組織病理学

組織病理学 · H2-004

慢性骨髄性白血病・移行期

CML, accelerated phase (MGG)

描出疾患
慢性骨髄性白血病

🧠 全体像:(chronic myeloid leukemia:)はBCR::ABL1融合遺伝子によるである。末梢血ではの全成熟段階とを認め、進行すると芽球増加、血球減少、などを示す。

病態

flowchart TD
    A["t(9;22)"] --> B["BCR::ABL1融合"]
    B --> C["恒常活性型チロシンキナーゼ"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granulocytic lineage cells'>顆粒球系細胞</span>の増殖・生存"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leukocytosis'>白血球増加</span>・脾腫"]
    E --> F["追加異常の獲得"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive stage'>進行期</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blast crisis (blastic transformation)'>急性転化</span>"]

MGG標本

所見 読み方
骨髄球、、などが連続して出現
・好酸球 を支持する
芽球増加 進行を示唆
貧血・ 移行期・でみられうる

病期分類の注意

区分 概要
慢性期 分化したが主体
移行期 ICCなどでは芽球10〜19%や、追加異常などで定義1
血液・骨髄の20%以上、の芽球増殖、末梢血・骨髄での増加のいずれか

第5版はを慢性期とのとして扱い、移行期を独立区分としない2。一方、ICCは移行期を残している1。European LeukemiaNet 2025はのへの再分類を取り上げたうえで、パネルの意見が割れたとしてどちらの分類も全面的には支持できないと述べている3。このため、過去の「移行期」という記載を読む際は使用基準を明記する。

💡 移行期が外された理由。 治療と定期的なモニタリングが普及してへ至る症例自体が減り、移行期という区分の意義が薄れた。分類第5版は移行期を置く代わりに、慢性期のうち進行・抵抗性に関わる(ABL1キナーゼ変異、追加の染色体異常など)を重視する。の基準は、20%以上に加えての芽球増殖、の増加のいずれかである2。旧来の(慢性期→移行期→)は病歴や過去の記載を読むうえで依然必要である。白血球10万/µL超は起こりうるが診断必須条件ではない。

💡 どちらの体系の話かを明示する。 移行期を外したのは第5版であって、ICC(2022)は移行期を保持したまま定義を簡素化しており、NCCNガイドラインもで記述している。ELN 2025はの再分類を取り上げつつ、どちらの分類も全面的には支持できないとした3145。

⚠️ 芽球の閾値そのものが分類によって違う。 の芽球は20%とする分類と30%とする分類があり、定義はこの20年間動き続けてきた。時代に移行期・を呈するのは全体の約4〜7%で、の約30%はリンパ系である5。過去のデータを読むときは、その研究がどの定義を使ったかを確認しないと比較できない。

💡 の基準は未確定である。 第5版の基準にある「の増加」について、と低比率のBの意義は今後の検討課題と本文中に明記されている。ここを断定的に読まない2。

類白血病反応との鑑別

反応性でも幼若顆粒球は出現する。の確定にはBCR::ABL1を示し、、脾腫、クローン性所見を統合する。

まとめ

  • の定義的異常はBCR::ABL1である。
  • 全成熟段階、、芽球比率を系統的に読む。
  • 移行期の扱いは/ICCなど分類体系で異なる。

出典

  1. 1.International Consensus Classification of myeloid and lymphoid neoplasms: myeloproliferative neoplasms(Virchows Archiv・2023)ICCがBCR::ABL1陽性CMLについて移行期(accelerated phase)と急性転化期の区分を保持したうえでその定義を簡素化したことを確認した閲覧 2026-08-24
  2. 2.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)WHO分類第5版(2022年)がCMLから移行期(accelerated phase)の区分を外し、慢性期の進行・TKI抵抗性に関わる高リスク所見(ABL1キナーゼ変異、追加の染色体異常)を重視する方針へ変えたこと、急性転化期の基準が「血液または骨髄の骨髄芽球20%以上」「髄外の芽球増殖」「末梢血または骨髄でのリンパ芽球の増加」のいずれかであること、リンパ芽球の至適カットオフと低比率のBリンパ芽球の意義は未解決と明記されていること、TKI時代のCMLの10年全生存率が80〜90%であることを確認した閲覧 2026-08-24
  3. 3.2025 European LeukemiaNet recommendations for the management of chronic myeloid leukemia(European LeukemiaNet・2025)ELN第5版(2025年)が2020年版以降の変更点の一つとしてWHOによるCMLの二相性疾患への再分類を取り上げたこと、ただし全文(PMC12310532)ではWHOの二相性とICCの加速期維持の対立についてパネルの意見が分かれ「we cannot fully endorse either classification」と述べていることを確認した閲覧 2026-08-24
  4. 4.Chronic Myeloid Leukemia, Version 2.2024, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(National Comprehensive Cancer Network・2024)NCCNガイドラインがCMLをt(9;22)によるBCR::ABL1融合で定義し、慢性期・移行期・急性転化期の三相で記述していることを確認した閲覧 2026-08-24
  5. 5.Advanced-Stage Chronic Myeloid Leukemia: Options for Difficult Treatment Situations(Drugs・2025)移行期または急性転化期での発症・進行はCML全体の約4〜7%で、急性転化期の約30%がリンパ系であること、急性転化期の芽球閾値が分類によって20%のものと30%のものがあり定義がこの20年間動き続けてきたこと、WHO分類が移行期を外して二相性としたのに対しICCは三相性と移行期を保持したことを確認した閲覧 2026-08-24