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抗AQP4抗体

Aquaporin-4 antibody

別名
AQP4-IgG抗アクアポリン4抗体NMO-IgG
臓器系
神経免疫・膠原病
科目
ImmunologyPhysiology
トピック
免疫学 7.1:過敏反応生理学 2.12:冠循環。脳循環。脳脊髄液。血液脳関門。
関連疾患
視神経脊髄炎スペクトラム障害

🧠 全体像は、アストロサイトのに発現する4(AQP4)に対するIgG自己抗体で、の病態そのものを規定する。実務上の要点は測定法によって感度が大きく異なることで、がELISA・組織より明らかに高い感度・特異度を持ち、現行の標準として推奨されている。血清で測定するのが基本で、免疫の後は偽陰性になりうるため、可能であれば治療開始前に採取する。陰性という結果だけでNMOSDを否定してはならない。

何を測っているか

AQP4はアストロサイトの(血管周囲・下・周囲に多い)に高密度に発現するである。(NMO-IgG)はこのAQP4に結合し、とADCC()を介してアストロサイトを直接傷害する、の機序をとる。アストロサイトの破壊は二次的に血液脳関門の破綻・脱髄・を引き起こし、・長大な症候群などNMOSDの臨床像を形成する(詳細はを参照)。

測定法と感度

測定法によって感度が大きく異なる。 NMOSD疑い181例・対照253例を用いた検討では、が他の測定法より明らかに高い感度を示した1

測定法 感度 特異度
92% 100%
94% 99.5%
組織 78% 99.7%
ELISA 60% 97%

現行のガイドラインではCBAが標準として強く推奨されており、ELISA・組織はCBAに劣る12

検体:血清で測る

血清での測定が基本である。 血清の陽性率は、通常、髄液単独で測定した場合より高い2。髄液単独での陰性を根拠にNMOSDを除外してはならず、血清での再検を優先する。

⚠️ 測定上の注意:偽陰性になりうる状況

⚠️ 免疫後・後は偽陰性になりうる。 、高用量ステロイド、リツキシマブなどのB細胞除去療法の直後または施行中に採取した検体では、が低下し陰性化することがある2。可能であれば治療開始前に採取する。すでに治療が開始されている場合や、初回検査が陰性で臨床的にNMOSDが疑わしい場合は、3〜6か月後に再検すると陽性化する例がある2

⚠️ 陰性でもNMOSDは否定できない。 抗体陰性・不明の症例の一部は(MOGAD)という別の疾患単位に分類されるほか、いずれの抗体も陰性の「二重陰性」例も存在する。

診断基準における位置づけ

2015年IPND基準では、の有無で診断要件そのものが変わる3

診断要件
陽性 中核的臨床症候(・急性症候群など6項目)のうち1つ以上+他疾患の除外
陰性・不明 異なる部位にまたがる2つ以上の中核的症候+追加のMRI要件+他疾患の除外

抗体陽性という1点が、必要な臨床症候の数を6項目中1つにまで減らす。 陰性・不明例はより厳格な基準(複数部位の症候+画像所見)を満たさなければならず、抗体の有無が診断のハードルそのものを左右する3

まとめ

  • はアストロサイトのAQP4に対するIgGで、NMOSDの病態を規定する。
  • が感度92〜94%・特異度99.5〜100%と、ELISA(感度60%)・組織(感度78%)より明らかに優れ、現行の標準測定法である。
  • 血清での測定が基本で、髄液単独の陰性でNMOSDを除外してはならない。
  • ⚠️ 免疫の直後は偽陰性になりうるため、可能なら治療開始前に採取し、疑わしい陰性例は3〜6か月後に再検する。
  • 2015年IPND基準では、抗体陽性なら中核的臨床症候1つで診断でき、陰性・不明例はより厳しい基準を要する。

出典

  1. 1.International consensus diagnostic criteria for neuromyelitis optica spectrum disorders(International Panel for NMO Diagnosis (IPND) / Neurology・2015)抗AQP4抗体陽性例は6つの中核的臨床的特徴(視神経炎・急性脊髄炎・最後野症候群・急性脳幹症候群・症候性ナルコレプシーまたは間脳症候群・症候性大脳症候群)のうち1つ以上と他疾患の除外で診断できる一方、陰性・不明例は異なる部位にまたがる2つ以上の中核的特徴と追加のMRI要件を満たす必要があることを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.AQP4 Antibody Assay Sensitivity Comparison in the Era of the 2015 Diagnostic Criteria for NMOSD(Frontiers in Neurology(Prain K, et al.)・2019)NMOSD疑い181例・対照253例(多発性硬化症101例、炎症性疾患49例、健常献血者103例)を用いた検討で、生細胞法細胞ベースアッセイの感度92%・特異度100%、固定細胞法細胞ベースアッセイの感度94%・特異度99.5%、組織間接蛍光抗体法の感度78%・特異度99.7%、ELISAの感度60%・特異度97%と、細胞ベースアッセイが他の測定法より高い感度を示したことを確認した。閲覧 2026-08-11
  3. 3.Reflections from a NMOSD case with serum AQP4-Ab negativity but CSF positivity: narrative review of how to interpret AQP4-Ab test results(Annals of Translational Medicine(Xue Q, et al.)・2023)血清抗AQP4抗体の陽性率は通常髄液より高いこと、血漿交換・高用量ステロイド・リツキシマブなどB細胞除去療法の直後または施行中に採取した検体では抗体価が低下し偽陰性化しうるため3〜6か月後の再検で追加の陽性例が得られること、国際的なガイドラインでは細胞ベースアッセイ(CBA)が強く推奨されていることを確認した。閲覧 2026-08-11