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Kellgren-Lawrence分類

Kellgren-Lawrence classification

別名
Kellgren-Lawrence gradeKL分類
臓器系
運動器
科目
PathologyInternal Medicine
トピック
病理学 C/94:変性性・炎症性関節疾患内科学 S-49:変形性関節症・関節症・線維筋痛症
適用疾患
変形性足関節症

🧠 全体像:Kellgren-Lawrence分類は、単純X線1枚から骨の重症度をnone〜severeの5段階(Grade 0〜4)に分ける、最も古くから使われている放射線学的である。1957年にKellgrenとLawrenceが手・手根中手関節・手関節・脊椎・股関節・など8関節群を対象に開発したが1、現在では以外——を含む——にも転用されている2。ただし、関節ごとには大きく異なり、股関節や手関節では観察者間の一致が乏しいことが知られている3。

目的と適用場面

内容
目的 単純X線1枚から関節の骨としての重症度をnone〜severeの5段階に分類する
対象 骨が疑われる、またはすでに診断されている患者の対象関節
使う場面 での重症度の層別化、臨床研究での(例:の手術適応をKellgren grade 3・4に限定する)2
評価しないもの 疼痛・機能障害の程度(画像上の重症度と症状の強さは必ずしも一致しない)

もとは英国ランカシャー州リー市の住民調査(55〜64歳からした85人)の一環として、・・第1手根中手関節・手関節・・・股関節・の8関節群を対象に開発された1。

構成要素と配点

骨の証拠とされる5つの放射線学的所見——①関節辺縁の(膝では脛骨棘)②関節周囲小骨片③の狭小化と④を伴う小さな様領域⑤形状の変化(特に)——の有無・程度を総合し、1つの関節につき次の5段階のいずれかを当てはめる1。

Grade 呼称 定義
0 None(なし) 骨のX線変化が明確に無い
1 Doubtful(疑い) 骨棘の疑いなど、骨かどうか確信が持てない軽微な変化
2 Minimal(軽微) 骨が軽度ながら明確に存在する
3 Moderate(中等度) 複数の所見が明確で、を伴う
4 Severe(高度) の高度な狭小化・骨棘・・変形が揃う

⚠️ 原論文は各グレードを文章の基準表ではなく参考X線写真(関節ごとの標準例)で定義している。 「Grade 2は骨棘が明確・裂隙狭小化は疑い程度」のような、グレードごとの所見を言語化した組み合わせ表は臨床教育の場で広く使われているが、1957年の原論文そのものには対応する文章記述が無い1。したがって実際の判定は、言語的な基準よりも標準参考写真との比較が本来の方法である。

複数関節からなる関節群(例:手の)を評価するときは、最も所見の強い1関節の等級を代表値として採用する1。

解釈とカットオフ

Grade 臨床的な扱い
0〜1 骨なし〜疑いにとどまる
2以上 「確定した骨」として扱われることが多い
3〜4 高度の骨。手術適応のに使われることがある2

💡 5段階のまま扱うより、「骨なし/軽度/高度」の3段階に丸めた方が観察者間のが上がることが股関節での検討で示されている3。でを重視するなら、3段階への丸め込みや、よりな指標(後述の最小幅など)との併用を検討する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 関節ごとにが大きく異なる。 原論文の観察者間相関係数はで0.83と高かったが、手関節では0.10とほぼ一致が見られなかった1。股関節を対象とした後年の検討でも、Kellgren-Lawrence分類の観察者間一致はkappa=0.55と中等度にとどまり、2.0mm未満の最小幅を基準とする分類(kappa=0.87)の方が高い再現性を示した3。以外での判定は、ほど再現性が高いとは限らない。

⚠️ 後の変形股関節など、の偏位方向が典型例と異なる病態では本来の分類の想定と一致しにくい3。

⚠️ 画像上のグレードと症状の強さは並行しない。高度の変化があっても無症状のことがあり、逆に軽度の変化でも症状が強いことがある。手術適応など臨床判断の唯一の根拠にしてはならない。

⚠️ もともと膝を含む8関節群のために設計された基準であり、など他の関節への転用は、原論文が想定した対象そのものではない点に注意する。

まとめ

  • Kellgren-Lawrence分類は、単純X線1枚から関節の骨をGrade 0(なし)〜4(高度)の5段階に分類する、最も歴史のある放射線学的である。
  • 骨棘・関節周囲小骨片・と・様領域・形状変化の5所見を総合して判定するが、原論文は標準参考写真による判定を基本としており、グレードごとの言語的な基準表そのものは原論文中に無い。
  • 観察者間のは関節によって大きく異なり、で高く、手関節や股関節で低い。
  • 以外の関節(など)にも転用されているが、これは原論文が本来対象としたものではない。
  • 画像上のグレードと症状の強さは並行しないため、手術適応などの臨床判断を単独で決めてはならない。

出典

  1. 1.Radiological assessment of osteo-arthrosis(Annals of the Rheumatic Diseases・1957)全文(フリーPDF、13498604_...pdf)を直接閲覧した。ランカシャー州リー市の住民調査の一環として55〜64歳から無作為抽出した85人・11関節510枚のX線を2名の観察者が骨関節症について読影したこと、骨関節症の証拠とされる放射線学的所見が(1)関節辺縁の骨棘形成(膝では脛骨棘)(2)関節周囲小骨片(3)関節軟骨の狭小化と軟骨下骨硬化(4)硬化縁を伴う小さな偽嚢胞様領域(5)骨端形状の変化(特に大腿骨頭)の5つであること、重症度を none(0)・doubtful(1)・minimal(2)・moderate(3)・severe(4)の5段階に分けたこと、Grade 0は骨関節症のX線変化が明確に無いことを、Grade 2は骨関節症が軽度ながら明確に存在すると判定したことを意味すること、詳細検討の対象とした8関節群が遠位指節間関節・中手指節間関節・第1手根中手関節・手関節・頸椎・胸腰椎・股関節・膝関節であったこと、膝関節における観察者間相関係数が0.83(標準誤差の記載なし、他関節は手根中手関節0.78・頸椎0.57・胸腰椎0.52・股関節0.40・手関節0.10)、膝関節の観察者内相関係数が0.83(遠位指節間関節0.81、中手指節間関節0.88、手根中手関節0.81、手関節0.62、頸椎0.66、胸腰椎0.42、股関節0.75)であったことを確認した。原論文は各グレードの放射線学的基準を関節ごとの参考X線写真(Fig.1〜8)で示す方式で提示しており、後年の教育資料で広く使われる「グレードごとの骨棘・関節裂隙狭小化・硬化の言語的組み合わせ表」に相当する文章記述は本論文中には無い。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Epidemiology of ankle arthritis: report of a consecutive series of 639 patients from a tertiary orthopaedic center(The Iowa Orthopaedic Journal・2005)PMC1888779 として公開されている全文を閲覧した。三次医療機関の足の外科外来を1991〜2004年に受診しKellgren grade 3または4の足関節関節症と診断された連続639関節のうち、445関節(70%)が外傷後、76関節(12%)が関節リウマチ性、46関節(7%)が一次性(特発性)変形性関節症であったこと、Table 1 に掲げられた成因区分が8つ(外傷後445・関節リウマチ性76・一次性46・神経障害性31・骨壊死14・血友病性12・化膿性10・痛風性5、合計639)であったこと、群別の平均年齢が外傷後51.5歳・一次性67.2歳・関節リウマチ性58.7歳・化膿性56.7歳・神経障害性53.8歳・骨壊死49.5歳・痛風性46.0歳・血友病性24.3歳であったことを確認した(本ノートでは、対象の全関節がKellgren grade 3または4という基準で選定されている点——膝関節以外にもKellgren-Lawrence分類が転用されている実例——として引用している)。閲覧 2026-09-05
  3. 3.Radiographic evaluation of osteoarthritis of the hip: an inter-observer study of 61 hips treated for late-detected developmental hip dislocation(Acta Orthopaedica・2012)PMC全文を閲覧した。先天性股関節脱臼の晩期治療後61股(49例、追跡時平均45歳)を対象にKellgren-Lawrence分類・Croft分類・最小関節裂隙幅(JSW)の3つの骨関節症分類の観察者間・観察者内信頼性を比較した研究で、Kellgren-Lawrence分類が骨棘・嚢胞・軟骨下骨硬化・関節裂隙狭小化に基づく全体的な視覚的評価であること、Kellgren-Lawrence分類による観察者間一致がkappa=0.55と中等度にとどまり、5段階から3段階(骨関節症なし・軽度・高度)に減らすとkappaが上昇したこと、最小JSW(2.0mm未満を骨関節症とする基準)が最も高い観察者間一致(kappa=0.87)を示し最も再現性の高い分類であったこと、観察者内一致はいずれの分類法でも観察者間一致より高かったこと、股関節形成異常では大腿骨頭の偏位が通常の内側・下方ではなく上方に生じるため本来の分類の想定と一致しにくいと指摘していることを確認した。閲覧 2026-09-05