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Pittsburgh食道穿孔重症度スコア

Pittsburgh esophageal perforation severity score

別名
Pittsburgh Severity ScorePSS
臓器系
消化器
科目
Surgery
トピック
外科学 B/07:食道損傷
構成:症状
頻脈発熱頻呼吸低血圧
構成:検査値
白血球数
適用疾患
Boerhaave症候群食道穿孔

🧠 全体像:Pittsburgh重症度スコアは、を診断した時点の全身反応・漏出の広がり・診断の遅れ・背景疾患を10項目、0〜18点で加算し、合併症や死亡のリスクを層別化する。0〜2点は「低リスク」であり、条件が揃えばを検討できる目安だが、保存的に治療してよいという単独の許可証ではない。漏出が限局し、血行動態が安定し、汚染が軽微で、専門施設で直ちに介入できることを別に確かめる。

目的と適用場面

内容
目的 の初期重症度と有害転帰のリスクを層別化する
対象 原因を問わずと診断された患者
評価時点 初診・診断時。治療開始後の反応を追う経時スコアではない
主な用途 低・中間・高リスク群の共有、を検討できる患者の絞り込み、早期の専門科相談
用途ではないもの の診断、穿孔部位の同定、手術・内視鏡・保存治療の単独決定

だけでなく、医原性・・腫瘍関連などを含むに用いる。原著系の研究は後ろ向き観察研究であり、スコアは病態を数字で要約するであって、治療法を無作為に比較して決めた規則ではない。

構成要素と配点

各項目は該当すれば加点し、該当しなければ0点とする。10項目の合計は0〜18点である1。

項目 判定基準 点数
年齢 75歳超 1
頻脈 心拍数100回/分超 1
10,000/µL超 1
胸水 画像で胸水を認める 1
発熱 体温38.5℃超 2
非限局性漏出 造影検査またはで漏出が食道周囲に限局していない 2
呼吸数30回/分超、またはが増加 2
診断の遅れ 発症から診断まで24時間超 2
低血圧 90 mmHg未満 3
を併存 3

💡 高配点ほど「すでに局所損傷を越えている」ことを表す。 1点項目は年齢や早期の炎症反応、2点項目は汚染の拡大・・治療可能時間の逸失、3点項目は循環不全または治癒を妨げるである。合計だけでなく、どの項目で点が付いたかを同時に伝える。

解釈とカットオフ

独立した多国籍研究では、次の3群で合併症、、手術頻度、死亡率が段階的に増加した2。

合計点 リスク層 臨床的な読み方
0〜2 低リスク 他の適格条件も満たせばを検討できる
3〜5 へ安易に寄せず、専門チームで早期のを含めて検討する
6〜18 高リスク 合併症・死亡・手術の頻度が高い群として、蘇生とを急ぐ

⭐ 0〜2点の意味は「の候補になりうる」である。 2026年の救急外科アルゴリズムは、0〜2点に加えて、①血行動態が安定、②漏出が限局、③縦隔・胸腔など周囲の汚染が軽微、④発症24時間以内、⑤経験ある食道外科医へ相談できることを求める1。が引くは、敗血症の症状・徴候がないこと、周囲組織でされ大量の胸腔汚染がないこと、既存の食道疾患がないこと、専門チームが24時間で監視できることを別に求めている3。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esophageal perforation'>食道穿孔</span>を診断"] --> B["初診時の10項目を採点"]
    B --> C{"合計0〜2点か"}
    C -->|"いいえ"| D["中間・高リスクとして<br>早期の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='invasive treatment'>侵襲的治療</span>を含め専門チームで判断"]
    C -->|"はい"| E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemodynamically stable'>血行動態安定</span>・限局性漏出・汚染軽微<br>発症24時間以内・敗血症なし<br>厳密な監視と救済介入が可能か"}
    E -->|"すべて満たす"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonoperative management'>非手術的管理</span>を検討<br>禁食・抗菌薬・栄養・必要なドレナージ"]
    E -->|"満たさない"| D
    F --> G{"悪化または漏出の制御不良"}
    G -->|"はい"| D
    G -->|"いいえ"| H["画像・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clinical signs'>臨床所見</span>を反復評価"]

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 0〜2点だけで保存的治療を選ばない。 たとえば胸水がなく診断も早い患者でも、造影剤が胸腔へ大量に漏れていれば緊急のが要る。逆に点数が高いこと自体が特定の術式を指示するわけでもない。

⚠️ 診断前のスクリーニングには使わない。 胸痛・嘔吐・などからを疑った段階では、点数計算より造影CT、禁食、蘇生、、外科への談を優先する。穿孔が存在する確率を推定する診断スコアではない。

⚠️ 治療で変化した値を混ぜない。 酸素投与、輸液、、抗菌薬などの開始後には呼吸・血圧・体温が変わる。研究で検証された初診時の重症度とずれるため、可能な限り初期値で採点し、時点を記録する。

⚠️ 点数帯の検証は観察研究に基づく。 低・中間・高リスク群で転帰が違うことは示されているが、点数に従って治療を割り付ければ転帰が改善することを証明した無作為化試験ではない。穿孔の部位、原因、欠損の大きさ、組織の生存性、施設の内視鏡・外科経験を置き換えない。

まとめ

  • 10項目を0〜18点で加算し、初診時のの重症度を層別化する。
  • 0〜2点は低リスク、3〜5点は、6点以上は高リスクである。
  • 0〜2点は、の候補を示す。、限局性漏出、軽微な汚染、、敗血症なし、専門施設での厳密な監視が別に必要である。
  • 高得点は重い転帰と関連するが、点数だけで治療法や術式を決めない。

出典

  1. 1.Evidence-based, cost-effective management of nontraumatic esophageal perforations: An algorithm of the Journal of Trauma and Acute Care Surgery Emergency General Surgery Algorithms Work Group(Journal of Trauma and Acute Care Surgery Emergency General Surgery Algorithms Work Group・2026)全文のTable 2でPittsburgh食道穿孔重症度スコアの10項目と各配点を確認し(合計の最高18点は各配点の総和で、Table 2に明示はない)、Initial Evaluation and Management の節で0〜2点が非手術的管理の適格性を示唆するものの、血行動態安定、限局性穿孔、周囲汚染が軽微、発症24時間以内という条件と食道外科医への相談が別に必要であることを確認した閲覧 2026-08-31
  2. 2.Spotlight on esophageal perforation: A multinational study using the Pittsburgh esophageal perforation severity scoring system(Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery・2016)抄録で、288人の独立集団において0〜2点を低リスク、3〜5点を中間リスク、6点以上を高リスクと層別化し、点数帯が上がるほど穿孔関連合併症、在院日数、手術頻度、死亡率が増加したことを確認した閲覧 2026-08-31
  3. 3.Esophageal emergencies: WSES guidelines(World Society of Emergency Surgery・2019)食道穿孔の非手術的管理の節とTable 1(Altorjay基準)で、発症24時間以内、敗血症の症状・徴候がないこと、頸部または胸部の穿孔、周囲組織で被包された穿孔(壁内、造影剤の食道周囲への漏出が最小限で食道内へ排出される、大量の胸腔汚染がないこと)、既存の食道疾患がないこと、専門チームによる厳密な監視と24時間体制の外科・放射線科の対応が可能であることを適格条件とし、Pittsburghスコア2点以下を低重症度の補助条件とすることを確認した閲覧 2026-08-31