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Drug Atlas · C1 Antiseptics & disinfectants / 消毒・防腐薬 · 必修

過酸化水素

H2O2

分類
Antiseptics & disinfectants / 消毒・防腐薬
商品名(日本)
オキシドール
科目
Pharmacology
トピック
C1: Disinfectants and antiseptics
標的微生物
Clostridium perfringens

🧠 全体像など)によると、カタラーゼ分解で生じるの機械的洗浄作用を武器にする酸化系。だが皮膚・粘膜・血液・多くの細菌が持つカタラーゼが自らを数秒〜数十秒で分解してしまうため、実際の接触時間は短く抗菌力は限定的。しかも同じが線維芽細胞など周囲組織にもダメージを与えるため、創部へのな使用は現在推奨されない——「昔から使われてきた」歴史と「今の推奨」がねじれている薬である。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 系統 芽胞 有機物での失活 主な用途
エタノール ①アルコール系 × 実用上期待できない なし(速効・揮発) 中等度 ・注射部位・皮膚表面
①アルコール系 × 実用上期待できない なし(速効・揮発) 中等度 皮膚・注射部位・器具表面
②ヨード系 高濃度・長時間なら期待できる 乾燥するまで中程度 受けやすい 消毒・創傷・粘膜
(H₂O₂) ③酸化薬 高濃度の器具消毒でのみ○ 低濃度では限定的 なし(後は急速に失活) カタラーゼで数秒〜数十秒で分解 器具の(創部への日常使用は非推奨)
× 実用上ほぼ無効 強い(数時間) 比較的受けにくい (アルコール配合)・カテーテル
× 弱い 中程度 比較的受けにくい 粘膜・創傷・新生児皮膚
× × 弱い 受けやすい・グラム陰性菌汚染のリスク 皮膚・環境表面(限定的)

抗菌スペクトラム

対象 効果
△(低濃度・短時間の創部使用では限定的)
芽胞 高濃度・長時間接触の器具消毒でのみ○
低濃度では実用上限定的、高濃度では有効
真菌
ウイルス 濃度依存で比較的広く不活化
Clostridium perfringensなど) 理論上より脆弱(カタラーゼ・SODを持たないため)

💡 はカタラーゼ・(SOD)を持たないため、への耐性が乏しい。 これが、などクロストリジウム属による嫌気性創感染の洗浄にが歴史的に使われてきた理論的根拠だが、下記のとおりと治癒遅延のリスクがあり、現在は創部へのな使用そのものが推奨されない。

作用の速さと持続、カタラーゼによる不活化

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrogen peroxide'>過酸化水素</span>(H₂O₂)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydroxyl radical'>ヒドロキシルラジカル</span>などの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='reactive oxygen species (ROS)'>活性酸素種</span>を生成"]
    B --> C["微生物の膜脂質・DNA・酵素を酸化"]
    A --> D["組織・血液・多くの細菌が持つ<br>カタラーゼ/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peroxidase'>ペルオキシダーゼ</span>が分解"]
    D --> E["数秒〜数十秒で<br>酸素と水に分解(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='effervescence'>発泡</span>)"]
    E --> F["抗菌成分が急速に消失し<br>接触時間が短い"]
    B --> G["同じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative stress'>酸化ストレス</span>が<br>線維芽細胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratinocyte'>ケラチノサイト</span>にも作用"]
    G --> H["創傷治癒の遅延"]

⚠️ 高頻度ポイント:創傷へのな使用は推奨されない。 カタラーゼによる速やかな分解で殺菌力が乏しい一方、と創傷治癒遅延を起こすため、現行の創傷ケアの考え方は創部洗浄にや水道水を優先する。

用途

領域 使いどころ
創部洗浄 な使用は非推奨。汚染除去目的の一時的な機械的洗浄に限定
除去 軟化薬として使用
低濃度のなど
器具の 高濃度・長時間接触(内視鏡再処理、ガスなど)
深部創傷・ 禁忌(下記)

用法・用量

創部・:2〜3%溶液(目安)。ただし創傷への日常使用は推奨されないため、洗浄が必要な場合もを優先し、は限定的な場面にとどめる。除去軟化薬として使用する。器具の:高濃度(6%以上)・長い接触時間で用いる(用途は施設のプロトコルに従う)。濃度・使用法は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 深部創傷・など)への圧をかけた注入は禁忌。 組織中に酸素が強制されてを起こした致死例が報告されている
  • 創部へのな洗浄は推奨しない・創傷治癒遅延、殺菌力も限定的)
  • 眼への使用は避ける

副作用

頻度 内容
高頻度 使用部位の・刺激感
注意 ・創傷治癒遅延(線維芽細胞傷害)
重篤・まれ 深部・への圧注入による

まとめ

  • など)によると、による機械的洗浄が機序。
  • 組織・血液・多くの細菌が持つカタラーゼで数秒〜数十秒のうちに分解されるため、接触時間が短く抗菌力は限定的。
  • 同じが線維芽細胞にも及び、創傷治癒を遅らせる。創部へのな使用は推奨されない(現行の創傷ケアは・水道水を優先)。
  • はカタラーゼを持たないため理論上より脆弱——歴史的に嫌気性創感染の洗浄に使われてきた背景だが、臨床的有用性のエビデンスは乏しい。
  • 高濃度・長時間接触では器具のに使える(低濃度の創部使用とは別次元の話)。
  • 深部・への圧注入はのリスクがあり禁忌。