組織病理学

組織病理学 · H2-002

急性骨髄性白血病(MGG染色)

ALM (May-Grunwald-Giemsa = MGG)

描出疾患
急性骨髄性白血病

🧠 全体像:(acute myeloid leukemia:)は、のにより正常造血が抑制されるである。MGG染色では芽球の繊細なクロマチン、核小体、細胞質顆粒、を評価する。

形態

所見 意味
高い核細胞質比、繊細なクロマチン、明瞭な核小体
アズール顆粒 分化を示唆
一次顆粒が融合した針状構造で、を強く支持
白血病裂孔 芽球との間の中間段階が乏しい像。必須ではない
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myeloid progenitor'>骨髄系前駆細胞</span>の遺伝子異常"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='differentiation arrest'>分化停止</span>・増殖優位"]
    B --> C["芽球が骨髄に蓄積"]
    C --> D["正常造血を抑制"]
    D --> E["貧血・感染・出血"]

AMLとAPL

項目 全体 ()
本態 多様な遺伝学的病型 多くは::RARA融合
主細胞 など 異常
みられうる 束状に多数みられることがある
臨床上の注意 感染・出血・ を伴いうる救急疾患

t(15;17)/::RARAは全体の典型原因ではなく、を定義する異常である。は芽球比率、形態、、染色体・分子検査を統合して分類し、一部の遺伝学的病型では20%未満でも診断されうる。

💡 分類第5版(2022年)のの枠組み。 は「遺伝子異常で定義される」と「分化で定義される」の二本立てに再編され、旧来の, NOSという括りは廃止された。前者では20%以上という下限が撤廃されており、20%以上を要する例外はBCR::ABL1融合を伴うとCEBPA変異を伴うだけである。一方、とを分ける線としての20%は維持されている1。旧分類の「芽球20%以上で」で覚えていた場合は、この例外を上書きする形で押さえる。

💡 の分類は-HAEM5とICCが並立している。 2022年には第5版とは別に、も公表された2。両者は再発性遺伝子異常を第一の軸に置く点では似ているが、芽球の閾値が食い違う。ICCは骨髄または末梢血で芽球10%以上を必須とするのに対し、第5版は遺伝子異常で定義される病型に芽球の下限を置かない。BCR::ABL1融合を伴うは両分類とも芽球20%以上を要するが、CEBPA変異を伴うで20%以上を要するのは第5版のほうである1。TP53変異を独立病型とするのはICCだけで、芽球20%以上かつVAF 10%超を要する2。また第5版が「分化で定義される」と呼ぶ枠を、ICCは従来どおり, NOSと呼んでいる3。ICCは芽球10〜19%のを/という中間カテゴリーに置いており、2016年分類でとされた716例をICCで読み替えると24.7%が/へ移り、この群は変異プロファイルも予後もと異なっていた4。報告書や論文を読むときは、どちらの体系に基づく診断かを先に確かめる。

まとめ

  • は分化を強く支持する。
  • を全体と同一視しない。
  • MGG形態だけで最終病型を確定せず、免疫・遺伝学的検査を組み合わせる。

出典

  1. 1.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)WHO分類第5版(2022年)でAMLが「遺伝子異常で定義されるAML」と「分化で定義されるAML」に再編され、AML, NOSという括りが廃止されたこと、遺伝子異常で定義される病型では芽球20%以上という下限が撤廃され、例外としてBCR::ABL1融合を伴うAMLとCEBPA変異を伴うAMLだけが20%以上を要すること、骨髄異形成腫瘍とAMLを分ける線としては20%が維持されたことを確認した。あわせて全文(PMC9252913)で、遺伝子異常で定義される病型のうち芽球の下限を残すのは BCR::ABL1 融合を伴うAMLと CEBPA 変異を伴うAMLだけで、いずれも「at least 20% blasts」を要することを確認した(2026-09-24)閲覧 2026-08-24
  2. 2.International Consensus Classification of Myeloid Neoplasms and Acute Leukemias: integrating morphologic, clinical, and genomic data(Blood・2022)2016年WHO分類の運用経験と臨床試験の結果を踏まえ、WHO第5版とは別に骨髄系腫瘍・急性白血病の国際コンセンサス分類(ICC)が2022年に策定され、多変量的な手法で新規病型の導入と既存カテゴリーの基準の精密化が行われたことを確認した。あわせて全文(PMC9479031)の表で、BCR::ABL1 を伴うAMLは芽球「≥ 20%」、TP53 変異を伴うものは芽球10〜19%でMDS/AML・「≥ 20%」でAMLとし、TP53 変異は VAF「> 10%」を要することを確認した(2026-09-24)閲覧 2026-08-24
  3. 3.What is new in acute myeloid leukemia classification?(Blood Research・2024)ICCとWHO第5版(2022年)が似て非なる二つの体系として並立し実務上の混乱を生んでいること、両者とも再発性遺伝子異常を第一の軸に置くが芽球閾値が異なり、ICCは骨髄または末梢血で10%以上の芽球を必須とする一方WHO第5版は芽球の下限を定めないこと、BCR::ABL1融合を伴うAMLは両分類とも芽球20%を要し、CEBPA変異を伴うAMLで20%を要するのはWHO第5版であること、TP53変異を独立病型とするのはICCのみで芽球20%かつVAF 10%超を要すること(本総説は冒頭の要約段落で「>20%」と書くが、各病型の節では「≥20%」と書き、WHO第5版の原典は「at least 20% blasts」、ICCの原典の表は「≥ 20%」であるため、本ノートは「20%以上」とした)、骨髄異形成関連の定義に用いる遺伝子はASXL1・BCOR・EZH2・SF3B1・SRSF2・STAG2・U2AF1・ZRSR2の8つが共通でICCはさらにRUNX1を含めること、WHO第5版の「分化で定義されるAML」がICCのAML, NOSに相当することを確認した閲覧 2026-08-24
  4. 4.Clinico-genetic and prognostic analyses of 716 patients with primary myelodysplastic syndrome and myelodysplastic syndrome/acute myeloid leukemia based on the 2022 International Consensus Classification(American Journal of Hematology・2023)2022年ICCが芽球10〜19%の骨髄異形成症候群をMDS/AMLという中間カテゴリーに分類すること、2016年WHO分類でMDSと診断された716例をICCで読み替えると75.3%はMDSに留まる一方24.7%がMDS/AMLへ移ること、MDS/AML群は変異プロファイルが異なり予後もMDSより不良であることを確認した閲覧 2026-08-24