Traumatology

Traumatology · 29

膝靱帯損傷の受傷機転・診断・治療

Ligament injuries of the knee: mechanism, diagnosis and treatment

前提:正常
下肢:膝と膝窩結合組織:固有結合組織とその種類

🧠 全体像:膝損傷は「どの方向の不安定性があるか」を検査から推定し、骨折とを先に除外する。単独低グレード損傷の多くは機能的治療が可能だが、反復性不安定性、修復可能な損傷、多損傷では早期の専門評価が必要である。

主要靱帯と受傷機転

構造 主な役割 典型的な機転 主な所見・検査
脛骨前方移動・回旋を 、着地、非接触 Lachman、前方引き出し、pivot shift
脛骨後方移動を 屈曲膝で脛骨前面を打つ 後方落ち込み、後方引き出し
膝外側からの外力 30°屈曲位
膝内側からの外力 30°屈曲位
・後方不安定性を 、回旋を伴う など

ACL損傷では音、早期の、膝崩れ感が典型的である。古典的な「不幸の三徴」はACL、MCL、損傷の組合せを指すが、実際の合併損傷は多様である。

初期評価

  1. 、腫脹の出現時期、ロッキング、膝崩れ、既往損傷を聞く。
  2. 変形、皮膚、、圧痛、可動域、伸展機構を評価する。
  3. 神経を含む知覚・運動を記録する。
  4. 単純X線で骨折・骨折を除外する。Ottawa Knee Ruleなどは撮影適応の補助となる。
  5. MRIは、軟骨、骨の評価に有用だが、救急の神経血管評価を遅らせない。

⚠️ 多損傷はしたである可能性がある。外観が正常でも損傷を除外する。が0.9未満、脈拍異常、虚血徴候があれば緊急の血管画像・科対応を行う。ABIが保たれてもな神経血管診察を続ける。

損傷グレード

グレード 病態 不安定性
I 微細損傷 圧痛はあるが明らかな弛緩なし
II 部分 終末感を残す軽度〜中等度弛緩
III 完全 明らかな弛緩、終末感消失を伴い得る

治療

ACL

急性期は腫脹・疼痛を抑え、完全伸展と制御を回復する。部分損傷または日常生活で不安定性がない患者では、筋力・神経筋制御・訓練を中心とした保存治療が選択できる。

再建術は「完全だから一律」ではなく、活動要求、反復性膝崩れ、合併損傷、骨成熟、患者希望で決める。手術を選択する急性単独ACL損傷では、中の損傷リスクと再建後の再置換・リスクの双方を考慮して時期を個別化する。3か月超の損傷が増える報告がある一方、早期再建で再置換リスクが高いとする研究もあり、一律に3か月以内とは定められない。12 若年・活動性が高い患者では腱が優先される。

PCL

単独Grade I〜IIの多くはPCL用、早期の訓練、脛骨後方落ち込みを避けるリハビリテーションで治療する。高グレードで症候性の後方不安定性、修復可能な骨性、多損傷では修復・再建を検討する。

MCL、LCL・PLC

  • MCL単独損傷の多くはGrade IIIを含め、ヒンジ付きと早期で治療できる。ただしGrade IIIでは損傷部位も判断に含める。3
  • 遠位、脛骨側病変、遠位MCLが腱表層へ乗り上げたStener様病変、骨性、慢性不安定性、複合損傷では手術を検討する。3
  • LCL・PLCの高グレード損傷は自然治癒しにくく、慢性・回旋不安定性を防ぐためを検討する。とくに急性Grade III PLCでは修復より再建の成功率が高く、再建を優先して検討する。4
flowchart TD
    A["膝<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligament'>靱帯</span>損傷を疑う"] --> B["骨折・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dislocation'>脱臼</span>・血管損傷を除外"]
    B --> C["単独低グレードで安定"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='orthosis'>装具</span>・早期運動・筋力と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proprioception'>固有感覚</span>訓練"]
    B --> E["反復性不安定性または高グレード複合損傷"]
    E --> F["MRIと専門評価"]
    F --> G["修復・再建を個別化"]

合併症と復帰判定

慢性不安定性、二次性・軟骨損傷、外傷後、関節線維症、感染、移植腱再がある。競技復帰は月数だけで決めず、疼痛・腫脹、完全可動域、筋力左右差、、動作品質、を総合評価する。

まとめ

  • 損傷は検査から不安定方向を推定し、まず骨折とを除外する。
  • ACLは非接触、PCLは、MCL/LCLはそれぞれ・回旋を伴うで損傷する。
  • 損傷はしたの可能性があり、外観正常でも損傷をABI等で除外する。
  • 単独低グレード損傷の多くは・早期運動と筋力・訓練による機能的治療が可能。
  • ACL再建は完全だから一律ではなく、活動要求・反復性膝崩れ・合併損傷で判断し、再建時期も保護と再置換・リスクを踏まえて個別化する。12
  • 競技復帰は受傷後の期間だけでなく、疼痛・腫脹、完全可動域、筋力左右差、を総合評価して判定する。

出典

  1. 1.Timing of Anterior Cruciate Ligament Reconstruction and Relationship With Meniscal Tears: A Systematic Review and Meta-analysis(The American Journal of Sports Medicine・2021)ACL再建時期と合併半月板断裂の関係、および最適時期の不確実性閲覧 2026-08-09
  2. 2.Delaying anterior cruciate ligament reconstruction for more than 3 or 6 months results in lower risk of revision surgery(Journal of Orthopaedics and Traumatology・2024)ACL再建時期と再置換手術リスクの関係閲覧 2026-08-09
  3. 3.Isolated medial collateral ligament tears: An update on management(EFORT Open Reviews・2018)単独MCL損傷の保存治療と手術を考慮する損傷形態閲覧 2026-08-09
  4. 4.Higher success rate observed in reconstruction techniques of acute posterolateral corner knee injuries as compared to repair: an updated systematic review(Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy・2023)急性Grade III後外側支持機構損傷では修復より再建の成功率が高いこと閲覧 2026-08-09