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Disease Atlas · 皮膚 · 腫瘍

房状血管腫

Tufted angioma

臓器系
皮膚血液
科目
Pathology
トピック
病理学 B/42:心臓・血管腫瘍
鑑別疾患
カポジ肉腫様血管内皮腫血管腫
合併症
Kasabach-Merritt現象
治療薬
シロリムスプレドニゾロンビンクリスチン
症状
皮膚結節触知可能な紫斑
検査値
血小板数フィブリノゲン

🧠 全体像:は、(KHE)と同一のスペクトラムの両極に位置するである。組織学的には真皮内の毛細血管がに房状増殖する像が特徴で、KHEより浅く、より緩徐に進行する。ここでも核心は乳児血管腫との対比にある——もKHEと同じく()を起こしうるが、通常の乳児血管腫は起こさない。一方でKHEより経過が穏やかで、自然消退する例もある。

病態・組織像

はKHEと共通の分子異常(GNA14変異)を持ち、両者は同一のスペクトラムの両極にあると考えられている。TAはKHEよりも侵襲性が低く、より浅い部位に生じる1。組織学的には、真皮内に密集した毛細血管のが線維化した間質の中に散在し、と呼ばれる像を呈する1。

診断

臨床的には乳児期〜小児期に生じる紫紅色〜暗赤色の斑・局面という見た目だけでは乳児血管腫や他のと区別しにくいため、非典型例・急速に増大する例では生検による確定診断が有用になる。

flowchart TD
    A["乳児期〜小児期の紫紅色〜暗赤色の斑・局面"] --> B{"生検で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucose transporter 1'>GLUT1</span>免疫染色"}
    B -->|"陽性"| C["乳児血管腫を疑う"]
    B -->|"陰性"| D{"組織像は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cannonball-like'>砲弾様</span>の<br>毛細血管<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lobular proliferation'>小葉状増殖</span>か"}
    D -->|"KHEより浅く境界明瞭"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tufted angioma'>房状血管腫</span>と判断"]
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep invasion'>深部浸潤</span>・境界不明瞭"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kaposiform hemangioendothelioma'>カポジ肉腫様血管内皮腫</span>を疑う"]
    E --> G{"血小板減少・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypofibrinogenemia'>低フィブリノゲン血症</span>を伴うか"}
    G -->|"あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kasabach-Merritt phenomenon'>Kasabach-Merritt現象</span>の合併"]
    G -->|"なし"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tufted angioma'>房状血管腫</span>単独として経過観察"]

⭐ 免疫染色が陰性であることが、乳児血管腫との鑑別点になる。 54例のでは、が一貫して陰性である一方、CD31・WT1(腫瘍性を支持する所見)がびまん性陽性、D2-40・Prox1が拡張したリンパ管様腔に限局性陽性であった2。は乳児血管腫では全増殖段階で陽性となるため、この違いが鑑別に用いられる。

KHE・乳児血管腫との対比

・KHE 乳児血管腫
性質 (自然消退しにくいことが多い) 良性腫瘍(自然消退する)
免疫染色 陰性2 陽性
起こりうる(KMPの原因病変全体に占める割合はが約1割・KHEが約7割)3 起こらない
深さ・進行 はより浅く緩徐、KHEはより深く侵襲性が強い を経て自然消退
第一選択治療 (経過観察が可能なこともある) 経口

⚠️ も、乳児血管腫と同じ「乳児期の」という見た目に惑わされてはならない。 通常の乳児血管腫はを起こさないため、急速増大する腫瘤に血小板減少・を伴う場合は、またはKHEを念頭に置く必要がある。

臨床像・経過

治療

⭐ 無症候・非合併症の早期例は経過観察でよいことがある一方、進行例・合併例ではを中心に治療する。 、静注、()、が用いられ、は難治例・合併例でも良好な成績を示す1。

病期・状態 対応
無症候・早期・非合併症 経過観察(自然消退しうる)
進行性・整容上の問題
合併 +、またはを追加

⚠️ KHEと同様、は乳児血管腫の薬であっての治療エビデンスとしては確立されていない。 ・ヘパリンの扱いについてものノートに準じ、活動性出血・周術期以外のは避ける3。

まとめ

出典

  1. 1.Kaposiform hemangioendothelioma and tufted angioma: two entities of the same clinicopathological spectrum(Anais Brasileiros de Dermatologia・2023)房状血管腫(TA)がカポジ肉腫様血管内皮腫(KHE)と同一のスペクトラムの両極(TAはより侵襲性が低い)であり共通の分子異常(GNA14変異)を持つこと、組織学的に真皮内の毛細血管の房状増殖が砲弾様の像を呈すること、無症候・早期・非合併症例では治療を要さないことがあること、治療には全身副腎皮質ステロイド、静注ビンクリスチン、mTOR阻害薬(シロリムス)、抗血小板薬が用いられ、Kasabach-Merritt現象を伴う難治例にもシロリムスが良好な成績を示すことを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.A retrospective study: Clinicopathological and immunohistochemical analysis of 54 cases of tufted angioma(Indian Journal of Dermatology, Venereology and Leprology・2020)房状血管腫54例の後方視的検討で、免疫染色がGLUT1陰性・CD31びまん性陽性・WT1びまん性陽性(腫瘍性であり血管奇形ではないことを支持)・D2-40とProx1が拡張したリンパ管様腔に限局性陽性であったこと、GLUT1陰性という所見が全増殖段階でGLUT1陽性を示す乳児血管腫との鑑別に有用であることを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Kasabach-Merritt Phenomenon: Classic Presentation and Management Options(Clinical Medicine Insights: Blood Disorders・2017)Kasabach-Merritt現象(KMP)の原因病変がカポジ肉腫様血管内皮腫(約7割)と房状血管腫(約1割)に限定され、通常の乳児血管腫では生じないこと、機序は腫瘍血管の裂隙状血管腔への血小板捕捉と局所でのフィブリノゲン消費であることを確認した。閲覧 2026-08-19
  4. 4.Kasabach-Merritt Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)Kasabach-Merritt症候群が血小板減少・微小血管症性溶血性貧血・消費性凝固障害を呈し、凝固検査でPT・aPTT延長・低フィブリノゲン血症・Dダイマー上昇を認めることを確認した。閲覧 2026-08-19