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Disease Atlas · 運動器 · 疾患

大腿骨頭壊死

Osteonecrosis of the femoral head

別名
ONFH大腿骨頭無腐性壊死
臓器系
運動器
科目
Traumatology and OrthopedicsMacroscopic Anatomy and Embryology (Macroscopic Anatomy)
トピック
外傷学 25:人工関節置換術の原則解剖学 6.1:下肢:殿部と股関節
合併症
変形性関節症
症状
大腿部痛関節痛
画像所見
無腐性壊死
下位分類
Perthes病
元疾患
大腿骨頸部・転子部骨折
原因となる疾患
Gaucher病鎌状赤血球症減圧症全身性エリテマトーデス

🧠 全体像:を理解する鍵は、「症状はあるのに単純X線が正常」という時期こそが、関節を温存できるかどうかを分ける最も重要な窓口だという時間差にある。血流が途絶えてから骨頭が圧潰するまでには数か月〜数年の猶予があり、この間にで壊死を検出し進行を止められれば、人工関節を避けて自分の関節を残せる。逆に骨頭が一度圧潰すると(crescent sign)、そこから先は不可逆であり、治療の軸はからへと切り替わる。「圧潰の前か後か」という一本のが、この疾患のマネジメント全体を貫いている。

危険因子

はのなかで最も頻度の高い部位であり、危険因子は血流障害を起こす機序で整理すると覚えやすい1。

機序群 代表的な危険因子
血管の圧迫(・) ステロイドの長期・高用量使用、
微小血管の閉塞 鎌状赤血球症などの、(SLE)などの自己免疫疾患、()
血管の直接損傷 外傷(・)
細胞への直接障害 化学療法、放射線療法、、喫煙
その他 、組立ライン作業のような反復外傷

病態

の血流は主にから出る(に沿ってを上行する)が担っており、動脈(の枝)の寄与は成人では小さい。この単一の血管系への依存度が高いという解剖学的な特徴こそが、がの好発部位になる理由である。血流が途絶すると骨・骨髄が壊死し、支持を失ったがやがて圧潰へ至る。

診断:単純X線正常でも除外しない

⭐ 症状があり単純X線が正常でも、を除外できない。 は血流障害から1週間程度という早期の骨変化を、単純X線より先に検出できる2。危険因子を持つ患者の股関節痛・で単純X線に異常がなければ、この時間差を踏まえてへ進む判断が診断の遅れを防ぐ(画像所見の詳細はを参照)。

病期分類と骨頭圧潰という分水嶺

にはFicat and Arlet分類(病期1の画像異常なしから病期4の・まで4段階)、を活用しを検出できるSteinberg分類、ARCO 2019分類が用いられる12。

⚠️ の出現がのになる。 骨頭直下の線状として現れるこの所見は圧潰の前段階であり2、さらに進行すると骨頭の・圧潰に至って関節の生存を脅かす1。圧潰前であれば骨頭を温存する治療が選択肢に残るが、圧潰後は温存が難しくなりへ方針が切り替わる。

治療

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteonecrosis of the femoral head'>大腿骨頭壊死</span>と診断"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crescent sign'>軟骨下骨折</span>は<br>あるか"}
    B -->|"なし(圧潰前)"| C{"病変範囲は<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='weight-bearing surface'>荷重面</span>の一部にとどまるか"}
    C -->|"はい・早期病期"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='core decompression'>骨髄減圧術</span>"]
    C -->|"病変が大きい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteotomy'>骨切り術</span>など<span class='jp-term jp-term-diagram' title='femoral head-preserving procedure'>骨頭温存術</span><br>(成功率は年齢・部位により最大90%)"]
    B -->|"あり(圧潰後)・不可逆な病因・<br>40歳超で大きな病変"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='total hip arthroplasty'>人工股関節全置換術</span>"]
  • :の早期病期で、への病変範囲が小さい場合に最も効果的である1。
  • などの:を健常な部分へずらすことで進行を遅らせる術式で、患者の年齢・病変部位によっては成功率が最大90%に達する1。
  • :不可逆な病因による場合や、40歳超で大きな病変を有する例に適応となる1。後の症例では、温存術より確実な・機能回復が見込める最終的な選択肢になる。

まとめ

  • はのなかで最も頻度が高い部位で、ステロイド長期使用・アルコール・外傷・鎌状赤血球症・SLE・・などが危険因子である。単一の血管系()に依存する解剖が背景にある。
  • ⭐ 単純X線が正常でも早期壊死を除外できず、が単純X線より先に検出できる。
  • ⚠️ の出現がのになる——圧潰前は・などの、圧潰後や40歳超で大きな病変はを選ぶ。
  • 未治療・進行例では続発性のに至りうる。

出典

  1. 1.Avascular Necrosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)大腿骨頭が骨壊死の好発部位の中で最も頻度が高いこと、危険因子として直接的な細胞障害(化学療法・放射線療法・熱損傷・喫煙)、血管圧迫因子(ステロイド長期・高用量使用による脂肪浸潤、アルコール乱用、鎌状赤血球症などの血液疾患、SLEなどの自己免疫疾患)、外傷(大腿骨頸部骨折・股関節脱臼)、反復外傷(組立ライン作業など)、減圧症が挙げられること、Ficat and Arlet分類が病期1(画像異常なし)から病期4(骨頭圧潰・関節面狭小化)までの4段階であること、Steinberg分類はMRIを活用し早期病変を検出できること、進行例では骨頭下の圧潰(軟骨下骨折)が生じ関節の生存を脅かす不可逆的な変化となること、骨髄減圧術は骨壊死の早期病期かつ荷重面への病変範囲が小さい場合に最も有効であること、骨切り術は患者年齢・病変部位により成功率が最大90%に達しうる骨頭温存術であること、人工股関節全置換術は不可逆な病因の場合や40歳超で大きな病変を有する例に適応となることを確認した。閲覧 2026-09-01
  2. 2.Osteonecrosis Imaging(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)MRIは血管障害から早期(1週間程度)の骨変化を単純X線より先に検出できること、MRIのdouble line signがT2強調脂肪抑制像で外側低信号・内側高信号の二重線として描出されること、進行すると単純X線で線状の骨頭直下透亮像であるcrescent signを認めること、Ficat and Arlet分類・Steinberg分類・ARCO 2019分類の3つが病期分類として用いられること、大腿骨頭が最多の好発部位であることを確認した。閲覧 2026-09-01