薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B28 Other / その他

レナリドミド

lenalidomide

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
レブラミド
商品名(EU)
Revlimid
科目
Pharmacology
トピック
B28: Immunopharmacology I (cytotoxic agents)
承認適応
多発性骨髄腫骨髄異形成症候群成人T細胞白血病リンパ腫
副作用
下痢二次原発悪性腫瘍血栓塞栓症
対象疾患
POEMS症候群壊死性黄色肉芽腫

🧠 全体像:はをして作られた免疫調節薬()で、他の細胞傷害性とは根本的に発想が違う。プリン・を止めるのではなく、cereblon(CRBN)というの基質認識を変え、転写因子Ikaros・Aiolosを分解へ誘導することで抗腫瘍・免疫調節・という複数の作用を同時に発揮する。の治療体系を変えた薬である一方、系に共通する強い催奇形性を受け継いでおり、なしには処方できない。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 機序 位置づけ
免疫調節() cereblon経由でIkaros/Aiolos分解↑ ・ del(5q)。催奇形性・血栓症
・ 6-MP/IMPDH阻害 自己免疫疾患・予防が主戦場
阻害 DHODH阻害 RA・。同じく催奇形性を持つが標的は別

⭐ 他のが「自己免疫疾患を鎮める」のに対し、は「腫瘍細胞を直接・間接に攻撃する」薬という点で立ち位置が異なる。 cereblonを介したIkaros/Aiolos分解はのを断つと同時に、の(T細胞・NK細胞)を活性化させる二重の抗腫瘍機序を持つ。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lenalidomide'>レナリドミド</span>が細胞内のcereblon(CRBN)に結合"] --> B["cereblonを含む<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ubiquitin ligase complex'>ユビキチンリガーゼ複合体</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='substrate recognition site'>基質認識部位</span>を変化させる"]
    B --> C["転写因子Ikaros・Aiolosが<br>新たな基質として認識される"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ubiquitination'>ユビキチン化</span>→プロテアソームで分解"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myeloma cell'>骨髄腫細胞</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='survival signal'>生存シグナル</span><br>(IRF4・MYC経路)が断たれる"]
    D --> F["T細胞・NK細胞の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interleukin-2'>IL-2</span>産生が促進され<br>抗<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antitumor immunity'>腫瘍免疫</span>が活性化する"]
    A --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiogenic factor'>血管新生因子</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular endothelial growth factor'>VEGF</span>等)の産生を抑制"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiangiogenic'>抗血管新生</span>作用"]

💡 との違いは「標的タンパクの選び方」にある。 系薬剤(・・)はいずれもcereblonに結合するが、置換基の違いで分解へ誘導される基質(Ikaros/Aiolosなど)の効率や副作用プロファイルが変わる。はより強力な抗腫瘍・を持つ一方、催奇形性という核心的なリスクは共通して受け継いでいる。

適応

領域 使いどころ
血液腫瘍 :(・との併用)から後の維持療法まで治療の柱
血液腫瘍 ()のうちdel(5q)を伴う貧血
血液腫瘍 再発又は難治性の(ATLL)
血液腫瘍 再発又は難治性のおよび

⚠️ 日本の効能は4つに分かれており、限定の掛かり方がそれぞれ違う1。だけが病期・の限定なしで、は「5番染色体部欠失を伴う」場合に限られ、・・はいずれも「再発又は難治性の」に限られる。用法・用量も効能ごとに別の見出しで書き分けられているので、平坦に読まない。⭐ ATLLでの位置づけはの選択肢であって一次治療ではない(のノートを参照)。

用法・用量

経口。では他剤(、、等)と組み合わせた、維持療法では単剤で長期継続することが多い。のもとで、投与前の妊娠検査・確実な避妊を確認してから開始する。 実際の用量・周期は・腎機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:妊娠中・妊娠する可能性があり確実な避妊ができない患者(系に共通する強い催奇形性)
  • ⚠️ のリスクが上昇する。 との併用でさらにリスクが上がるため、に応じてアスピリンから抗凝固薬まで層別化したを併用する
  • が主体のため腎機能に応じたが必要
  • 骨髄抑制のため血算の定期モニタリングを行う

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢、疲労感
注意 骨髄抑制(好中球減少・血小板減少)、皮疹
重篤・まれ 、重度の胎児奇形(催奇形性)、二次発がん

まとめ

  • 誘導体の免疫調節薬()。cereblon経由でIkaros/Aiolosを分解し抗腫瘍・免疫調節・作用を発揮する。
  • 他の細胞傷害性(プリン/阻害)とは異なる標的を持つ。
  • の治療の柱(・維持療法)。 del(5q)にも用いる。
  • 系に共通する強い催奇形性があり、のもとで処方する。
  • のリスクが上がるため、併用時は特にを検討する。
  • 骨髄抑制・腎機能に応じたが必要。

出典

  1. 1.レブラミドカプセル2.5mg/5mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/ブリストル・マイヤーズ スクイブ・2026)第7版(2026年6月改訂)。4項の効能又は効果は「多発性骨髄腫」「5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群」「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」の4つで、5項・6項も同じ4つの効能ごとに見出しを分けて記載されている。骨髄異形成症候群の効能は5番染色体長腕部欠失を伴う場合に限られ、成人T細胞白血病リンパ腫・濾胞性リンパ腫・辺縁帯リンパ腫の効能はいずれも再発又は難治性に限られる。閲覧 2026-09-05