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Imaging findings · Published

レモン徴候・バナナ徴候

Lemon sign and banana sign

別名
レモンサインバナナサインlemon signbanana sign
臓器系
神経生殖・産婦人科
科目
EmbryologyNeurology
トピック
発生学 8.3:先天異常と出生前診断:出生前診断神経内科 G3-20:脊椎・脊髄の形成異常
関連疾患
神経管閉鎖不全(二分脊椎・無脳症)

🧠 全体像は、脊椎そのものの異常を写した所見ではない。で脳脊髄液が病変部から漏出し続けることで頭蓋内圧のバランスが崩れ、として尾側へ引き込まれた結果、頭部に現れる二次的な変化である。妊娠中期のでは、に左右されやすい脊椎の縦断像より、決まった断面が得やすい頭部の横断像の方がむしろ検出しやすいため、「なぜ脊椎の病気を疑うのに頭を見るのか」がこの2所見を理解する軸になる。が決めるのはの確定診断ではなく、による精査へ進むかどうかという次の一手である。

所見の定義

いずれも妊娠中期ので評価する形態異常で、対象とする構造が異なる。

  • が左右対称に内方へ陥凹し、頭蓋の輪郭が横径に対してすぼまったレモンのような形になる所見。
  • :小脳がへ牽引・されて後方へ引き込まれ、本来ダンベル状に左右対称なが前方へ弯曲してバナナ状に見える所見。の消失を伴う。

⭐ 両者は同時に出ることが多いが、の方がより特異度が高い。妊娠24週未満のにおいて、の感度98%・特異度99%、の感度96%・特異度100%と報告されている1

モダリティと写り方

・断面 写り方・使いどころ
(妊娠中期、目安18〜20週) 中心となるスクリーニング法。胎児の体位が許せば頭部横断像を安定して得やすい
頭部の標準的な横断像で、の陥凹()を含む頭蓋輪郭の評価に用いる
小脳の形状との脳脊髄液の有無を評価し、の判定に用いる2
脊椎の縦断像 病変レベルの直接描出を狙うが、に強く左右され熟練を要するため、標準的なの必須項目とはされていない2
超音波での判定が難しい例・合併奇形の評価に用いる補助的検査で、超音波で疑いが持たれた後に専門施設で追加する

リスクを上げる形態

  • の消失を構成する所見そのものであり、が保たれていないことを示す。正常なは2〜10 mmとされ2、これを下回る消失はの狭小化を裏づける。
  • の狭小化の本体であり、の背景にある
  • :頭蓋内圧・の異常を反映し、に高頻度で合併する所見で、出生後の水頭症発症を示唆する手がかりになる。
  • 脊椎レベルの所見との対応:頭部所見が陽性であるほど、脊椎病変の直接描出()をで確認する必要性が高まる。

評価の進め方

flowchart TD
    A["妊娠中期スクリーニング超音波で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lemon sign'>レモン徴候</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='banana sign'>バナナ徴候</span>を認める"] --> B["過去画像・前回スキャンがあれば必ず比較する"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='targeted ultrasonography'>精密超音波</span>で脊椎病変のレベルを同定"]
    C --> D["水頭症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular enlargement (dilatation)'>脳室拡大</span>など合併奇形を評価"]
    D --> E["染色体異常のリスクを評価し遺伝<span class='jp-term jp-term-diagram' title='counseling'>カウンセリング</span>"]
    E --> F{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fetal therapy'>胎児治療</span>の適応基準を満たすか"}
    F -->|"満たす可能性がある"| G["周産期・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurosurgery'>脳神経外科</span>を含む専門施設へ紹介"]
    F -->|"満たさない"| H["出生後治療を前提に分娩管理を計画"]

過去画像との比較は、所見が一過性のか進行性の変化かを見分けるために重要である。単回の検査で断定せず、疑わしい所見は日を改めて再するかへつなぐ。

⚠️ 紛らわしいもの

  • は非特異的である。 単独ではの診断根拠にならず、他のや染色体異常のある胎児、正常胎児でも一過性に観察されうる所見であり、他の所見と切り離して確定診断に使わない。
  • 在胎週数による消退は頭蓋骨の骨化が進むにつれて目立たなくなり、妊娠24週以降には出現頻度が大きく低下する。はこの経過をたどりにくく、より遅くまで残る1
  • プローブ圧・による様の変形を強く当てた圧迫や胎児の頭位置により、頭蓋輪郭が一時的にゆがんで見えることがある。角度を変えて再し、再現性を確認する。
  • 他の頭蓋変形との違いなど縫合の早期癒合による頭蓋変形は、が左右対称に陥凹するの形態とは異なり、癒合した縫合線に沿った変形を示す。
  • 閉鎖性(皮膚に覆われた)では、これらの徴候がしばしば出ない。 脳脊髄液の持続的な漏出がを介して頭蓋内変化を起こす機序であるため、皮膚に覆われ漏出のない閉鎖性病変では頭部所見が乏しく、これらの徴候の陰性だけで閉鎖性病変を除外することはできない。

まとめ

  • はいずれも脊椎そのものの所見ではなく、に伴うという頭蓋内の二次的変化を写した所見である。
  • の陥凹、は小脳の後方牽引と消失を特徴とし、の方が特異度が高い。
  • という決まった頭部横断像で評価でき、に左右されやすいより検出しやすい。
  • は非特異的で在胎週数とともに消退しうるため、単独診断は避け、過去画像との比較とでの病変レベル同定に進む。
  • ではこれらの徴候を欠くことが多く、陰性所見だけで閉鎖性病変を除外しない。

出典

  1. 1.Cranial findings detected by second-trimester ultrasound in fetuses with myelomeningocele: a systematic review(BJOG・2021)妊娠24週未満の開放性脊髄髄膜瘤において、レモン徴候の感度98%・特異度99%、バナナ徴候の感度96%・特異度100%であること、レモン徴候は頭蓋骨の骨化が進むにつれ妊娠24週以降には出現頻度が低下し消退する一方、バナナ徴候はこの経過をたどりにくいことを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.ISUOG Practice Guidelines (updated): sonographic examination of the fetal central nervous system. Part 1: performance of screening examination and indications for targeted neurosonography(International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology (ISUOG)・2020)経小脳断面で小脳の形状と大槽の脳脊髄液の有無を評価すること、大槽の前後径は2〜10mmが正常範囲であること、詳細な脊椎縦断像は胎位に強く左右され熟練を要するためスクリーニング検査の必須項目ではないことを確認した。閲覧 2026-08-04