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Imaging findings · Published

大腸通過時間検査

Colonic transit study

別名
大腸通過時間測定X線不透過マーカー法radiopaque marker studycolon transit time study
臓器系
消化器
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 L-57:便秘の鑑別診断

🧠 全体像:は、大腸の中身がどれだけの速さで動いているかを直接測る検査である。で決めるのは便秘の有無そのものではなく、⚠️ 通過が遅いのか(通過遅延型)、通過は正常なのに出せないのか(出口機能障害)という、その後のを左右する分岐である。この切り分けを誤ると、通過遅延型に効くはずのが出口機能障害には効かず、逆にが必要な患者に薬物療法だけを続けてしまう。

定義——何を調べる検査か

は、摂取したマーカーや標識食が大腸を通過する速さを測定し、慢性便秘を(STC)・正常通過型便秘(NTC)・(DD)に分類する検査である1。代表的な3方式は次のとおり。

方式 方法 特徴
X線不透過マーカー法 ゼラチンカプセルに詰めた20個のマーカーを内服し、5日後にを撮影する。5個以上(または当初数の20%以上)の残存で通過遅延と判定する1 最も標準的で簡便・安価。単一カプセル法ではマーカー20%超を通過遅延の基準とする2
コロン で標識した食事を摂取し、24・48時間後の残存を測定する1 マーカー法より実施できる施設が少ない。全消化管の通過を同時に評価できる
ワイヤレスモチリティカプセル カプセルが消化管内のpH・圧・温度を測定しを算出する1 研究施設中心。胃・小腸の通過も分かるが結腸内の区域別評価はできない

適応・禁忌

  • 適応:食事・の指導や標準的な下剤で改善しない慢性便秘で、STC・NTC・DDのいずれかを鑑別したい場合1
  • 前提として先に行うこと:臨床的にDDが疑わしい場合は、検査より先に高などで出口機能を評価し、出口の問題があればそちらを先に治療する1
  • 禁忌:妊娠中(X線を伴うため)、腸閉塞が疑われる場合

手技の概要・区域別評価

X線不透過マーカー法では、右結腸・左結腸・直腸S状結腸の3区域を骨性ランドマークで区分し、各区域でのマーカーの分布から区域別の通過遅延を評価する2。西洋人での平均全は30〜40時間、は70時間とされる2。

⭐ マーカーの分布パターンで「どこで止まっているか」が分かる。 全区域に均等に散在していれば大腸全体の運動低下(STCに典型的)、直腸S状結腸に集積していれば出口の問題(DD)を示唆し、追加のマーカーが右結腸に偏っていれば右側優位の通過遅延を示唆する。

評価の進め方

flowchart TD
    A["食事・下剤療法に反応しない慢性便秘"] --> B{"臨床的にDDが疑わしいか"}
    B -->|"はい"| C["先に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anorectal manometry'>肛門直腸内圧検査</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='balloon expulsion test'>バルーン排出試験</span>"]
    C --> D{"出口機能障害があるか"}
    D -->|"あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic floor biofeedback'>骨盤底バイオフィードバック</span>等を先行"]
    D -->|"なし"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='colonic transit study'>大腸通過時間検査</span>を施行"]
    B -->|"いいえ"| F
    F --> G{"マーカーの分布パターン"}
    G -->|"全区域に均等に残存"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slow-transit constipation'>通過遅延型便秘</span>(STC)"]
    G -->|"直腸S状結腸に集積"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dyssynergic defecation'>排便協調運動障害</span>の関与を疑う"]
    G -->|"残存少ない・正常範囲"| J["正常通過型便秘(NTC)"]

紛らわしいもの・限界

  • 薬剤・の影響を受ける。 女性は男性よりが長い傾向があり、による変動も報告されている2。検査前に通過に影響する薬剤(下剤・オピオイド等)の中止が必要になる場合がある。
  • 残存数は重症度・とは相関しない。 マーカーの残存個数が多いほど症状が強いとは限らず、通過遅延の有無を判定する検査であって重症度スケールではない。
  • 単独では出口機能障害を除外できない。 直腸S状結腸へのマーカー集積はを示唆する所見だが、確定には・など別の検査が必要である1。
  • 人種差があるをそのまま適用しない。 西洋人の平均30〜40時間・上限70時間という基準はアジア人集団にはそのまま当てはまらない可能性がある2。

まとめ

  • は、摂取したマーカーや標識食が大腸を通過する速さを測り、慢性便秘をSTC・NTC・DDに分類する検査で、代表的な方式はX線不透過マーカー法・コロン・ワイヤレスモチリティカプセルの3つである1。
  • 最も標準的なX線不透過マーカー法は、20個のマーカーを内服し5日後の単純X線でマーカー残存数を数え、5個以上(または20%以上)の残存で通過遅延と判定する1。
  • 右結腸・左結腸・直腸S状結腸の区域別分布を読むことで、大腸全体の運動低下か出口の問題かを推測できる2。
  • 臨床的にDDが疑わしい場合は、検査より先に出口機能評価(等)を行うべきで、順序を誤るとを誤りうる1。
  • 性別・・人種によるの差があり、西洋人のをそのまま適用しない2。

出典

  1. 1.Idiopathic Slow Transit Constipation: Pathophysiology, Diagnosis, and Management(Medicina (Kaunas)・2024)大腸通過時間検査には20個のX線不透過マーカーを内服し5日後の腹部単純X線で5個以上(または当初数の20%以上)残存すれば通過遅延と判定するマーカー法、コロンシンチグラフィ、ワイヤレスモチリティカプセルの3種類があり、診断は排便協調運動障害・正常通過型便秘など他の表現型と二次性便秘を除外したうえで確定すること、通過時間検査の前提として臨床的に排便協調運動障害が疑わしい場合は出口機能評価を先に行うべきことを確認した閲覧 2026-09-07
  2. 2.How to Interpret a Functional or Motility Test - Colon Transit Study(Journal of Neurogastroenterology and Motility・2012)西洋人での平均全大腸通過時間は30〜40時間で正常上限は70時間とされること、右結腸・左結腸・直腸S状結腸の3区域を骨性ランドマークで区分しマーカーの分布から区域別の通過遅延を評価できること、単一カプセル法ではマーカー残存率20%超を通過遅延の判定基準とすること、女性は男性より通過時間が長い傾向があり月経周期の影響も報告されていることを確認した閲覧 2026-09-07