組織病理学

組織病理学 · H2-005

原発性骨髄線維症(HE染色)

Myelofibrosis (HE)

描出疾患
真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症
検査値
涙滴赤血球

🧠 全体像:(primary myelofibrosis:PMF)は、異型を中心とするである。前とがあり、線維化は腫瘍性由来サイトカインに反応した非腫瘍性線維芽細胞が形成する1。

進展

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase 2 gene'>JAK2</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calreticulin gene'>CALR</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='MPL gene'>MPL</span>などのドライバー異常"] --> B["異型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='megakaryocyte'>巨核球</span>クローンの増殖"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transforming growth factor-beta'>TGF-β</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='platelet-derived growth factor'>PDGF</span>などのサイトカイン"]
    C --> D["線維芽細胞が活性化"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reticulin fiber'>網状線維</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='collagen fiber'>膠原線維</span>増加"]
    E --> F["骨髄造血低下"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extramedullary hematopoiesis'>髄外造血</span>・肝脾腫"]

HE標本の要点

病期 主な所見
前 過細胞性、顆粒球増殖、密集する異型、血小板・顆粒球増加、線維化は軽い
著明な線維化、異型、造血腔減少、を伴いうる
末梢血 、赤芽球・幼若骨髄球が出る

は小胞体のカルシウム結合で、チロシンキナーゼではない。変異は/-STATシグナルを活性化する。変異はエクソン9の+1塩基で新規C末端をもつ蛋白を生じ、非変異のの70〜84%に見つかる2。

💡 線維芽細胞は「増えているが腫瘍ではない」。 第5版はPMFを異常と顆粒球の増殖と定義し、に増える線維芽細胞はであって二次的に・の線維化、、をもたらすと述べる。腫瘍のクローンは側にあり、線維は反応である1。

💡 前との区別は予後に直結する。 2016年基準で661例を再判定した検討では、は前に比べ貧血・血小板減少・・芽球高値・高度脾腫・不良核型に富み、ASXL1・SRSF2・IDH1/2・EZH2などの高リスク変異も多く、生存期間中央値は7.2年対17.6年だった。の種類そのものの分布は両群で変わらない——だから形態を読むこと自体が予後情報になる3。

近傍を含む異型の密なはみられうるが、分布だけでPMFとは診断しない。第5版も、PV・ET・PMFの区別は末梢血所見・分子所見・骨髄形態の統合によるもので、いずれか単独のでは十分な診断特異度が得られないと明記している1。

診断上の注意

  • でも骨髄が単純に「低形成」とは限らない。
  • HEだけでは線維量を十分評価できず、鍍と必要に応じて三色染色を用いる。
  • は他の、、感染・自己免疫疾患でも生じるため、PMFは形態・分子・を統合する。
  • 線維化量と脾サイズは、とくに/2阻害薬の治療下では再現性のある標準化基準でに追う必要がある1。

まとめ

  • PMFの腫瘍性中心は異型で、線維芽細胞は反応性である。
  • 前とを区別する。
  • 、、と骨髄形態を統合して診断する。

出典

  1. 1.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)WHO分類第5版(2022年)が原発性骨髄線維症を「異常な巨核球と顆粒球の増殖」と定義し、線維化期に伴う線維芽細胞の増加はポリクローナル(すなわち非腫瘍性)で二次的に細網線維・膠原線維の線維化と骨硬化・髄外造血をもたらすとしていること、前線維化期PMFの認識が本態性血小板血症・真性多血症だけでなく線維化期PMFとの区別のためにも必要であること、白血病無発症生存が線維化期で前線維化期より短いこと、真性多血症・本態性血小板血症については芽球10〜19%を移行期・20%以上を急性転化期とする区分がWHO第5版でも維持されていること、PV・ET・PMFの鑑別は末梢血・分子・骨髄形態の統合によるもので単独のパラメータでは十分な診断特異度が得られないこと、JAK1/2阻害薬使用下では再現性のある標準化基準で骨髄線維化と脾サイズを経時的に評価する重要性が続くことを確認した閲覧 2026-08-24
  2. 2.Somatic CALR mutations in myeloproliferative neoplasms with nonmutated JAK2(New England Journal of Medicine・2013)CALRが小胞体のシャペロンであること、その体細胞変異がJAK2非変異の骨髄増殖性腫瘍の70〜84%に見つかりエクソン9の+1塩基フレームシフトで新規C末端をもつ変異蛋白を生じること、変異カルレティキュリンは小胞体に留まり細胞表面やゴルジへの蓄積増加を示さないこと、CALR変異が造血幹・前駆細胞に検出され系統樹の最初期ノードに位置することを確認した閲覧 2026-08-24
  3. 3.Presentation and outcome of patients with 2016 WHO diagnosis of prefibrotic and overt primary myelofibrosis(Blood・2017)骨髄生検を有するPMF 661例の再判定で、線維化期PMFは前線維化期に比べ貧血・血小板減少・白血球減少・芽球高値・症状・高度脾腫・不良核型に富み、ASXL1・SRSF2・IDH1/2・EZH2の高リスク変異も多く、生存期間中央値が7.2年対17.6年と有意に短かったこと、ドライバー変異の種類の分布は両群で同様であったことを確認した閲覧 2026-08-24