薬理学

薬理学 · B27

平滑筋作用薬・子宮収縮作用薬

B27: Drugs acting on smooth muscles. Drugs influencing uterus contractions

前提:病態
Core5:受容体理論:作動薬・部分作動薬・拮抗薬・逆作動薬Core31:特殊集団-薬物相互作用:妊娠
応用トピック
過敏性腸症候群の薬物療法早産陣痛と早産分娩時の子宮活動と陣痛異常分娩第3期・第4期と管理分娩誘発と陣痛促進産後出血と子宮内反症
薬剤
アトシバンアルプロスタジルエタノールエルゴタミンオキシトシンオキシブチニンカルベトシンカルボプロストジメチルスルホキシドスルプロストンソリフェナシンタムスロシンテルブタリントラボプロストドロタベリンパパベリンビベグロンビマトプロストブチルスコポラミンペントサンポリ硫酸ナトリウムマグネシウム(Mg++)ミソプロストールミラベグロンメチルエルゴメトリンラタノプロスト
疾患
プロスタグランジン関連眼窩周囲症候群緑内障
症状
虹彩・眼周囲の色素沈着睫毛伸長
検査値
眼圧

🧠 全体像:平滑筋薬は「どの臓器の平滑筋を、収縮させるか/弛緩させるか」で覚える。 ①子宮を収縮・②子宮を弛緩・③膀胱/前立腺を弛緩・④消化管/胆道/尿路の痙攣を弛緩・⑤眼の↑・⑥トラップ薬。

⭐子宮は特にペアで:オキシトシン ↔ 、// = 収縮、/Mg = 弛緩。

子宮収縮薬(出産・産後出血・中絶)

⚠️ は「予防(の全例)」と「治療(出血が起きてから)」で推奨が違う。 ()の2025年版統合ガイドラインは、予防に使ってよいをオキシトシン・・の3剤に絞り、どれか1剤だけを使うよう求めている(推奨7)。一方、治療の第一選択は静注オキシトシンで、それが無いか反応しないときに初めて・オキシトシン+配合剤・プロスタグランジン(舌下800 µgを含む)が推奨される(推奨24・25)1。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='third stage of labor'>分娩第3期</span><br>(全例に予防投与)"] --> B["推奨7:オキシトシン10 IU<br>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carbetocin'>カルベトシン</span>100 µg<br>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='misoprostol, PGE1'>ミソプロストール</span>400〜600 µg経口<br>のいずれか1剤"]
    B --> C["推奨10:複数使える環境では<br>オキシトシン10 IU が第一選択"]
    A --> D["推奨9(2018年版から変更)<br>予防には推奨しない<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergometrine'>エルゴメトリン</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylergometrine'>メチルエルゴメトリン</span><br>オキシトシン+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergometrine'>エルゴメトリン</span>配合剤<br>注射用プロスタグランジン(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carboprost'>カルボプロスト</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulprostone'>スルプロストン</span>)"]
    C --> E["それでも<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postpartum hemorrhage, PPH'>産後出血</span>が起きた"]
    E --> F["推奨24:治療の第一選択は<br>静注オキシトシン<br>(予防で使っていても<span class='jp-term jp-term-diagram' title='repeated administration'>反復投与</span>してよい)"]
    F --> G["推奨25:静注オキシトシンが無い<br>または反応しない"]
    G --> H["静注<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergometrine'>エルゴメトリン</span><br>/オキシトシン+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergometrine'>エルゴメトリン</span>配合剤<br>/プロスタグランジン<br>(舌下<span class='jp-term jp-term-diagram' title='misoprostol, PGE1'>ミソプロストール</span>800 µgを含む)"]
    F --> I["推奨27:分娩後3時間以内の<br>静注<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tranexamic acid, TXA'>トラネキサム酸</span>を標準治療に追加"]
  • オキシトシン — →|適応:(医学的適応のある)・・の子宮収縮との管理|⭐複数のが使える環境では予防・治療とも第一選択1
    • ⚠️⚠️ 米国のは「選択的には適応がない」ことだけを述べている。 逐語は「Elective induction of labor is defined as the initiation of labor in a pregnant individual who has no medical indications for induction.」に続けて、利益とリスクを評価するにはデータが不十分なので Pitocin は選択的の適応をもたない、というものである2。💡 否定されているのは「医学的適応の無い誘発」であって、・・満期前後の・といった医学的適応のある誘発は同じ添付文書の適応欄に明記されている。 を「オキシトシンでの誘発は危険」と読むのは射程の取り違えである。
    • ⚠️ ・の目的で使うときは、同じ添付文書がに限り、病院内で適切な医学的監督下に行うことを求めている2。
    • ⚠️ オキシトシンにはがありを起こしうる。 添付文書は逐語で「本剤は糸球体濾液からの水の再吸収を増やす内因性のをもつ」と述べ、の欄に痙攣と昏睡を伴う重度の(24時間にわたる緩徐なに伴って生じた)とによるの報告を挙げている2。💡 このはを介するもので、低用量の中でも神経症状を伴う重度(痙攣を含む)が生じた症例が報告されている3。⭐ 長時間のと経口水分摂取が重なる場面がいちばん危ない——添付文書自身も、中に経口で水分を摂っている患者でとくにの可能性を考えるよう求めている2。
  • — (PGE1)誘導体→子宮収縮+|💡胃では潰瘍の予防薬
    • ⚠️ 産科での使用と、米国で承認されている適応は別物である。 米国添付文書が承認しているのはによる「胃」潰瘍のリスク低下(高リスク者に限る)だけで、同じ文書が逐語で「のリスクを下げることは示されていない」と明記する4。・・といった産科での使用は米国のには入っておらず、である(→B23:に影響する薬・)。
    • ⚠️⚠️ は「妊婦」である。 逐語で、妊婦への投与は・流産・早産・を起こしうるとし、続けて「またはの目的で妊婦に錠が投与されたときにが報告されている。のリスクは妊娠週数が進むほど、また帝王切開を含む子宮手術の既往があるほど高くなる」と述べる4。
    • 💡 それでもは予防に位置づけている。 2025年版ガイドラインは経口400 µgまたは600 µgを全分娩での予防の選択肢(推奨7.3)とし、治療では舌下800 µgを二次選択の一つに挙げる(推奨25)。オキシトシンの保管に冷蔵が要らず経口で投与できることが、資源の限られた環境での価値である1。
  • — PGE2誘導体→子宮収縮+|適応:・(欧州の一部の国)
    • ⚠️ 注射用プロスタグランジンはの「予防」には推奨されない。 2025年版の推奨9.3はとを名指しで予防には推奨しないとし、理由として主要(500 mL以上・1000 mL以上の出血・輸血)への利益が示されないこと、嘔吐・下痢が増えること、単価が高く入手性が限られることを挙げる1。⚠️ 「推奨しない」のは予防での使用であって、治療での位置づけ(推奨25のプロスタグランジン)とは別である。
    • 💡 2026年9月時点で、Drugs@ の検索ではに該当する承認申請が0件だった(同じ検索でオキシトシンは9件返る)。欧州の一部の国で使われる薬で、米国では流通していない。
  • — 5-HT/α/ドパミン受容体部分作動→血管収縮+子宮収縮
    • ⚠️ 産科の適応をもつのは「()」であって、片頭痛薬のではない。 米国の錠の適応は逐語で「後の・出血・子宮復古不全の管理」と「の娩出後の子宮出血の抑制」であり、は無い5。一方(配合錠)の適応は血管性頭痛=片頭痛とその亜型だけで、産科の適応は挙がっていない6。
    • ⚠️ の禁忌は逐語で「高血圧・妊娠中毒症・妊娠・過敏症」の4項目。 さらにルーチンの静注は禁じられており(突然の高血圧・を誘発しうるため)、救命のために静注がどうしても必要なときは60秒以上かけて緩徐に、血圧を注意深く監視しながら行うと定められている5。
    • ⚠️⚠️ 強力な阻害薬との併用は、に共通する危険である。 ではが、やを含む強力な阻害薬との併用で重篤・致死的なが起きるとし、併用を禁忌としている6。の添付文書は逐語で「単剤でそうした相互作用の報告は無いが、強力な阻害薬を併用すべきではない」と述べており、根拠の強さが2剤で違う(片方は報告に基づく禁忌、もう片方は類推に基づく併用回避)5。
    • ⚠️ は2025年版で、/をの「予防」から外した。 2018年版では「高血圧性疾患を安全に除外できる場合に限る」という条件付きの選択肢だったが、更新された根拠を検討したガイドライン作成グループは、臨床的利益が限られる一方で高血圧の増加(出生1000あたり43)という有害事象が残るとして推奨しないとした(推奨9.1)。⚠️ ただし同じRemarksが逐語で「この推奨はの予防への使用にのみ当てはまり、治療への使用には関係しない。治療では二次選択の一部として依然考慮されうる(推奨25参照)」と明記している。 「はもう使わない」と丸めて覚えると、治療の二次選択を落とす1。
  • — 長時間作用型薬()|適応:予防| 2025年版の推奨7.2で100 µg筋注/静注が全分娩での予防の選択肢、低温流通(コールドチェーン)を保証できない環境では製剤が推奨される1
    • 💡 はコールドチェーン不要という利点でに位置づけられた。 10か国23施設・29,645例の経腟分娩を対象としたRCT( CHAMPION試験)で、はオキシトシンに対し出血500 mL以上または追加使用というでを示した(14.5% 対 14.4%、出血1,000 mL以上の評価項目ではは示されず)7。はこの製剤について、30℃・相対湿度75%で36か月間の安定性が実証されているとし、電力供給が不安定でオキシトシンの保管が困難な環境での代替として条件付きの使用を推奨している8。

子宮弛緩薬(早産抑制)

  • — →子宮収縮↓|💡オキシトシンの直接
    • 💡 2026年9月時点で、Drugs@ の検索ではに該当する承認申請が0件だった(同じ検索でオキシトシンは9件返る)。欧州ではとして使われるが、米国では流通していないため、米国の教科書には出てこないことがある。
  • — β2作動→子宮+|⚠️頻脈/振戦/低K
    • ⚠️⚠️ 米国ではがではなく、が剤形ごとに違う。 注射剤のは「WARNING: PROLONGED TOCOLYSIS」で、逐語は「48〜72時間を超える長期のについて承認されておらず使用すべきではない。とくに外来・在宅での維持的なに使用すべきではない」9。経口剤のは「WARNING: TOCOLYSIS」で、逐語は「経口硫酸塩は急性のについても維持的なについても承認されておらず使用すべきではない」10。💡 注射剤は「長期の使用」を否定し、経口剤は「急性期も含めて」否定している——剤形をまとめて覚えると、否定されている範囲を取り違える。どちらの剤形でも米国のは12歳以上のだけである。
    • ⚠️ 短時間作用型β2作動薬の目的の使用はでも制限された。 ・ヘキソプレナリン・イソクスプリン・リトドリン・・を含むこの系統は、母児双方への重篤な心血管有害事象(頻脈・不整脈・肺水腫等)のリスクを理由に、経口・の産科適応が2013年に販売承認を取り消され、注射剤も妊娠22〜37週の間で最大48時間まで、専門医の監督下・持続モニタリング下でのみ使用できると制限された11。の目的は分娩を長くて48時間ほど遅らせて投与などの時間を稼ぐことにあり、を中心としたのCochraneレビューでも分娩までの期間延長や一部の新生児低下は示されたがの改善は示されておらず、新生児予後そのものを改善する強いエビデンスがあるわけではない12。
  • — Ca流入抑制/→・抗痙攣|適応:子癇/・・重症喘息|💡このページでは寄りだが、試験では子癇のとして重要
    • 💡 には用途が3つあり、根拠の強さがそれぞれ違う。 ①子癇の予防・治療:33か国10,141例の妊婦を対象としたMagpie試験で、プラセボ群と比べ子癇のリスクが58%低く(0.8% 対 1.9%)、も少ない傾向であった(強いエビデンス)13。②胎児の:5試験6145児を含むCochraneレビューで、早産リスクのある妊婦への出生前投与は児のを減らした(0.68、 63)(中程度のエビデンス)14。③:は2013年、の目的では5〜7日を超える継続投与を行わないよう勧告しており、この適応はで安全性・有効性が確立しておらず、5〜7日を超える投与は胎児の・・骨折を来しうるとして妊娠区分をAからDへ変更した(最も根拠が弱い)15。

泌尿器平滑筋を弛緩(膀胱・前立腺)

  • — →弛緩|適応:|⚠️口渇・便秘・尿閉・
  • — 選択的M3拮抗→弛緩||より選択的
  • — α1A遮断→前立腺/平滑筋弛緩|適応:BPH|⚠️・

消化管・胆道・尿路の鎮痙薬

  • — →GI/胆道/|中枢移行少|
  • — PDE4阻害→↑→平滑筋弛緩|胆道/腎/消化管疝痛
    • 💡 の有効性は小規模なRCTで示されているが、承認状況は国によって違う。 急性患者100例を対象とした単盲検RCTで、筋注80 mgは筋注75 mgと比べ投与60分後の疼痛減少率(61.3% 対 60.4%)・治療有効と判定された割合(90% 対 88%)のいずれにも有意差が無く、のとして代替または治療になりうると報告された16。ハンガリー発の同薬は域内やロシア・インドなど複数国で承認・使用されている一方、2026年9月時点で Drugs@ の検索では該当する承認申請が0件だった(同じ検索でオキシトシンは9件返る)。エビデンスの規模も多国籍RCTというより単施設・小規模研究が中心である。
  • — 非選択的PDE阻害→平滑筋弛緩・血管拡張|痙攣/

眼の平滑筋/房水流出に作用(PGF2α類似薬)

トラップ薬:平滑筋メインではないが同ページに出る

  • エタノール — 、または/の(ADH競合)|💡平滑筋薬ではないので分類上はトラップ
  • /()も「子宮」ではなく薬、はよりも子癇・で頻出

⭐ 高頻度ポイント:オキシトシン=子宮収縮、=で。オキシトシンの米国が否定しているのは選択的(医学的適応の無い)だけ。(PGE1)/(PGE2)=子宮収縮+、の米国のはによる「胃」潰瘍のリスク低下だけで産科使用は適応外、は妊婦。産科のは(は片頭痛薬で産科の適応が無い)、 2025年版は予防から外したが治療の二次選択には残している。=β2で子宮・気管支弛緩、米国ではがではなくの射程が注射剤(48〜72時間超)と経口剤(急性期も含めて全面)で違う。/=抗Mで膀胱弛緩、=α1A遮断でBPH。/=PGF2αで↓。エタノールは平滑筋薬ではなくトラップ。

📋 まとめ表

薬剤 系統 機序 適応・注意
オキシトシン ① →子宮収縮 医学的適応のある・・。 2025で予防・治療とも第一選択・⚠️は選択的の否定・⚠️による
①PGE1類似薬 PGE1類似薬→子宮収縮+ 2025では予防に経口400〜600 µg・治療に舌下800 µg。⚠️米国のはによる「胃」潰瘍のリスク低下だけで産科使用は適応外・⚠️⚠️は妊婦()
①PGE2類似薬 PGE2類似薬→子宮収縮+ 欧州の一部で・に使用。⚠️ 2025は注射用プロスタグランジンを「予防」には推奨しない
①(産科用) 5-HT/α/DA部分作動→血管収縮+子宮収縮 後の・。⚠️禁忌は高血圧・妊娠中毒症・妊娠・過敏症、ルーチンの静注は不可・⚠️ 2025は予防から除外、治療の二次選択には残る
①(片頭痛用) 5-HT/α/DA部分作動→血管収縮 片頭痛のみ(米国に産科の適応なし)・⚠️⚠️:強力な阻害薬との併用で、併用は禁忌
①長時間作用型薬 (長時間) 予防( 2025推奨7.2で100 µg)・低温流通が保証できない環境では製剤
② ・オキシトシンの反対・欧州で使用、米国では未流通
②β2作動薬 β2作動→子宮/気管支弛緩 米国のはのみ・⚠️⚠️(注射剤=48〜72時間超の長期、経口剤=急性期も含め全面)・⚠️頻脈/低K
(Mg++) ②Mg製剤 Ca流入抑制/ 子癇・・重症喘息
/ ③ M3遮断→弛緩 ・⚠️口渇/尿閉
③α1A遮断薬 前立腺/弛緩 BPH・⚠️/
④ →平滑筋弛緩 GI/胆道/尿路疝痛・中枢移行少
/ ④PDE阻害系 ↑→平滑筋弛緩 疝痛・
/ ⑤PGF2α類似薬 ↑→↓ 緑内障・⚠️/まつ毛増加
エタノール ⑥トラップ で消毒、ADH競合 消毒・/EG中毒解毒・平滑筋薬ではない

出典

  1. 1.Consolidated guidelines for the prevention, diagnosis and treatment of postpartum haemorrhage(世界保健機関(WHO。FIGO・ICMと共同で公表)・2025)全文PDF(111頁、ISBN 978-92-4-011563-7、© World Health Organization 2025、CC BY-NC-SA 3.0 IGO)を取得して推奨欄と Remarks を逐語で確認した。予防では推奨7が「The use of a quality-assured uterotonic is recommended for the prevention of postpartum haemorrhage during the third stage of labour for all births.」とし、7.1オキシトシン10 IU筋注/静注、7.2カルベトシン100 µg筋注/静注(低温流通を保証できない環境では耐熱性製剤)、7.3ミソプロストール400 µgまたは600 µg経口の3剤のうち1剤だけを使うよう求める。推奨10は「In settings where multiple uterotonic options are available, oxytocin (10 IU, intramuscularly/intravenously) is the recommended uterotonic agent of choice」。推奨9(UPDATED・Not recommended)は9.1エルゴメトリン/メチルエルゴメトリン、9.2オキシトシン・エルゴメトリン配合剤(5 IU/500 µg筋注)、9.3注射用プロスタグランジン(carboprost・sulprostone)を予防には推奨しない。9.1のRemarksは逐語「Ergometrine/methylergometrine was previously included in the 2018 WHO recommendations on uterotonics as a context-specific option for PPH prevention, with the condition that it is used only when hypertensive disorders could be safely excluded.」と2018年版からの変更を明示し、GDGが重視した根拠として高血圧の増加(43 per 1000 births)を挙げ、逐語「This recommendation applies only to the use of ergometrine/methylergometrine for prevention of PPH; it does not relate to its use in the treatment of PPH, where it may still be considered as part of second-line management (see Recommendation 25).」と治療への適用外を明記する。治療では推奨24が「Intravenous oxytocin is the recommended uterotonic drug for the treatment of postpartum haemorrhage.」、推奨25が「If intravenous oxytocin is unavailable, or if the bleeding does not respond to oxytocin, the use of intravenous ergometrine, oxytocin and ergometrine fixed-dose combined, or a prostaglandin drug (including sublingual misoprostol, 800 μg) is recommended.」、推奨27が分娩後3時間以内の静注トラネキサム酸の標準治療への追加である。⚠️ 取得したのは学会サイトに置かれた同一ISBNの複製PDFで、WHO本体のIRISは今回の実行では取得できなかった。閲覧 2026-09-23
  2. 2.PITOCIN- oxytocin injection(DailyMed(米国添付文書、Par Health USA, LLC、NDA018261)・2026)DailyMedの本文(印字された改訂表示は Revised: March 2026)とopenFDAの同一setidの応答で確認した。枠組み警告は IMPORTANT NOTICE と題され、逐語は「Elective induction of labor is defined as the initiation of labor in a pregnant individual who has no medical indications for induction. Since the available data are inadequate to evaluate the benefits-to-risks considerations, Pitocin is not indicated for elective induction of labor.」で、否定されているのは医学的適応の無い選択的分娩誘発だけである。INDICATIONS AND USAGE は分娩前としてRh不適合・母体糖尿病・満期前後の子癇前症・前期破水などの医学的適応がある場合の分娩誘発、子宮収縮微弱での陣痛促進、不全流産・進行流産の補助療法を挙げ、分娩後には分娩第3期の子宮収縮と産後出血の管理を挙げる。WARNINGS は逐語「Pitocin, when given for induction of labor or augmentation of uterine activity, should be administered only by the intravenous route and with adequate medical supervision in a hospital.」。PRECAUTIONS は逐語「Oxytocin has been shown to have an intrinsic antidiuretic effect, acting to increase water reabsorption from the glomerular filtrate.」と述べ、続けて逐語「Consideration should, therefore, be given to the possibility of water intoxication, particularly when oxytocin is administered continuously by infusion and the patient is receiving fluids by mouth.」と、持続点滴中に経口で水分を摂っている場面をとくに挙げる。ADVERSE REACTIONS には逐語「Severe water intoxication with convulsions and coma has occurred, associated with a slow oxytocin infusion over a 24-hour period.」「Maternal death due to oxytocin-induced water intoxication has been reported.」がある。閲覧 2026-09-23
  3. 3.Water intoxication in the course of stimulation of labor with oxytocin(Ginekologia Polska・2021)オキシトシンの抗利尿作用(V2受容体を介する)による水中毒の症例報告が、低用量のオキシトシンによる分娩促進中でも神経症状を伴う重度低ナトリウム血症の水中毒が生じうることを、単一の症例として報告したことを確認した。閲覧 2026-08-27
  4. 4.MISOPROSTOL tablet(Lupin Pharmaceuticals, Inc. / DailyMed(U.S. FDA)・2020)openFDAとDailyMedの本文で確認した。適応は逐語で "indicated for reducing the risk of NSAID (nonsteroidal anti-inflammatory drugs, including aspirin)-induced gastric ulcers in patients at high risk of complications from gastric ulcer, e.g., the elderly and patients with concomitant debilitating disease, as well as patients at high risk of developing gastric ulceration, such as patients with a history of ulcer" であり、続けて逐語で "Misoprostol Tablet has not been shown to reduce the risk of duodenal ulcers in patients taking NSAIDs" と、十二指腸潰瘍には効果が示されていないことを明記している。投与期間は逐語で "should be taken for the duration of NSAID therapy"。⚠️ 枠組み警告は妊婦への投与が先天異常・流産・早産・子宮破裂を起こしうるとして、NSAID潰瘍予防の目的で妊婦が服用してはならないと述べ、逐語で "UTERINE RUPTURE HAS BEEN REPORTED WHEN MISOPROSTOL TABLETS WERE ADMINISTERED IN PREGNANT WOMEN TO INDUCE LABOR OR TO INDUCE ABORTION. THE RISK OF UTERINE RUPTURE INCREASES WITH ADVANCING GESTATIONAL AGES AND WITH PRIOR UTERINE SURGERY, INCLUDING CESAREAN DELIVERY" と続ける。⚠️ この文書に改訂表示は印字されておらず、yearはSPLのeffective_time(20201221)から採った。閲覧 2026-09-23
  5. 5.METHYLERGONOVINE MALEATE tablet(DailyMed(米国添付文書、Volley Pharmaceuticals, LLC)・2024)DailyMedの本文とopenFDAの同一setidの応答で確認した。⚠️ 本文に印字された改訂表示が無いため year は SPL の effectiveTime(20240321)から採った。枠組み警告は無い。INDICATIONS AND USAGE は逐語「Following delivery of placenta, for routine management of uterine atony, hemorrhage and subinvolution of the uterus. For control of uterine hemorrhage in the second stage of labor following delivery of the anterior shoulder.」で、産科の適応をもつエルゴットアルカロイドはこちらである。CONTRAINDICATIONS は逐語「Hypertension; toxemia; pregnancy; and hypersensitivity.」の4項目。WARNINGS は逐語「This drug should not be administered I.V. routinely because of the possibility of inducing sudden hypertensive and cerebrovascular accidents. If I.V administration is considered essential as a lifesaving measure, methylergonovine maleate should be given slowly over a period of no less than 60 seconds with careful monitoring of blood pressure.」。Drug Interactions は、エルゴットアルカロイド(ジヒドロエルゴタミン・エルゴタミン)と強力なCYP3A4阻害薬の併用で脳虚血・四肢虚血に至る血管攣縮の報告があるとしたうえで、逐語「Although there have been no reports of such interactions with methylergonovine alone, potent CYP 3A4 inhibitors should not be coadministered with methylergonovine.」と述べる。閲覧 2026-09-23
  6. 6.ERGOTAMINE TARTRATE AND CAFFEINE tablet, film coated(DailyMed(米国添付文書、Cintex Services, LLC、ANDA040590)・2025)旧様式のラベルで本文に印字された Revised 表示が無いため、year は SPL の effectiveTime(20250327)から採った。枠組み警告は逐語「Serious and/or life-threatening peripheral ischemia has been associated with the coadministration of ergotamine tartrate and caffeine tablets with potent CYP 3A4 inhibitors including protease inhibitors and macrolide antibiotics」で、併用は禁忌とされる。CONTRAINDICATIONS は、強力なCYP3A4阻害薬(リトナビル・ネルフィナビル・インジナビル・エリスロマイシン・クラリスロマイシン・トロレアンドマイシン、およびケトコナゾール・イトラコナゾールなど)との併用(四肢の切断に至った症例やプロテアーゼ阻害薬併用下の脳虚血・死亡例が報告されている)、妊娠中または妊娠する可能性のある女性、末梢血管疾患、冠動脈疾患、高血圧、肝機能障害または腎機能障害、敗血症、成分への過敏症を挙げる。INDICATIONS AND USAGE は逐語「indicated as therapy to abort or prevent vascular headache; e.g., migraine, migraine variants or so-called “histaminic cephalalgia.”」で、産科の適応は挙がっていない。⚠️ これは米国の1文書の記載であって、他国の添付文書の禁忌欄が同じとは限らない閲覧 2026-09-23
  7. 7.Heat-Stable Carbetocin versus Oxytocin to Prevent Hemorrhage after Vaginal Birth(New England Journal of Medicine・2018)10か国23施設・29,645例の経腟分娩を対象としたRCT(WHO CHAMPION試験)で、耐熱性カルベトシンはオキシトシンに対し出血500 mL以上または追加子宮収縮薬使用という主要評価項目で非劣性を示したが(14.5% vs 14.4%)、出血1,000 mL以上という評価項目では非劣性が示されなかったと報告閲覧 2026-08-27
  8. 8.Carbetocin versus placebo or no treatment - WHO recommendations: Uterotonics for the prevention of postpartum haemorrhage(World Health Organization・2018)WHOの産後出血予防のためのウテロトニックに関する推奨文書が、耐熱性カルベトシン製剤はコールドチェーンでの保管・輸送を必要とせず30℃・相対湿度75%で36か月間の安定性が実証されていること、電力供給が不安定でオキシトシンの保管が困難な環境でのオキシトシンの代替として条件付きで使用を検討することを推奨していることを確認した。閲覧 2026-08-27
  9. 9.TERBUTALINE SULFATE injection, solution(U.S. National Library of Medicine (DailyMed) / Hikma Pharmaceuticals USA Inc.・2024)米国添付文書(2024年1月4日版)の枠組み警告 WARNING: PROLONGED TOCOLYSIS を確認した。逐語は「Terbutaline sulfate has not been approved and should not be used for prolonged tocolysis (beyond 48-72 hours). In particular, terbutaline sulfate should not be used for maintenance tocolysis in the outpatient or home setting.」で、妊婦への投与後に死亡を含む重篤な有害反応が報告されていること、母体側の有害反応として心拍数増加・一過性高血糖・低カリウム血症・不整脈・肺水腫・心筋虚血が、児側では母体投与に伴う胎児心拍数増加と新生児低血糖が挙げられていることも確認した。INDICATIONS AND USAGE は12歳以上の喘息・気管支炎・肺気腫に伴う気管支攣縮の予防と改善だけで、子宮収縮抑制は米国の承認適応ではない。閲覧 2026-09-23
  10. 10.TERBUTALINE SULFATE tablet(U.S. National Library of Medicine (DailyMed) / Upsher-Smith Laboratories, LLC・2025)米国添付文書(2025年8月27日版)の枠組み警告 WARNING: TOCOLYSIS を確認した。逐語は「Oral terbutaline sulfate has not been approved and should not be used for acute or maintenance tocolysis.」である。⚠️ 注射剤の警告が「48〜72時間を超える長期投与」を対象とするのに対し、経口剤では急性期の使用も含めて否定されており、剤形によって否定されている範囲が異なる。閲覧 2026-09-23
  11. 11.Restrictions on use of short-acting beta-agonists in obstetric indications – CMDh endorses PRAC recommendations(European Medicines Agency・2013)EUはフェノテロール・ヘキソプレナリン・イソクスプリン・リトドリン・サルブタモール・テルブタリンを含む短時間作用型β2作動薬(子宮収縮抑制薬)の産科適応を見直し、母児双方への重篤な心血管有害事象(頻脈・不整脈・肺水腫等)のリスクを理由に、経口・坐剤は産科適応の販売承認を取り消して2013年11月25日までに市場から除去したこと、注射剤は妊娠22〜37週の間で最大48時間まで、専門医の監督下・母児の持続モニタリング下でのみ使用を継続できると制限したことを確認した。閲覧 2026-08-27
  12. 12.Calcium channel blockers for inhibiting preterm labour and birth(Cochrane Database of Systematic Reviews・2014)カルシウム拮抗薬(主にニフェジピン)を中心とした子宮収縮抑制薬38試験(3550人)のCochraneレビューは、他の子宮収縮抑制薬と比較して分娩までの期間延長や一部の新生児罹患率低下を示したが、周産期死亡率の改善は示されなかったと結論している。閲覧 2026-08-27
  13. 13.Do women with pre-eclampsia, and their babies, benefit from magnesium sulphate? The Magpie Trial: a randomised placebo-controlled trial(The Lancet・2002)Magpie試験(33か国10,141例の子癇前症妊婦)で硫酸マグネシウム投与群はプラセボ群と比べ子癇のリスクが58%低く(0.8% 対 1.9%、95%CI 40-71%減)、母体死亡も少ない傾向(相対危険度0.55)であったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  14. 14.Magnesium sulphate for women at risk of preterm birth for neuroprotection of the fetus(Cochrane Database of Systematic Reviews・2009)5試験6145児を含むCochraneレビューで、早産リスクのある妊婦への出生前硫酸マグネシウム投与は児の脳性麻痺を減らし(相対危険度0.68、95%信頼区間0.54-0.87)、重度粗大運動障害も減らした(相対危険度0.61)が、小児死亡率には有意差がなく、脳性麻痺を1例回避するための治療必要数は63(95%信頼区間43-87)であった。閲覧 2026-08-27
  15. 15.FDA Recommends Against Prolonged Use of Magnesium Sulfate to Stop Pre-term Labor Due to Bone Changes in Exposed Babies(U.S. Food and Drug Administration・2013)FDAは2013年5月30日、切迫早産の子宮収縮抑制を目的として硫酸マグネシウム注射を5〜7日を超えて継続投与しないよう勧告し、これは適応外使用であり安全性・有効性が確立していないこと、5〜7日を超える継続投与は胎児の低カルシウム血症・骨減少症(osteopenia)・骨折を来しうることを理由に、妊娠区分をAからDへ変更する添付文書改訂を行ったことを確認した。閲覧 2026-08-27
  16. 16.Intramuscular drotaverine and diclofenac in acute renal colic: a comparative study of analgesic efficacy and safety(Pain Medicine・2012)急性腎疝痛患者100例(各群50例)を対象とした単盲検RCTで、筋注ドロタベリン80 mgは筋注ジクロフェナク75 mgと比べ、投与60分後のVASによる疼痛減少率(61.3% 対 60.4%)・治療有効と判定された割合(90% 対 88%)のいずれにも有意差が無く、安全性プロファイルにも群間差が無かったことから、ドロタベリンは腎疝痛の鎮痛薬としてジクロフェナクに非劣性であり代替または上乗せ治療として使用しうると結論したことを確認した。閲覧 2026-08-27