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Lab values · Published

Pappenheimer小体

Pappenheimer bodies

別名
パッペンハイマー小体
臓器系
血液
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-01:貧血患者の診断アプローチ
関連疾患
鉄芽球性貧血無脾症・脾機能低下症

🧠 全体像:は「鉄をうまく使えなかった赤芽球の忘れ物」である。骨髄で鉄がヘモグロビンに正しく取り込まれず、ミトコンドリアに異常沈着したまま()赤血球が末梢へ出てしまうと、その鉄含有ミトコンドリアの残骸がとして観察される。由来する場所が違うという一点が、同じ「赤血球内の点状構造物」である(核の残存物)・(変性)との根本的な違いであり、染色法の使い分けもすべてこの由来の違いから導かれる。

何を観察しているか

正常なでは、ミトコンドリアに取り込まれた鉄がプロトと結合してヘムになる。この経路が障害されると、鉄はヘモグロビンに取り込まれずミトコンドリア内に異常蓄積し、核の周囲を環状に取り囲む「」を骨髄に作る1。

flowchart TD
    A["骨髄の赤芽球"] --> B["鉄がヘムに正しく取り込まれない"]
    B --> C["ミトコンドリアに非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heme iron'>ヘム鉄</span>が異常蓄積"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ring sideroblasts'>環状鉄芽球</span><br>(骨髄での所見)"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enucleation'>脱核</span>・末梢血への放出"]
    E --> F["鉄含有ミトコンドリアの残骸が残存"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Pappenheimer body'>Pappenheimer小体</span><br>(末梢血での所見)"]

💡 とは「同じ異常の骨髄版と末梢血版」である。 はでしか見えないが、その赤芽球がして末梢に出た後の残骸がとしてで観察できる1。

基準値と単位(正常での有無)

健常者のでは、は通常みられない。1つの赤血球に含まれる数はわずか数個にとどまるのが典型で、多数の顆粒が広く散在するとは分布のパターンが異なる2。

陽性所見の意味

出現する状況は、骨髄でのと、末梢での除去機構の破綻という2つの機序に分けて整理できる。

機序の群 代表状況
骨髄での鉄芽球性造血(の形成) (遺伝性:ALAS2変異が最多、SLC25A38変異/後天性:〈-RS、しばしば〉/可逆性:、、、)1
障害を伴う病態 、(いずれも鉄利用・代謝の異常を伴う)2
脾による除去機構の破綻 外科的後、鎌状赤血球症に伴う2

💡 がリストに入るのは「二重の機序」を持つためである。 は酵素を阻害して鉄芽球性造血を起こすと同時に、赤血球の核酸分解を障害しても同時に増やす。の血液像でとが併存することがあるのはではなく、という単一の原因が2つの異なるを別々の機序で作り出しているためである。

⚠️ 測定上の注意

  • ⚠️ との鑑別は染色で行う。 ロマノフスキー染色(ライト・)だけでは紛らわしいが、鉄染色(Perls染色)を追加するとは鉄を含むため青く染まり、(変性由来で鉄を含まない)はを呈する。この染色差が確定的な鑑別法になる2。
  • ⚠️ 分布のパターンも手がかりになる。 は1つの赤血球に通常わずか数個しか存在しないのに対し、は多数の微細顆粒が細胞質全体に広く散在する2。
  • との違いは大きさと鉄染色性である——はよりはるかに小さく、鉄染色で(由来)は陰性、(鉄含有)は陽性となる。
  • ・の患者で見つけた場合、やと同様にを疑う手がかりの1つにとどまる。単独の所見で脾機能を定量評価する検査ではない。

経時変化とモニタリング

・の診療では、骨髄のの割合そのものを診断・分類の基準として追うのが基本であり、末梢血のの有無・量そのものを治療効果判定の指標として定期的に測定する運用は一般的ではない。では、曝露源の除去と後に血液像(・)が改善するかを他の血液学的とあわせて確認することがある。

まとめ

  • は、骨髄の(鉄がヘムに取り込まれずミトコンドリアに異常蓄積した赤芽球)がした後も残る、鉄含有ミトコンドリアの残骸である。
  • (遺伝性・後天性〈-RS〉・可逆性〈など〉)、・、外科的後・(鎌状赤血球症など)でみられる。
  • との鑑別は鉄染色(は陽性=青、は陰性=ピンク)と、1細胞あたりの顆粒数(は少数、は多数)で行う。
  • とは大きさ・鉄染色性で区別され、いずれもの手がかりにはなるが単独では脾機能を定量できない。

出典

  1. 1.Sideroblastic Anemia(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)2024年12月11日改訂版。環状鉄芽球は赤芽球のミトコンドリアに非ヘム鉄が沈着し核の周囲を取り囲むように分布した前駆細胞で、鉄の環が核周囲の3分の1以上を占めることが定義に必要であること、正常なヘム合成ではグリシンがミトコンドリア内でスクシニルCoAと結合しALAS2によりアミノレブリン酸となるが、この経路の障害で鉄がヘモグロビンに取り込まれずミトコンドリア内に異常蓄積すること、末梢血で観察される鉄芽球性造血の成れの果てが、ライト・ギムザ染色で粗大な好塩基性顆粒(Pappenheimer小体)を示す低色素性の赤血球(siderocyte)であること、原因として遺伝性(ALAS2変異が最多、SLC25A38変異)、後天性(骨髄異形成症候群MDS-RS、しばしばSF3B1変異)、可逆性(銅欠乏、アルコール、イソニアジド、鉛中毒)に分類されることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Erythrocyte Inclusions(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)2025年12月1日改訂版。Pappenheimer小体がヘモジデリンを含む赤血球辺縁の小さく円形の暗い好塩基性〜黒色の封入体で、鉄芽球性造血に由来する非ヘム鉄・脂質・蛋白・炭水化物からなる顆粒であること、ロマノフスキー染色でHowell-Jolly小体よりはるかに小さく見えること、鉄染色(Perlsプルシアンブルー染色)で青く染まるのに対し好塩基性斑点は鉄染色でピンク色を呈するためこの染色で両者を鑑別できること、Pappenheimer小体は1つの赤血球に通常わずか数個しか存在せず好塩基性斑点のように多数散在しないこと、鉄芽球性貧血・鉛中毒・ヘモクロマトーシス・サラセミア・骨髄異形成症候群(MDS)、および外科的無脾後や鎌状赤血球症の機能的無脾症でみられることを確認した閲覧 2026-09-05