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Drug Atlas · B27 Prostaglandin analogs / プロスタグランジン製剤 · 必修

アルプロスタジル

alprostadil

分類
Prostaglandin analogs / プロスタグランジン製剤
商品名(日本)
プロスタンディンリプル
科目
Pharmacology
トピック
B27: Drugs acting on smooth muscles. Drugs influencing uterus contractions
承認適応
先天性心疾患
副作用
発熱顔面紅潮徐脈低血圧陰茎持続勃起症

🧠 全体像を理解する軸は「動脈管を開けたままにする」という一点に尽きる。は開いているのが当たり前の動脈管が、出生後の生理的閉鎖に逆らって開存を強制的に維持される——これが動脈管依存性の新生児にとって文字通り命綱になる。同じ受容体を介した作用は、という別のでも使われる(米国ではの治療薬として承認。日本の同一成分製剤はの「診断」目的の承認で、ではない)。ただし動脈管維持のために新生児へ持続静注する場面では無呼吸という重大な副作用が影を落とし、投与にはいつでも気道確保・人工呼吸ができるが前提になる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 主な標的 臨床的な使いどころ
(PGE1誘導体) 予防
など(PGF2α類似薬) 眼の 緑内障の下降
アルプロスタジル(PGE1そのもの) 動脈管平滑筋・海綿体平滑筋 の維持(新生児)、(米国は治療、日本は診断目的)

同じプロスタグランジンでも、標的とする平滑筋が違えば臨床的な意味がまったく変わる。 アルプロスタジルは合成誘導体ではなくPGE1そのものを補充する薬で、動脈管という特有のをターゲットにする点が他のプロスタグランジン系薬と一線を画す。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PGE1'>アルプロスタジル</span>を持続静注"] --> B["動脈管平滑筋のEP受容体を刺激"]
    B --> C["cAMP上昇により平滑筋が弛緩"]
    C --> D["動脈管の開存が維持される"]
    D --> E["体循環または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary circulation'>肺循環</span>の<br>動脈管依存性血流が保たれる"]
    A --> F["全身の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>・海綿体平滑筋のEP受容体も刺激"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral vasodilation'>末梢血管拡張</span>により低血圧・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='facial flushing'>顔面紅潮</span>"]
    F --> H["海綿体平滑筋弛緩により勃起<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='corpus cavernosum'>陰茎海綿体</span>内注射時)"]
    A --> I["機序は完全には解明されていないが<br>無呼吸が高頻度に生じる"]

💡 動脈管は「胎児循環の名残」であり、生理的には出生後に閉じるべき構造。 PGE1はその生理的閉鎖に逆らって平滑筋を弛緩させ続けることで開存を強制する。(重症・狭窄、など)では、この「逆らう」作用こそが救命の要になる。

適応

領域 使いどころ
新生児科・小児循環器 のうちでの維持(診断確定を待たず投与開始する)
泌尿器科 内注射。米国ではに次ぐ位置づけの治療薬として承認されているが、日本の当該製剤の効能・効果は「の診断」でありではない1

⚠️ 動脈管依存性が疑われた時点で、確定診断を待たずに投与を開始する。 いったん動脈管が閉鎖・線維化するとしないことがあるため、疑った時点での早期投与が要点である。

用法・用量

の維持:通常0.05〜0.1 μg/kg/分(=50〜100 ng/kg/分)でを開始し21、効果が得られたら有効最小量まで減量する(10 ng/kg/分程度まで減量できることがある)1。効果不十分な場合は最大0.4 μg/kg/分まで増量できる2

(海綿体内注射)が無効な場合の第二選択として用いる。実際の用量・濃度は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️⚠️ 無呼吸が高頻度の副作用であり、投与はいつでも気道確保・人工呼吸ができる施設・で行う。 動脈管依存性の新生児の約10〜12%(出生体重2 kg未満で特に多い)に無呼吸が生じ、多くは投与開始後1時間以内に出現する2。日本の添付文書でも同様に、無呼吸発作への対応と呼吸管理設備の必要性が「」として明記されている1

  • 動脈管依存性に対する使用そのものにはないが、重篤な心不全・肺水腫(本適応の患者を除く)、出血中の患者、妊婦には投与を避ける1
  • 投与中は呼吸状態、動脈圧、心拍数を継続的にモニタリングする
  • での海綿体内注射では、4時間を超える勃起の遷延や陰茎(6時間以上)への迅速な対処が必須で、緊急対応が可能なで使用する

副作用

頻度 内容
高頻度 発熱(約14%)、(約10%)、徐脈(約7%)
注意 低血圧(約4%)、発作(約4%)
重篤 ⚠️ 無呼吸(約10〜12%、出生体重2 kg未満で高頻度)、海綿体内注射時の陰茎

以上の頻度は動脈管依存性の新生児での成績2として無呼吸が明記されている(日本の添付文書でも同内容が「」欄に記載)21

まとめ

  • は動脈管平滑筋のEP受容体を刺激し、生理的閉鎖に逆らって動脈管の開存を強制的に維持する。
  • 動脈管依存性の新生児では、確定診断を待たず疑った時点で投与を開始することが救命の要になる。
  • 通常0.05〜0.1 μg/kg/分で開始し、有効最小量まで減量、最大0.4 μg/kg/分まで増量できる。
  • ⚠️ :無呼吸が約10〜12%(出生体重2 kg未満で高頻度)に生じ、投与開始1時間以内に多い。 気道確保・人工呼吸が可能なでのみ投与する。
  • 同じ作用を利用し、の第二選択(海綿体内注射)としても使われるが、こちらではのリスク管理が要点になる。

出典

  1. 1.PROSTIN VR PEDIATRIC (alprostadil) injection, solution — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)枠組み警告として「動脈管依存性先天性心疾患の新生児の約10〜12%(出生体重2 kg未満で特に多い)に無呼吸が生じ、多くは投与開始1時間以内に出現するため、呼吸状態を継続的にモニタリングし人工換気の支援がただちに得られる施設で使用すべきである」旨が明記されていること、開始用量が0.05〜0.1 μg/kg/分(臨床試験では0.1 μg/kg/分が推奨用量)で、反応が得られれば0.05→0.025→0.01 μg/kg/分まで減量でき、不十分な場合は最大0.4 μg/kg/分まで増量できること、禁忌は「なし」とされていること、無呼吸以外の主な副作用(発熱約14%・潮紅約10%・徐脈約7%・低血圧約4%・発作約4%)を確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.プロスタンディン注射用20μg 添付文書(2023年8月改訂、KEGG MEDICUS収載)(KEGG MEDICUS(医薬品医療機器総合機構 PMDA添付文書情報の収載)・2023)日本の添付文書でも「警告」の項に動脈管依存性先天性心疾患での無呼吸発作への対応と呼吸管理設備の必要性が明記されていること、動脈管開存維持の用法・用量が通常アルプロスタジルとして50〜100 ng/kg/分(=0.05〜0.1 μg/kg/分)の速度で開始し症状に応じて増減し有効最小量(10 ng/kg/分でも有効な場合がある)で持続投与すること、重篤な心不全・肺水腫(動脈管依存性先天性心疾患患者を除く)・出血中の患者・妊婦または妊娠可能性のある女性・過敏症の既往が禁忌であることを確認した閲覧 2026-08-11