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Microbe Atlas · ウイルス

Marburg virus

マールブルグウイルス

分類
フィロウイルス / Filoviruses
性状
エンベロープあり Enveloped(−)ssRNA
科目
Medical Microbiology
トピック
3/22: Corona- and Filoviruses5/11: Zoonotic infections (list) and their prevention
自然耐性薬
リバビリン

🧠 全体像Ebola virusと同じ紐状の形態・同じ・同じ「体液接触で伝播する最重症の出血熱」という骨格を共有するが、病にはEbola virus disease のような承認済みワクチン・治療用モノクローナル抗体がまだ存在しない。この「Ebola virusとの治療格差」こそが、Marburg virusを単独のノートとして持つ意味であり、の構造・感染経路の一般論はEbola virusのノートに譲る。

微生物学的な特徴

Ebola virusと同じに属するが、属は別(Marburgvirus属)——Ebolavirus属とは異なる属として分類される。ゲノム構造(非分節、エンベロープあり)や紐状の形態はEbola virusと共通。種としてはMarburg marburgvirusの中にMarburg virusRavn virusの2つの株(レイニアラス)が含まれ、臨床像はほぼ同一。

エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus——の中で唯一、が確度高く同定されている種である。このコウモリが生息する洞窟・鉱山への立ち入り(観光客・鉱山労働者)が繰り返しヒトへのの起点になってきた。

病原性の仕組み

侵入・複製・というはEbola virusと共通(Ebola virusのノートを参照)——糖蛋白がNPC1に結合してし、単球・マクロファージでの複製とVP35・VP24による自然免疫抑制を経て、血管内皮への直接傷害からに至る。

flowchart TD
    A["エジプトルーセットオオコウモリ<br>(洞窟・鉱山)からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spillover'>スピルオーバー</span>"] --> B["糖蛋白が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='NPC1 receptor'>NPC1受容体</span>に結合し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell entry'>細胞侵入</span>"]
    B --> C["単球・マクロファージでの複製<br>自然免疫の抑制"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular endothelial cell'>血管内皮細胞</span>への直接感染・傷害"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='increased vascular permeability'>血管透過性亢進</span>・凝固異常"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypovolemic shock'>循環血漿量減少性ショック</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multiple organ failure (MOF)'>多臓器不全</span>"]

感染経路と疫学

  • コウモリ→ヒト:洞窟・鉱山でのコウモリ排泄物・体液への曝露(探検者・鉱山労働者に集積するが特徴的)
  • ヒト→ヒト:Ebola virusと同様に体液の直接接触(血液・分泌物)が主要経路で、ではない。医療従事者・遺体の取り扱い者がハイリスク
  • 1967年、ドイツ・マールブルグとユーゴスラビアの検査室職員が、ウガンダから輸入されたアフリカミドリザルの組織を扱って感染したのが最初の記載(病名の由来)
  • 近年の主な:アンゴラ(2004〜05年、致死率約90%)、赤道ギニア・タンザニア(2023年)、ルワンダ(2024年)

起こす疾患

を起こす。臨床経過・重症化パターンはEbola virus diseaseとほぼ同一——突然の発熱・強い感・筋肉痛で始まり、消化器症状(嘔吐・水様性下痢)を経て、進行例ではに至る。

  • 致死率は流行によって24〜90%と幅が大きい(平均するとEbola virus同様におおむね50%前後とされる)
  • Ravn virusによる病像もMarburg virusと区別できない

診断

Ebola virusと同様——RT-PCRが確定診断の中心、抗原捕捉ELISA・血清学を併用。⚠️ 検体はでの取り扱いが必須。

治療と予防

⚠️ 承認済みワクチン・治療用抗体が存在しない。 Ebola virus diseaseでは rVSV-ZEBOV(Ervebo)や治療用モノクローナル抗体(Inmazeb・Ebanga)が実用化されているのに対し、病には2026年時点でライセンス取得済みの製品はない——治療の中心は依然として支持療法(積極的な輸液・・循環管理)である。

  • 治験段階のワクチン(型のcAd3-Marburgなど)が、2023年の赤道ギニア・タンザニアのや2024年のルワンダの治験としてのに投入され、安全性・のデータが蓄積されつつあるが、通常診療で使える承認製品ではない
  • には無効
  • 感染対策はEbola virus disease と同じ——の徹底、個室隔離、PPE、遺体の安全な取り扱い

まとめ

  • Ebola virusと同じだが別属(Marburgvirus属)。紐状の形態、を介したによるという基本病態は共通。
  • としてエジプトルーセットオオコウモリが確度高く同定されている——洞窟・鉱山への立ち入りが感染の起点。
  • 伝播は体液の直接接触のみでではない。致死率は流行により24〜90%と幅がある。
  • ⚠️ Ebola virus diseaseと異なり、承認済みのワクチン・治療用モノクローナル抗体が存在しない。 治験ワクチンが時のに投入されつつある段階。
  • 治療の中心は支持療法。には無効。