL-5阻害薬)が推奨されること(Treatment/Management)を確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Mepolizumab or Placebo for Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis(New England Journal of Medicine(Wechsler ME, et al.、MIRRA試験)・2017)再発性・難治性EGPA患者を対象に、標準治療に加えメポリズマブ300mgを4週ごと皮下投与する群とプラセボ群を52週間比較した第III相二重盲検試験で、24週以上の累積寛解達成率がメポリズマブ群28%対プラセボ群3%(オッズ比5.91、p<0.001)、36週時点と48週時点の両方で寛解を達成した割合が32%対3%(オッズ比16.74、p<0.001)、年換算再燃率が1.14対2.27(率比0.50、p<0.001)、48〜52週の期間にプレドニゾロン換算1日4.0mg以下を達成した割合が44%対7%だったことを結果で確認した。閲覧 2026-08-11
  3. 3.2022 American College of Rheumatology/European Alliance of Associations for Rheumatology Classification Criteria for Eosinophilic Granulomatosis With Polyangiitis(American College of Rheumatology / European Alliance of Associations for Rheumatology・2022)血管炎の診断が確立し模倣疾患を除外した患者を対象に、最大好酸球数1×10^9/L以上(+5点)、閉塞性気道疾患(+3点)、鼻茸(+3点)、c-ANCAまたは抗PR3抗体陽性(-3点)、血管外の好酸球優位炎症(+2点)、単神経炎/多発性単神経炎などの運動神経障害(+1点)、血尿(-1点)を加減点し合計6点以上でEGPAに分類すること、この基準の感度が85%・特異度が99%だったことを確認した。閲覧 2026-08-11
  4. 4.Advances in the pathogenesis, diagnosis, and treatment of eosinophilic granulomatosis with polyangiitis(Therapeutic Advances in Respiratory Disease(Hua L, Xie M)・2025)ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト等)とEGPA発症の関係について、Etiology(Medication factors)節で、多くはグルココルチコイド減量に伴う既存のEGPAの「顕在化」で説明されるとしつつ、減量に該当しない時期の投与とEGPA発症の関連も報告されており病態が単純な顕在化仮説だけでは説明しきれない複雑さを持つと論じている箇所を確認した。閲覧 2026-08-11