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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬

バレメトスタット

valemetostat

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(日本)
エザルミア
科目
Pharmacology
トピック
B35: Drugs used in cancer treatment V (Small molecule signal transduction inhibitors. Retinoids)
承認適応
成人T細胞白血病リンパ腫
監視検査値
血小板減少好中球減少リンパ球減少

🧠 全体像:バレメトスタットは、PRC2(Polycomb repressive complex 2)のであるEZH1とEZH2の両方を同時に阻害するであり、()のに日本で承認された初の標的薬である。⭐ 「EZH2だけを狙う薬(タゼメトスタットなど)ではEZH1がに働いて効果が限定される」という限界を、EZH1/EZH2を同時に叩くことで越えようとした設計が最大の個性で、同じ再発・難治の選択肢である・・ツシジノスタットと並ぶ4剤の一角を占める。

薬効群の中での位置づけ

標的 代表薬 特徴
EZH1/EZH2デュアル阻害 バレメトスタット EZH2選択的阻害薬に対する(EZH1の代償)を回避する設計。経口・に日本で承認
()阻害 ツシジノスタット、、 ヒストンのアセチル化を保つ(を止める)ことでクロマチンを開く、逆方向の標的
を狙うで、機序ではない

⭐ バレメトスタットとツシジノスタットはどちらも「クロマチンの状態を変える」薬だが、方向が逆である。 バレメトスタットはヒストンH3K27のメチル化を担うEZH1/2を阻害してクロマチンを開こうとし、ツシジノスタットはヒストンのを担うを阻害して同じくクロマチンを開こうとする——標的酵素も基質のも別だが、「抑制的なクロマチン状態を解除しての発現を取り戻す」という狙いは共通する。

機序

flowchart TD
    A["バレメトスタットを<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PRC2 complex'>PRC2複合体</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='catalytic subunit'>触媒サブユニット</span><br>EZH1・EZH2の両方を阻害"]
    B --> C["ヒストンH3の27番目リジン残基の<br>トリメチル化(H3K27me3)が全体として低下"]
    C --> D["EZH2選択的阻害薬で生じる<br>EZH1による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='compensatory'>代償的</span>メチル化も同時に抑えられる"]
    D --> E["抑制されていた<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor suppressor genes'>腫瘍抑制遺伝子</span>の<br>転写が再活性化"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adult T-cell leukemia-lymphoma'>ATL</span>細胞の増殖抑制・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='apoptosis induction'>アポトーシス誘導</span>"]

💡 「EZH2だけを狙うと効かなくなる」という先行薬の教訓が設計の出発点になっている。 PRC2にはEZH2とEZH1という似たが存在し、選択的なEZH2阻害薬を使うとEZH1が働きを肩代わりしてH3K27me3を維持してしまい、効果が限定的になることが分かっていた。バレメトスタットはEZH1・EZH2の両方を阻害することでこのを回避し、より徹底したH3K27me3の低下との再活性化を狙う設計になっている。

適応

再発又は難治性の()。侵襲性(急性型・・予後不良な慢性型)で既治療歴中央値3ライン、対象の96%が既治療という重度前治療例を含む第2相試験で、の48.0%(5例・7例/25例)が示され、これが日本での承認の根拠になった1。実臨床の(28例、うち評価対象は24例)でも54.2%(13/24例)・33.3%(8/24例)・中央値15.8か月と、に近い成績が確認されている2。

用法・用量

通常、成人にはバレメトスタットとして1回200mgを1日1回、空腹時にし、またはできない毒性が生じるまで継続する1。血球減少の程度に応じて・減量の判断を行う。実際のは施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 骨髄抑制が最も高頻度な有害事象。 血小板減少・貧血・・・好中球減少がGrade3以上のとして高頻度に報告され、サイクルごとの血算モニタリングが必須である1。
  • 感染症のリスク:骨髄抑制を背景とした感染症の増加が報告されており、発熱・感染徴候の早期評価が重要になる。
  • ⭐ の有無がその後の生存を強く左右する。 実臨床コホートでは・に達した患者の1年が90.9%であったのに対し、安定・進行にとどまった患者では17.0%にとどまった——効果判定を早期に行い、無効例では治療変更を検討する根拠になる2。
  • 妊娠可能な患者では、での標的薬に共通する胚・胎児への影響が懸念されるため、投与中の適切な避妊が必要になる。

まとめ

  • バレメトスタットは、PRC2のEZH1・EZH2の両方を阻害する経口の標的薬。EZH2選択的阻害薬でみられるEZH1のを回避する設計を持つ。
  • 再発・難治()に日本で承認されており、・・ツシジノスタットと並ぶ再発・難治の4選択肢の一角を占める。
  • 第2相試験(25例、96%が既治療)で48.0%、実臨床コホート(28例中、評価対象24例)で54.2%・中央値15.8か月と、に近い実地成績が確認されている。
  • 主な注意点は血球減少(血小板減少・貧血・・好中球減少)で、サイクルごとの血算モニタリングが欠かせない。
  • の有無が生存に直結するため、早期の効果判定と無効例での治療変更検討が実地の要点になる。

出典

  1. 1.An open-label, single-arm phase 2 trial of valemetostat for relapsed or refractory adult T-cell leukemia/lymphoma(Blood・2023)侵襲性ATL(急性型・リンパ腫型・予後不良な慢性型)で既治療歴中央値3ライン(1〜8)、25例中24例がモガムリズマブ既治療という重度治療歴を持つ患者25例(年齢中央値69.0歳)を対象とした多施設第2相試験で、バレメトスタット200mgを1日1回、病勢進行または忍容不能な毒性まで経口投与したこと、中央判定による全奏効率が48.0%(90%信頼区間30.5〜65.9)で完全奏効5例・部分奏効7例であったこと、Grade3以上の主な治療関連有害事象が血小板減少・貧血・リンパ球減少・白血球減少・好中球減少であったことを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Prognostic impact of valemetostat in relapsed/refractory adult T-cell leukaemia-lymphoma(British Journal of Haematology・2026)再発・難治ATL患者28例を対象とした実臨床の後方視的コホートで、うち奏効評価の対象となった24例(4例はバレメトスタット後のCT評価なしまたは先行治療でCR達成済みのため除外)でバレメトスタットの全奏効率が54.2%(13/24例)・完全奏効率が33.3%(8/24例)であったこと、全生存期間中央値が15.8か月であったこと、完全奏効・部分奏効に達した患者の1年生存率が90.9%であったのに対し安定・進行にとどまった患者では17.0%と、奏効の有無が生存に直結していたこと、投与後に可溶性IL-2受容体(sIL-2R)が正常化した患者でより良好な予後が得られたことを確認した閲覧 2026-09-05