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Imaging findings · Published

嚢胞様黄斑浮腫

Cystoid macular edema

別名
CMEcystoid macular edema
臓器系
眼科
科目
Pathophysiology
トピック
病態生理学 1-10:糖尿病の細小血管合併症
関連疾患
黄斑浮腫白内障網膜色素変性

🧠 全体像は「黄斑に液が溜まっている」という所見であり、単独の疾患名ではない。で決めるべきは、その液がどこから来たかという機序――の破綻による血管性の滲出か、による牽引か、そのものの機能不全()か――であり、原因治療に進むか局所治療で足りるかはこの切り分けで決まる。同じ「」というOCT所見でも、(FA)で漏出する型としない型があることが、機序を見分ける手がかりになる。

所見の定義

臓器・ごとに見ているものが違うため、最初に定義を揃える。

定義
OCT を含むに生じる、境界明瞭な低反射の(構造としての浮腫)。を中心とした一定径内の網増加を伴うが、厚みの閾値は装置と正常値データベースに依存する
FA からの色素漏出が、の放射状配列に沿って花弁状に貯留する像。の破綻という機能的異常を反映する1

⚠️ OCTは「液が溜まっているか」を、FAは「なぜ漏れているか」を見ている。 両方が陽性なら血管性・炎症性のCMEとして矛盾しないが、OCTでがあるのにFAで漏出がない組み合わせは、後述する「漏出を伴わないCME」を疑う手がかりになる。

モダリティと写り方

検査 何を見ているか 位置づけ
OCT 網膜の断層形態と厚みを直接測定する構造検査 非侵襲・定量的で経過追跡が容易なため第一選択
FA の破綻による色素漏出という機能的異常 漏出源の同定、炎症・虚血の評価、漏出を伴わないCMEとの鑑別に用いる
進行例で黄斑の変化を肉眼的に確認できることがある OCTが使えない場面でのスクリーニングにとどまる
造影剤なしに網膜の形態を描出する の評価に有用だが、色素漏出そのもの(機能的異常)は直接描出できない

原因を絞る軸

代表
炎症性 ぶどう膜炎術後の
血管性
薬剤性 など)、2)、
遺伝性

⚠️ 「漏出を伴わないCME」はが破綻していない。 によるものは、液が細胞外ではなく内に貯留するであり、FAで漏出所見を示さない1。FAが陰性でもOCTでがあればCMEを除外したことにはならず、機序が違うだけだと理解する。

評価の進め方

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decreased visual acuity'>視力低下</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metamorphopsia'>変視症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central scotoma'>中心暗点</span>を疑う"] --> B["OCTで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystic space'>嚢胞腔</span>・網<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane thickness'>膜厚</span>を確認"]
  B --> C{"過去のOCTと比較"}
  C -->|"新規または増悪"| D["原因の探索"]
  C -->|"既知病変で不変"| E["経過観察を継続"]
  D --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cataract'>白内障</span>術後の時期に一致するか"}
  F -->|"はい"| G["術後炎症性<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Irvine-Gass syndrome'>Irvine-Gass症候群</span>)を疑う"]
  F -->|"いいえ"| H{"ぶどう膜炎・全身炎症の既往か"}
  H -->|"はい"| I["炎症性として原疾患の治療を優先"]
  H -->|"いいえ"| J{"糖尿病・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retinal vein occlusion'>網膜静脈閉塞</span>の既往か"}
  J -->|"はい"| K["血管性としてFAで<br>漏出源・虚血を評価"]
  J -->|"いいえ"| L{"新規薬剤の開始歴があるか"}
  L -->|"はい"| M["薬剤性を疑い<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='culprit (suspected) drug'>被疑薬</span>の継続可否を検討"]
  L -->|"いいえ"| N["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traction'>牽引性</span>・遺伝性を検討し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vitreous body'>硝子体</span>網膜界面とFA漏出の有無を確認"]

紛らわしいもの

  • ):下・に生じる分離腔がOCTでCMEのと似て見えるが、炎症や血管性の浮腫ではなく、FAでも漏出しない。
  • :液が溜まる場所がであり、網膜内のであるCMEとは層が異なる。OCTで網膜下か網膜内かを確認すれば区別できる。
  • OCTの:網膜層の自動認識を誤ると見かけ上の厚みが変化し、偽の浮腫や偽の菲薄化として表示される。数値だけでなく生の断層画像を確認する。
  • による形態の変形で、OCT上は円孔に似た陥凹として写るが、全層のではない。

まとめ

  • CMEは所見であって疾患名ではなく、機序(血管性・・細胞性)の切り分けがを決める。
  • OCTは構造としての浮腫を、FAはの破綻という機能的異常を見ており、両者は同じものを見ていない。
  • 原因は炎症性・血管性・・薬剤性・遺伝性に大別され、術後のや薬剤性の頻度もできない。
  • 酸による「漏出を伴わないCME」はFAで陰性になりうるため、FA陰性だけでCMEを除外しない。
  • 治療の第一選択は原因により異なる。では(±局所ステロイド)が第一選択とされ、難治例で傍眼窩・へ進む3に伴うCMEには局所が用いられる4

出典

  1. 1.Current Management Options in Irvine-Gass Syndrome(Journal of Clinical Medicine・2021)Irvine-Gass症候群(偽水晶体眼CME)の第一選択が局所NSAID(±局所ステロイド)で、難治例では傍眼窩・硝子体内ステロイドや抗VEGF療法へ進むと報告されていることを確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Cystoid macular oedema without leakage in fluorescein angiography: a literature review(Eye (Nature)・2023)FAでの花弁状漏出の定義と、網膜色素変性・ニコチン酸などにみられる「漏出を伴わないCME」がMüller細胞内への貯留という別機序であることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Diagnosis and Management of Fingolimod-Associated Macular Edema(Frontiers in Neurology・2022)フィンゴリモドが黄斑浮腫を来しうる代表的な薬剤性CMEの原因であることを確認した閲覧 2026-08-04
  4. 4.Efficacy of carbonic anhydrase inhibitors in management of cystoid macular edema in retinitis pigmentosa: A meta-analysis(PLOS ONE・2017)網膜色素変性に伴うCMEの治療として局所炭酸脱水酵素阻害薬(ドルゾラミド等)が中心黄斑厚を減少させると報告されていることを確認した閲覧 2026-08-04