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Symptoms · Published

触知可能紫斑

Palpable purpura

別名
触知性紫斑palpable purpura
臓器系
皮膚免疫・膠原病
科目
Internal MedicinePediatrics
トピック
内科学 S-47:血管炎内科学 R-07:小血管炎小児科 41:IgA血管炎(Henoch–Schönlein紫斑病)
関連疾患
ANCA関連血管炎IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)クリオグロブリン血症血管炎(大血管炎・中血管炎・小血管炎)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症脾摘後重症感染症

🧠 全体像:紫斑が「触れるか触れないか」は、だけで多くを語る一手である。への血液漏出だけなら紫斑は皮膚面から盛り上がらず平坦にとどまるが、血管壁そのものに炎症細胞が浸潤し血管周囲に浮腫を作ると、紫斑は隆起してになる。したがっては、血小板や凝固の異常ではなく小血管の血管炎()を第一に疑う所見であり、この一手からIgA血管炎・ANCA関連血管炎などの鑑別と、全身のどこまで侵されているかの評価が始まる。

定義と用語の整理

紫斑を「触れるかどうか」で分けると、背景にある病態がほぼ二分される。

平坦な紫斑 (本項)
病態 への血液漏出のみ 血管壁への+血管周囲浮腫を伴う出血
機序 血小板減少、、凝固異常、血管脆弱性(など) 小血管の血管炎(
代表疾患 など IgA血管炎ANCA関連血管炎

ならは正常のことが多い。血小板減少を合併していれば、血管炎に加えて別の機序が重なっていないか見直す。

大きさによる点状出血・紫斑・の分類、圧迫での消退の有無は点状出血に譲り、本項では「触れるかどうか」という軸に絞って掘り下げる。

病態生理

かどうかを決めるのは、に漏れた血液のではなく、血管壁で起きていることそのものである。小血管(細動脈・毛細血管・)の壁に好中球が浸潤し、核産物を残しながら壁が壊死する組織像が、皮膚ではとして現れる。血管壁へのと血管周囲浮腫が、本来平坦な出血斑を皮膚面から持ち上げる隆起へと変える。

同じ組織像に至る経路は一つではない。

  • 免疫複合体が血管壁に沈着し補体を活性化する経路。IgA優位の沈着ならIgA血管炎の沈着ならになる。
  • 免疫沈着をほとんど残さずに血管壁が壊死するpauci-immune型の経路。ANCA関連血管炎が代表。
  • 薬剤・感染への曝露が引き金になる過敏性の経路。

いずれも組織像は似通うため、皮膚生検だけで機序までは確定できないことが多く、血清学的な裏付け(補体、、ANCA)と組み合わせて読む。

⚠️ 見逃してはいけないもの

  • ⚠️ を見たら、皮膚だけで完結させず全身性血管炎の臓器障害を系統的に確認する。 腎(尿沈渣・血圧)、肺(肺胞出血による喀血・低酸素)、消化管(消化管出血、小児では)、末梢神経()のいずれかを取りこぼすと、確定診断を待つ間に不可逆な臓器障害が進む。
  • ⚠️ を血管炎と即断しない。 による皮膚病変や偽陽性ANCAで血管炎に酷似することがあり、抗菌薬より先にを始めるとの制御に失敗する。発熱・・血液培養歴を確認してからを決める。
  • ⭐ 小児でを伴うを見たら、を腹部所見だけで否定しない。腹痛が紫斑に先行することもある。

鑑別の進め方

⭐ 分布は機序の手がかりになる。下腿・周囲・臀部など依存部位左右対称に出現し、長時間の起立・立位で増悪するのが典型で、血管内圧の上昇が炎症を起こした血管壁からの漏出を助長すると理解できる。

鑑別の幅は、免疫複合体性からpauci-immune型、二次性まで広い。

検査は侵襲度の低い順に進める。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpable purpura'>触知可能紫斑</span>を確認"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet count'>血小板数</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coagulation assay'>凝固検査</span>で<br>血小板減少・凝固異常を除外"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinalysis (dipstick / qualitative)'>尿定性</span>・尿沈渣、血圧で<br>腎病変をスクリーニング"]
    C --> D["腎機能・補体・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cryoglobulin'>クリオグロブリン</span>・<br>ANCAを追加"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fresh'>新鮮</span>な病変があるか<br>(発症後18〜24時間以内)"}
    E -->|"はい"| F["皮膚生検(H&E+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct immunofluorescence (DIF) / direct fluorescent antibody test (DFA)'>直接蛍光抗体法</span>用検体)"]
    E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fresh'>新鮮</span>な病変の出現を待つか<br>臨床像で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='working diagnosis'>暫定診断</span>"]
    F --> H["沈着パターン・臨床像から<br>原疾患を確定"]

対症療法の考え方

そのものへの対症療法は限定的で、と安静で浮腫と新規病変の出現をある程度抑えられる程度にとどまる。診療の軸はあくまで原疾患の治療であり、IgA血管炎の多くは支持療法で自然軽快する一方、ANCA関連血管炎のの重症臓器障害は免疫を急ぐ。「紫斑が消えた」ことは活動性の消失を意味せず、腎炎などの臓器病変は紫斑消退後に遅れて出現・進行しうるため、外見の改善だけで経過観察を打ち切らない。

まとめ

  • 紫斑がかどうかは、への血液漏出だけか血管壁への・浮腫を伴うかを分ける一手であり、なら小血管の血管炎()を第一に疑う。
  • ならは正常のことが多く、平坦な紫斑(血小板減少・・凝固異常・血管脆弱性)とは機序が異なる。
  • 下腿・周囲・臀部など依存部位への左右対称な分布、長時間の起立での増悪が典型的な分布パターンである。
  • 皮膚だけで完結させず、腎(尿沈渣・血圧)、肺胞出血、消化管出血・、末梢という全身性血管炎の臓器障害を系統的に確認する。
  • は血管炎と臨床像が似ることがあり、血液培養歴を確認してからを決める。
  • 検査は→尿検査→腎機能・補体・・ANCA→皮膚生検(発症後18〜24時間以内の病変、用検体も)の順に進める。

出典

  1. 1.Leukocytoclastic Vasculitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)白血球破砕性血管炎の皮膚生検は、発症後18〜24時間以内の新鮮な病変を非潰瘍化部位から採取したときに診断的価値が最も高いことを確認した。閲覧 2026-08-04