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Drug Atlas · C5 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

レムデシビル

remdesivir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
ベクルリー
商品名(EU)
Veklury
科目
Pharmacology
トピック
C5: Agents to treat Herpes simplex (HSV), varicella-zoster (VZV), cytomegalovirus (CMV). Anti-influenza agents. Drugs against Corona- and other viruses
標的微生物
SARS-CoV-2
監視検査値
クレアチニン
対象疾患
新型コロナウイルス感染症

🧠 全体像:はとして依存性ポリメラーゼ(RdRp)に取り込まれ、を止めるという、C型肝炎・エボラ出血熱の治療薬開発の流れで生まれた広域抗ウイルス薬のにある。で最初に使えるようになった抗ウイルス薬という歴史的位置づけを持ち、現在はというから、(・)が使いにくい入院患者や重症例で主に使われる。

薬効群の中での位置づけ

グループ 代表薬 標的 特徴
Mpro/3CLプロテアーゼ 経口 相互作用が非常に多い
ポリメラーゼ阻害薬(停止) RdRp 静注 入院・重症例向き。肝腎機能に注意
型 RdRp(誤取込み) 経口 相互作用は少ないが催奇形性懸念

⭐ は元々エボラ出血熱の治療薬として開発された。 (PALM試験)ではモノクローナル抗体製剤に劣る結果となりエボラでの実用化は進まなかったが、その広域ウイルス活性がSARS-CoV-2に転用され、治療薬として承認された。静注薬のためが普及した現在は入院患者・経口摂取困難例が主な使用場面になっている。

⭐ 有効性の証拠は試験によってが食い違う。 入院患者を対象にしたACTT-1試験では、群の回復までのが10日(プラセボ群15日)と有意に短縮したが、29日死亡率は群11.4%・プラセボ群15.2%で差は有意水準に達しなかった(0.73、95%CI 0.52〜1.03)1。一方、 Solidarity試験(30か国405施設・入院患者11,330例を対象にした多剤の比較)では、群の28日死亡率は相当の対照群と有意差がなく(0.95、p=0.50)、人工呼吸導入や入院期間も減らさなかった2。同じ「入院患者」を対象にしていても試験設計・対照群が異なり、死亡率という同一のでが食い違う代表例である。 その後、ワクチン未接種で重症化リスクを持つ発症7日以内の非入院患者を対象に3日間の短期(初日200mg・2〜3日目100mg)を行ったPINETREE試験では、28日時点の入院・死亡が群0.7%・プラセボ群5.3%となり87%のリスク低下が示された3。入院患者では死亡率への効果が一貫して示されない一方、外来の高リスク・早期例への短期投与という位置づけがその後確立した点に注意する。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='remdesivir'>レムデシビル</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)が細胞内に取り込まれる"] --> B["細胞内キナーゼによりリン酸化され<br>活性体(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='triphosphate form'>三リン酸体</span>)になる"]
    B --> C["SARS-CoV-2の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribonucleic acid'>RNA</span>依存性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribonucleic acid'>RNA</span>ポリメラーゼ(RdRp)が<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='nascent RNA strand'>新生RNA鎖</span>に活性体をアデノシンの代わりに取り込む"]
    C --> D["取り込まれた直後は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chain elongation'>鎖延長</span>が数塩基は継続する<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed chain termination'>遅延鎖延長停止</span>:delayed chain termination)"]
    D --> E["やがて<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational'>立体構造</span>上の障害でRdRpが進めなくなる"]
    E --> F["ウイルス<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribonucleic acid'>RNA</span>複製が停止"]

💡 「遅延」停止という特徴:は取り込まれた直後にはを完全には止めず、数塩基先で止まる。これはウイルスのによる除去を回避するための構造上の工夫で、コロナウイルスが持つをすり抜けられる数少ないという位置づけを持つ。

薬物動態

項目 値・特徴
のみ
代謝 として細胞内でリン酸化され活性化
排泄 主に(代謝物として)

適応

領域 使いどころ
(入院例) 酸素投与を要する中等症〜重症の
(外来・高リスク例) 重症化リスクの高い軽症患者への短期投与(の通える環境が前提)

用法・用量

初日に、以降量を1日1回静注し、5〜10日間程度継続する(重症度により期間が変わる)。腎機能低下例では投与の可否・用量を個別に判断する。実際の用量・投与期間は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ :投与前・投与中のモニタリングが必要。著明な上昇があれば中止を検討
  • ⚠️ 腎機能:重度腎機能低下例では製剤の()の蓄積が懸念され、腎機能に応じた判断が必要
  • 静注薬のためが使える状況では優先度が下がる

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、注射部位反応
注意
重篤・まれ 過敏症反応・アナフィラキシー、(まれに報告)

まとめ

  • 。依存性ポリメラーゼに取り込まれ「」でウイルス複製を止める。
  • 元はエボラ出血熱治療薬として開発されたが実用化されず、治療薬へ転用された。
  • のみ。(・)が使えない入院例・重症例で主に使われる。
  • ・腎機能への影響があり、投与中のモニタリングが必要。
  • ほどの相互作用の多さはない。

出典

  1. 1.Remdesivir for the Treatment of Covid-19 — Final Report(New England Journal of Medicine・2020)酸素投与を要する例を含む入院COVID-19患者を対象にした二重盲検プラセボ対照試験(ACTT-1)で、レムデシビル群の回復までの期間中央値は10日・プラセボ群15日で有意に短縮したこと(率比1.29、p<0.001)、29日死亡率はレムデシビル群11.4%・プラセボ群15.2%でハザード比0.73(95%CI 0.52〜1.03)と有意差に達しなかったことを確認した閲覧 2026-08-27
  2. 2.Repurposed Antiviral Drugs for Covid-19 — Interim WHO Solidarity Trial Results(World Health Organization / New England Journal of Medicine・2021)30か国405施設の入院COVID-19患者11,330例を4剤(レムデシビル・ヒドロキシクロロキン・ロピナビル・インターフェロンβ-1a)とオープンラベル対照群に無作為化した多施設試験で、レムデシビル群の28日死亡率の率比は0.95(p=0.50)と対照群に対し有意差がなく、人工呼吸導入や入院期間も減らさなかったことを確認した閲覧 2026-08-27
  3. 3.Early Remdesivir to Prevent Progression to Severe Covid-19 in Outpatients(New England Journal of Medicine・2022)SARS-CoV-2ワクチン未接種で重症化リスク因子を持つ発症7日以内の非入院患者562例を対象に3日間点滴静注(初日200mg・2〜3日目100mg)としたPINETREE試験で、28日時点の入院または死亡はレムデシビル群0.7%・プラセボ群5.3%で87%のリスク低下を認めたことを確認した閲覧 2026-08-27