組織病理学

組織病理学 · H2-003

急性骨髄性白血病(MPO染色)

AML (Myeloperoxidase = MPO)

描出疾患
急性骨髄性白血病
疾患
急性前骨髄球性白血病

🧠 全体像:は一次顆粒に含まれる酵素で、芽球の分化を示す。細胞質顆粒やの陽性はを支持するが、陰性もあり、MPOだけで病型を確定しない。

染色の読み方

所見 解釈
芽球細胞質の陽性 分化を支持
の強い陽性 に合致
の陽性 正常陽性対照として利用できる
芽球の陰性 最小分化型・急性単球性白血病・/性のやALLなどを検討

💡 「芽球の3%」という閾値の位置づけ。 分類第5版が「分化で定義される」を細かく分けるとき、MPO陽性の芽球が3%以上あるかどうかがになる。MPOもSudan Black Bも陰性(3%未満)なら最小分化型、3%以上で成熟が骨髄の10%未満なら、10%以上なら分化型である。急性骨髄単球性白血病もMPO陽性芽球3%以上を要し、急性性白血病は芽球がMPO・SBB・NSEいずれも陰性であることを条件とする。ただしこの3%は歴史的に細胞化学で使われてきた値で、による系統決定では感度は高いが特異度が低い。報告されているフローの陽性閾値は芽球の3〜28%と幅があり、10%超にすると特異度は改善するものの、合意されたは確立していない1。閾値そのものを絶対視せず、形態・・遺伝学的所見を合わせて判断する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute leukemia'>急性白血病</span>を疑う芽球"] --> B["形態・MPO"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='flow cytometry'>フローサイトメトリー</span>"]
    C --> D["染色体・融合遺伝子・分子検査"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='World Health Organization'>WHO</span>/ICCに基づく病型診断"]

APLの要点

()では異常が増え、PML::RARA融合を確認する。⭐ の異常はMPOが強陽性を示すことが多く、を束状に含む細胞()がみられることが、この染色でを疑う手がかりになる。強く疑う場合はへの対応と()開始を遺伝学的確定まで不必要に遅らせない。ELNのパネルの推奨1.5(Ib–A)でも、が強く疑われればPML::RARAの分子生物学的確認を待たず、臨床的な疑いとの所見だけでを開始するとされている2。一方、「芽球=」ではなく、両者の成熟段階は区別する。

⚠️ を開始したらを警戒する。 ELNは、の初発が疑われた最も早い時点で10 mgの1日2回静注を直ちに開始するとし(推奨1.13、IIa–B)、の項目が揃うのを待たない。⚠️ 分化療法(または=ATO)そのものの一時中断が適応となるのは重症のに限られる(推奨1.14、IIa–B)2。

まとめ

  • MPOは分化を示す重要なである。
  • MPO陽性はを支持するが、単独で確定診断にはならない。
  • APLはPML::RARAの確認を待たずにを開始し、出血()とへの備えを並行して行う。

出典

  1. 1.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)WHO分類第5版の「分化で定義されるAML」で、細胞化学によりMPOとSudan Black Bがともに陰性(3%未満)なら最小分化型AML、MPO陽性芽球が3%以上で成熟顆粒球系が骨髄有核細胞の10%未満なら未分化型AML、10%以上なら分化型AMLとすること、急性骨髄単球性白血病でもMPO陽性芽球3%以上を要すること、急性好塩基球性白血病では芽球がMPO・SBB・NSEいずれも陰性であること、この3%という値はもともと細胞化学で歴史的に用いられてきたもので、フローサイトメトリーによる系統決定では感度は高いが特異度が低いと判定されていること、報告されているフローの陽性閾値は芽球の3〜28%と幅があり10%超で特異度が改善するものの合意されたカットオフは確立していないことを確認した閲覧 2026-08-24
  2. 2.Management of acute promyelocytic leukemia: updated recommendations from an expert panel of the European LeukemiaNet(European LeukemiaNet / Blood(Sanz MA, et al.)・2019)PMC6509567 の全文(Table 1・Table 2 を含む)を取得して確認した。推奨1.5(Ib–A)はAPLを疑った時点でATRAを直ちに開始するとし、本文も遺伝学的確定の前に臨床的な疑いと末梢血塗抹の所見だけでATRAと凝固障害への対応を開始すべきだと述べる。⚠️ ELN が治療を振り分けるのは Sanz risk score の3群ではなく、白血球数1万/μL以下(非高リスク=低〜中間リスク)と1万/μL超(高リスク)の2群である。推奨2.2(Ib–A)は非高リスクでATRA+三酸化二ヒ素(ATO)を化学療法なしで用い、ATOが禁忌または経済的に用いられない場合の第2の選択肢としてATRA+アントラサイクリン系化学療法を挙げる。推奨1.13(IIa–B)は分化症候群の初発が疑われた最も早い時点でデキサメタゾン10 mgの1日2回静注を直ちに開始し、軽快後にステロイドを中止してATO/ATRAを再開することを求める。⚠️ 推奨1.14(IIa–B)は分化療法(ATRAまたはATO)の一時中断が重症の分化症候群の場合にのみ適応となるとする。閲覧 2026-08-24