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Lab values · Published

遊離アンドロゲン指数

Free androgen index

別名
FAI
臓器系
内分泌・代謝生殖・産婦人科
科目
Obstetrics and Gynecology (Gynecology)
トピック
婦人科学 37:男性化と多毛症

🧠 全体像:(FAI)は、総テストステロンをSHBGで割った比にすぎず、実際に遊離アンドロゲンを測っているわけではない。SHBGが十分にあるときはの近似としてそれなりに使えるが、SHBGが低いとその近似が壊れて過大評価する——この一点が、FAIを読むときに外してはいけない前提である。

何を測っているか

FAIは、血清の総テストステロン濃度をSHBG濃度で割った比として定義される(総テストステロン÷SHBG)1。SHBGはテストステロンの大部分を強く結合して不活性化するであり、残りのごく一部(分と遊離分)だけが組織で作用できる。FAIは「SHBGにどれだけ食われずに残っているか」を単純な比で近似する、の簡易代用指標である。

多くの検査室ではSHBGとテストステロンをいずれもnmol/Lで表し、その比を百分率(%)で報告する。単位・報告様式は施設によって異なるため、数値だけを他施設のと比較しない。

基準値と単位

FAIには国際的に統一されたが定まっておらず、施設ごとのを用いる1。英国内分泌学会2025年指針は、結果を年齢別および閉経前後で区分したエビデンスに基づくに照らして解釈すべきとしている1。⚠️ SHBGアッセイは製造元間でよく標準化されている一方、テストステロンアッセイ間のばらつきがFAIの値に偏りを持ち込む——同じ検体でも測定に使ったテストステロンアッセイによってFAIが変わりうる1。

高値の意味

FAI高値は、総テストステロンの上昇・SHBGの低下のどちらか、または両方の組合せで生じる。の評価で、総テストステロンが正常域にとどまる例ほどFAIが臨床的に意味を持つ——2023年の国際PCOSガイドラインは、PCOS診断における生化学的の評価に総テストステロンとの両方を用いるべきとし、はFAIで推定してよいとしている(推奨1.2.1、強い推奨・エビデンスの質は非常に低い)2。

高FAIの主な背景 機序
卵巣・副腎のアンドロゲン産生増加 総テストステロン上昇が分子を押し上げる
肥満・糖尿病・ステロイド使用 肝でのSHBG産生低下が分母を押し下げる
SHBGが著しく低い状態 分母が小さいことそのものでFAIが跳ね上がる(下記「測定上の注意」)

低値の意味

FAI低値は、総テストステロンが低い、またはSHBGが高いことを反映する。男性のの評価では、SHBGが上昇する病態(甲状腺機能亢進症、肝硬変、加齢、・の使用など)で総テストステロンが基準内でもFAIが見かけ上低くなることがあるため、SHBGの変動要因をあわせて確認する。単独の低値だけで・アンドロゲン欠乏と断定しない。

⚠️ 測定上の注意

  • ⚠️ SHBG 30 nmol/L未満では、FAIはの指標として不正確になり、過大評価しうる。 英国内分泌学会2025年指針は、「孤立して上昇したFAIをSHBG < 30 nmol/Lの患者で生化学的の根拠に使うときは注意すべき」としている1。この点は原著論文でも実測されている——女性130例・正常女性対照53例・正常男性120例を対象に平衡透析法(測定の)と比較したところ、SHBGが30 nmol/L未満に下がるとFAI/平衡透析法比・FAI/計算比のいずれも上昇し、著者らは「FAIはSHBGが低いときのの信頼できる指標ではなく、の精査を受ける多数の女性に誤った情報を与えうる」としている3。
  • ⭐ 計算(cFT)はFAIより頑健な代替である。 cFTはSHBGのテストステロン結合能と濃度の両方を考慮した計算式で、広い範囲のSHBG濃度にわたって平衡透析法との一致がFAIより優れ、直近のでも診断感度がFAIよりわずかに高いとされる1。SHBGが低い患者でFAIを使わざるを得ない状況では、可能ならcFTや平衡透析法での確認を検討する。
  • 総テストステロンのアッセイ間variabilityがそのままFAIに乗る。 SHBGアッセイは標準化が進んでいる一方、テストステロンアッセイの精度・の違いがFAIの値に影響するため、異なる検査室・時期で測ったFAIを単純に比較しない1。
  • 直接アナログ法によるは精度が低く使用すべきでない、という総テストステロン側の測定上の注意(→血清テストステロン)は、FAIにもそのまま影響する。FAIの分子(総テストステロン)自体の測定精度が低ければ、比としてのFAIも不正確になる。

経時変化とモニタリング

治療効果判定(例:や投与後の変化)を追う場合も、同じ測定条件(早朝空腹時、同一アッセイ)をそろえてに比較する。SHBGは製剤の開始・中止で大きく変動するため、治療内容が変わった前後のFAIを単純に比較すると、テストステロンの変化ではなくSHBGの変化を見ていることがある。SHBGの推移も併せて確認し、FAIの変化がどちらに由来するかを切り分ける。

まとめ

  • FAIは総テストステロンをSHBGで割った比であり、そのものではなく簡易代用指標である。
  • SHBG 30 nmol/L未満ではFAIがを過大評価しうるため、孤立したFAI高値だけで生化学的と判定しない。
  • 計算(cFT)はSHBG・アルブミンの両方を考慮し、広いSHBG域で平衡透析法との一致がFAIより優れる、より頑健な代替である。
  • は施設依存で国際的な統一がなく、年齢・閉経前後で区分したに照らして解釈する。
  • テストステロンアッセイ間のばらつきがFAIの値にそのまま影響するため、異なる検査室・時期の値を単純比較しない。

出典

  1. 1.Society for Endocrinology Clinical Practice Guideline for the Evaluation of Androgen Excess in Women(Society for Endocrinology・2025)PMC12413683の全文XMLで6.3.2「Free Androgen Index (FAI)」を逐語確認した。「The FAI defines the ratio of T to SHBG」「The FAI has been shown to correlate with free T measured by equilibrium dialysis; however, at low SHBG concentrations (< 30 nmol/L) the FAI becomes less accurate and may overestimate free androgens」「caution should be applied if using an isolated raised FAI with an SHBG < 30 nmol/L to support a diagnosis of biochemical hyperandrogenism」「despite the good agreement between SHBG assays, the variation observed across testosterone assays can impact the bias of the FAI」。続く6.3.3「Calculated Free Testosterone (cFT)」は「cFT accounts for both the binding capacity of SHBG for testosterone and the serum albumin concentration. It exhibits superior agreement with equilibrium dialysis measurements of free testosterone over a wide range of SHBG concentrations making it more robust than FAI」「a recent meta-analysis...determined cFT to exhibit slightly superior diagnostic sensitivity than the FAI」とする。Recommendationsは「Evaluate an index of free testosterone on females being investigated for hyperandrogenaemia, particularly if total testosterone is normal in a patient with clinical androgen excess. If using the FAI, results should be interpreted with caution if the patient has an SHBG concentration < 30 nmol/L. All results should be interpreted against evidence-based reference ranges. These should be categorised as either age-specific and/or pre- and post-menopausal.」閲覧 2026-09-16
  2. 2.Recommendations From the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism・2023)PMC10505534の全文で推奨1.2.1(EBR ❖❖❖❖ ⊕◯◯◯)を逐語確認した。「Healthcare professionals should use total and free testosterone to assess biochemical hyperandrogenism in the diagnosis of PCOS; free testosterone can be estimated by the calculated free androgen index.」——強い推奨だがエビデンスの質は非常に低い(⊕◯◯◯)。推奨1.2.2は「If testosterone or free testosterone is not elevated, healthcare professionals could consider measuring androstenedione and dehydroepiandrosterone sulfate (DHEAS)」とする。閲覧 2026-09-16
  3. 3.The free androgen index is inaccurate in women when the SHBG concentration is low(Clinical Endocrinology・2018)PubMed抄録(PMID 29405348)を逐語確認した。多嚢胞性卵巣症候群女性130例・正常女性対照53例・正常男性120例で、平衡透析法とLC-MS/MSによる遊離テストステロン(ED-T)・総テストステロンを測定し、算出遊離テストステロン(cFT)とFAIを比較した。「The cFT showed good agreement with measured ED-T, and the ratio cFT/ED-T was stable across all SHBG concentrations. In contrast, the FAI/ED-T ratio and the FAI/cFT ratio increased when the concentration of SHBG fell below 30 nmol/L.」結論「The FAI is not a reliable indicator of free T when the SHBG concentration is low and would give misleading information in a large number of women being investigated for hyperandrogenism.」——正常男性120例も測定対象に含まれており、原著の趣旨は「FAIは男性でも古くから誤差が指摘されてきたが、女性の高アンドロゲン血症評価でなお汎用されている」という導入に基づく(抄録内で明記)。閲覧 2026-09-16