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Imaging findings · Published

蛍光眼底造影

Fluorescein angiography

別名
FA
臓器系
眼科
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 1-10:糖尿病の細小血管合併症

🧠 全体像:(FA)は、というを静脈から注射し、を流れていく様子を連続撮影する検査である。OCTが「今どんな断面の構造になっているか」という静止画としての形を見るのに対し、FAは「血液がどこを流れ、どこで漏れているか」という動画としての血流・を見る。で決めるのは所見の名前ではなく、⚠️ その漏出・無灌流が治療(・など)を要する活動性の病変か、既にしたの変化かという次の一手である。

所見の定義

造影剤が組織にどう振る舞うかによって、は5つの型に分けられる1。

パターン 定義 意味するもの
window defect(開窓欠損) (RPE)萎縮部からの透過性蛍光。時間が経ってもサイズ・強度が増加しない RPEの菲薄化・欠損(血管がそのまま透けて見える)
leakage(漏出) 時間とともにサイズ・強度がともに増加する蛍光 の亢進(活動性の炎症・)
pooling(貯留) 時間とともに強度は増すがサイズは変わらない蛍光 ・腔など、境界のある腔への液貯留
staining(染色) 組織そのものが色素を保持し、後期にを示す ・など、色素と結合しやすい組織
blocking() 前方にある構造物のために蛍光の視認性が低下する 出血・色素・浮腫など、深部の蛍光を隠す病変が手前にある

💡 window defectとleakageの見分け方が最重要。 どちらも「明るく光る」点は同じだが、window defectは時間が経っても形とサイズが変わらないのに対し、leakageは時間とともに輪郭がにじみ広がる。このの観察こそが、単純なではなくFAでなければならない理由になる。

モダリティと写り方

FAは単独の検査だが、注射後のごとに写り方が変わるため、そのものを「の違い」として扱う1。

タイミング 正常な写り方
相 注射後10〜15秒 血管がまだらに早期充盈(斑状の背景蛍光)
相の1〜2秒後 に造影剤が充盈し始める
動静脈相 の1〜2秒後 動脈は充盈完了、静脈は(辺縁のみ)で充盈開始
静脈相(早期・中期・後期) 動静脈相に続く数十秒 静脈がから完全充盈へ移行し、正常黄斑が明瞭に描出される
相 注射後約10分 色素がに希釈され、からはほぼ排出される

正常な黄斑では、を取り囲むように毛細血管が輪状に配列した「域」が動静脈相〜静脈相で明瞭に描出される。この輪の形が乱れる(拡大・化する)ことは、の指標になる。

リスクを上げる形態

所見 意味するもの
毛細血管無の拡大 が進行し、()産生の引き金になりうる
からの旺盛なleakage 活動性の血管新生。無治療では・に進みうる
花弁状のleakage(周囲) に伴う破綻の所見
のstaining・leakage ・・など、視神経自体の病変を示唆

評価の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metamorphopsia'>変視症</span>など<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular lesion'>血管性病変</span>を疑う所見"] --> B["FAで造影し<br>各<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phase'>時相</span>を連続撮影"]
    B --> C{"leakageまたは<br>無<span class='jp-term jp-term-diagram' title='territory'>灌流域</span>があるか"}
    C -->|"なし"| D["window defect・staining・<br>blockingのみとして評価"]
    C -->|"あり"| E{"活動性か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='old (healed/chronic, e.g. old MI)'>陳旧性</span>か<br>(経過中の増大の有無)"}
    E -->|"活動性"| F["原因(血管新生・炎症)に応じ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-VEGF therapy'>抗VEGF療法</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='photocoagulation'>光凝固</span>・免疫抑制を検討"]
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='old (healed/chronic, e.g. old MI)'>陳旧性</span>・安定"| G["経過観察を継続"]
    D --> H["OCTで構造的な浮腫・剥離の有無を対比"]

紛らわしいもの

  • 偽蛍光:の特性上、が無くても白色に近い病変(など)が光の反射として光って見えることがある。真の(window defect等の)を示さない点で区別する。
  • 自発蛍光との混同:造影剤を使わない検査は、など組織自体が発する光を撮影するもので、FAとは別の検査である。造影前の無処置画像を撮っておくと混同を避けられる。
  • ICG(インドシアニングリーン)造影との役割の違い:ICGはヨウ素を含み吸収・発光波長が近赤外域にあるための描出に優れるが、ヨード・甲殻類アレルギーやの患者には禁忌となる。FA()にはヨウ素は含まれず、腎機能低下や透析中であることは禁忌ではない点が造影剤やICGと異なる2。
  • 副作用の大半は軽度で一過性。 悪心が最も頻度の高い副作用(0.06〜15.29%)で一過性だが、は局所の疼痛・組織障害を来しうる重度の副作用、はまれだが致死的になりうる(死亡は222,000件に1件と報告)1。

まとめ

  • FAはを静注し、相から相までのを連続撮影しての血流・を評価する検査で、OCTが担う断面構造の評価とは役割が異なる1。
  • はwindow defect・leakage・pooling・staining・blockingの5型に分けられ、に伴うサイズ・強度の変化で鑑別する1。
  • の要点は、漏出・無灌流が治療を要するかどうかであり、無の拡大や旺盛なからの漏出はリスクを上げる所見になる。
  • 造影剤はナトリウムで、ヨウ素を含むICGやと異なり腎機能低下・透析中の患者への使用が問題にならない。副作用の大半は悪心などの軽度・一過性のもので、やはまれだが重篤になりうる12。

出典

  1. 1.Fluorescein Angiography(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)フルオレセインナトリウム500mgを静注し10〜15秒で網膜に到達すること、脈絡膜相・動脈相(脈絡膜相の1〜2秒後)・動静脈相・静脈相(早期・中期・後期)・再循環相(約10分で完全に排出)という時相があること、window defectは網膜色素上皮萎縮部からの透過性蛍光で時間経過によりサイズ・強度が増加しないこと、leakageは時間とともにサイズ・強度が増加する蛍光であること、poolingは強度のみ増加しサイズが変わらない蛍光であること、stainingは組織が色素を保持し後期に過蛍光を示すこと、blockingは前方の遮蔽物により蛍光の視認性が低下することを確認した。副作用として悪心が最も頻度が高く0.06〜15.29%で一過性であること、血管外漏出は重度の副作用とされること、死亡の発生率は222,000件に1件と報告されていること、糖尿病患者での静注後に一過性のクレアチニン上昇が3日間報告されたが有害事象は観察されなかったこと、透析患者でも禁忌とはされていないことを確認した(著者Surabhi Ruia、Koushik Tripathy、最終更新2023年8月25日)。閲覧 2026-09-08
  2. 2.Indocyanine Green Angiography(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)インドシアニングリーン造影(ICG)が主に脈絡膜循環の描出に用いられるのに対し、蛍光眼底造影(FA)は網膜循環の詳細な描出に優れるが脈絡膜循環の描出能は限られるという役割分担があること、ICGの吸収ピークが790〜805nm・発光ピークが835nmであること、ICGはヨウ素(iodide)を含むためヨードまたは甲殻類アレルギーの患者には禁忌であり尿毒症の患者にも禁忌で一般人口より有害事象の頻度が高いことを確認した(著者Sabareesh Muraleedharan、Koushik Tripathy、最終更新2023年8月25日)。閲覧 2026-09-08