Traumatology

Traumatology · 28

膝蓋骨骨折の診断と治療

Diagnosis and treatment of patellar fractures

前提:正常
下肢:膝と膝窩

🧠 全体像では、骨片の転位量だけでなく、が保たれているかを最初に判断する。伸展機構が保たれ、関節面のが小さい安定骨折は保存治療が可能だが、開放骨折、伸展機構、明らかな転位・関節不整合では手術を検討する。

受傷機転と骨折型

腱と膝蓋腱の間にあり、力を脛骨へ伝えるとともにを増大させる。

典型的な骨折型・特徴
膝前面への 骨折、骨軟骨損傷。皮膚損傷を伴いやすい
の急激な収縮 、骨片による伸展機構破綻
混合外力 と転位を併発し、関節面評価が重要

骨折型は横、縦、、骨軟骨骨折などに分ける。は外上方に平滑な皮質をもつことが多く、急性骨折と鑑別する。

診断

診察

  • 疼痛、腫脹、部圧痛、、骨性欠損を確認する。
  • 皮膚の・緊張、水疱を確認し、開放骨折を見逃さない。
  • 自動を評価する。不能なら骨片転位または内外側膝蓋を疑う。
  • 末梢循環、知覚、運動を記録する。

疼痛やで伸展挙上が困難なこともあるため、後の再評価が役立つ。伸展できてもが残存しているだけの場合があり、画像と合わせて判断する。

画像

単純X線は正面・側面・軸位像を基本とし、骨折型、骨片間隙、を確認する。軸位像は強い疼痛時に無理に撮影しない。複雑な、関節面評価、術前計画ではCTを追加する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='patellar fracture'>膝蓋骨骨折</span>を確認"] --> B["皮膚と神経血管を評価"]
    B --> C["自動伸展機構を評価"]
    C --> D["伸展機構が保たれ、転位が小さい"]
    D --> E["伸展位固定と早期機能訓練"]
    C --> F["伸展機構破綻、開放骨折、明らかな転位"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surgical'>手術的</span>整復・固定を検討"]

治療

保存治療

伸展機構が保たれ、と骨片が小さく、を維持できる骨折が対象となる。手術を検討する数値基準には幅があり、2〜3 mm超、骨片1〜4 mm超などが目安とされるため、単一の値だけで区切らず骨折型と患者背景を含めて判断する。1

  • 膝を伸展位に保つまたはを用いる。
  • 安定性と疼痛に応じて荷重を進め、早期から運動を行う。
  • 画像で転位増悪がないことを確認しながら、段階的に屈曲可動域を拡大する。

手術治療

適応 主な選択肢
、固定可能な大骨片 スクリュー、テンションバンド原理を用いた固定
低プロファイルプレート、スクリュー、縫合を組み合わせた固定
の小骨片 強固な縫合固定、アンカー固定など
再建不能なを含む限局 温存が困難な場合に限り、部分切除を救済的に検討2

可能な限りと関節面を温存する。全切除は伸展筋力と機能を低下させるため、再建不能例に限るごくまれな救済的手技とする。2 開放骨折では抗菌薬、、洗浄・を併行する。

合併症とリハビリテーション

  • 、伸展不全、筋力低下
  • 、関節面不整合
  • 遷延癒合、偽関節、
  • テンションバンドなどによる皮下刺激と
  • 感染、とくに開放骨折後

術後・保存治療とも、固定の安定性に応じて早期と段階的筋力訓練を行う。骨癒合だけでなく、伸展機構、疼痛、昇降などの機能回復を評価する。

まとめ

  • は骨片の転位量だけでなく、が保たれているかで決まる。
  • 保存治療は伸展機構が保たれた最小転位骨折が対象であり、手術を検討するの数値基準には文献間で幅がある。1
  • 手術は骨折型に応じて固定法を選択する。ではテンションバンド法、スクリュー単独またはテンションバンド併用が用いられ、では低プロファイルプレートを含む固定、上の小骨片では強固な縫合・アンカー固定を考慮する。32
  • 切除は伸展筋力と機能を低下させるため、再建不能例に限る救済的手技とする。2
  • 開放骨折では皮膚の・水疱を見逃さず、抗菌薬・・洗浄を併行する。
  • 合併症には、伸展不全、症、遷延癒合・偽関節、感染がある。

出典

  1. 1.Practical guidelines for the treatment of patellar fractures in adults(Swiss Medical Weekly・2020)膝蓋骨骨折の保存・手術適応、固定法、膝蓋骨温存の治療原則閲覧 2026-08-09
  2. 2.Cannulated screws with and without tension band wiring versus tension banding wiring alone for fixation of patella fractures: a systematic review and meta-analysis(Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery・2025)横膝蓋骨骨折に対するテンションバンドとカニューレスクリュー構成の比較閲覧 2026-08-09
  3. 3.Current concepts review: Fractures of the patella(GMS Interdisciplinary Plastic and Reconstructive Surgery DGPW・2016)粉砕膝蓋骨骨折でも温存再建を優先し膝蓋骨切除をまれな救済手技とする原則閲覧 2026-08-09