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高活動レベル移動能力予測尺度

Comprehensive High-Level Activity Mobility Predictor

別名
CHAMP
臓器系
運動器
科目
Rehabilitation
トピック
リハビリテーション 02:リハビリテーションにおける機能評価:移動能力・筋力・標準化スケール

🧠 全体像(Comprehensive High-Level Activity Mobility Predictor、)は、AMPでは弁別できない高強度・高活動レベルの移動能力を、と3種の敏捷性種目からなる実技4種目で採点する性能検査型の尺度である。米国でを負った現役・退役軍人を対象に、Gaileyらのグループが開発した。AMPはK3〜K4帯でを示し、前後の基本的な移動能力を超えた運動能力までは弁別できない。はその先——競技復帰や軍務復帰の判断に必要な高強度のパフォーマンス——を測るために作られた。

目的と適用場面

内容
目的 AMPで機能の上限付近に達したについて、高強度の身体パフォーマンス(バランス・敏捷性・・スピード)をに数値化し、リハビリテーションの進行や高活動レベルへの復帰準備を判断する
対象 を負った18〜40歳の現役・退役軍人を対象に開発・検証された。実施の前提として、AMP37点以上(K3相当)かつ250 m以上を満たすことが求められる1
使う場面 を用いた基本的な移動が確立したあとの段階で、スポーツや軍務への復帰など高強度活動への準備状況を追跡する。開発以来、主に米国の軍病院リハビリテーション施設で運動処方や経過評価に使われている2
評価しないもの 前後の基本的な移動能力の予測・の見積もり(AMPが担う)、そのものの定義、患者自身の申告による移動能力(LCIが担う)

💡 を受けるための前提条件そのものが「AMPで測れる範囲の上限に達していること」である。はAMPの代わりではなく、AMPという物差しが効かなくなった先を測るために設計されている。

構成要素と配点

・Edgren Side Step Test()・T-Test・Illinois Agility Test()の4種目からなる性能検査である。開発段階では上肢のを測るや腕立て伏せ・腹筋(米国陸軍体力検定基準)も候補に含まれていたが、非切断の現役兵と切断者のあいだで有意差が出なかったため最終版のには採用されなかった1

各種目は2〜3回試行し、そのうち最良の記録を採点に用いる。実施順序は→T-Test→で固定され、平均所要時間は約14分(範囲12.6〜18.7分)である1

⚠️ 安全第一が原則で、検者・被検者のいずれかが危険と判断した種目は実施しない。跳躍やホップ、長距離走など残存肢への衝撃が大きい動作は、治癒過程にある断端の軟部組織・血流・骨に負担をかけるため、種目候補の段階でに除外されている1

4種目の測定方法

種目 測定する要素 実施方法 得点の単位
バランス・姿勢安定性 高さ15.2 cmの目安を越えて片脚を上げ、上肢を組んだまま保持できた時間を左右それぞれ最大30秒まで測定する 秒(左右合算、0〜60秒)
Edgren Side Step Test( 側方への協調性・・敏捷性 1 m間隔に並んだコーンのあいだを、脚を交差させずに10秒間でできるだけ多くサイドステップする 10秒間に到達した1 m区間の数
T-Test 前後・側方の協調性・・敏捷性 10 m×10 mのT字コースを、前進10 m→側方5 m→側方10 m→側方5 m→10 mの順に移動しきる時間を測る
Illinois Agility Test( 多方向の協調性・・敏捷性 10 m×5 mのコースをから起き上がり、8本のコーンを縫うように往復して走破する時間を測る

各種目の素点は測定単位も評価方向(時間が短いほどよい種目と、距離や回数が多いほどよい種目が混在する)もばらばらであるため、そのままでは合算できない。そこで各種目を0〜10点の段階のみ0.5点刻みの20段階、他の3種目は整数刻みの11段階)に変換し、4種目の得点を合計してスコア(0〜40点)とする。変換の区分点は、非切断の現役兵と切断者を合わせた集団の実測分布をもとに設定された。は0〜60秒の範囲を0(0秒)・10(60.0秒)の両端と、そのあいだを3.3秒間隔で区切った0.5〜9.0の18段階(0.5点刻み)を合わせた20段階に変換する仕様であり、原著の記載上も9.5点の段階は存在しない1

素点から得点への変換表

得点 (秒、左右合算) (m/10秒) T-Test(秒) (秒)
0 0 5未満 124超 65.4超
0.5 0.1〜3.3
1 3.4〜6.6 5〜7 50.7〜123.9 60.0〜65.4
1.5 6.7〜10.0
2 10.1〜13.3 8〜10 45.7〜50.6 54.5〜59.9
2.5 13.4〜16.6
3 16.7〜19.9 11〜13 40.8〜45.6 49.0〜54.4
3.5 20.0〜23.2
4 23.3〜26.5 14〜16 36.0〜40.7 43.5〜48.9
4.5 26.6〜29.8
5 29.9〜33.1 17〜19 31.1〜35.9 38.0〜43.4
5.5 33.2〜36.4
6 36.5〜39.7 20〜22 26.2〜31.0 32.5〜37.9
6.5 39.8〜43.0
7 43.1〜46.3 23〜25 21.3〜26.1 27.0〜32.4
7.5 46.4〜49.6
8 49.7〜52.9 26〜28 16.5〜21.2 21.5〜26.9
8.5 53.0〜56.2
9 56.3〜59.5 29〜31 11.6〜16.4 15.9〜21.4
10 60.0 32以上 11.6未満 15.9未満

⭐ 表中の「—」はその得点段階に対応する素点区分が存在しないことを示す(だけが0.5点刻みを持つため)1

解釈とカットオフ

スコアは高いほど高強度の身体パフォーマンスが優れていることを示す。AMPの対応表のような重症度区分は設定されておらず、病期や段階で区切るは存在しない。経過を追跡し、リハビリテーションの進行や介入の効果を数値で示すための連続尺度として使う。

⭐ 開発時の検証集団(を負った軍人118例)でのスコアは平均21.9±7.8点、範囲1〜35点(満点40点)であった一方、AMP得点は平均43.8±3.1点、範囲37〜47点(満点47点)とAMPの上限付近に集中していた。片側60例のうち55例はAMPで45〜47点(K4相当)を得ていたが、その55例に限ってもスコアは平均28.4±7.9点・範囲19〜35点(満点40点)にとどまり、AMPでは差がつかない集団のなかでもを示さなかった。原著はこの結果をもって「AMPは最の機能レベルを測るようには設計されておらずを示す一方、 4を上回りうる機能レベルを測る」と位置づけている3

スコアはと強い正の相関(r=0.80)、AMP得点と強い正の相関(r=0.87、いずれもp<0.001)を示した。真の変化とみなせる)は3.74点である。はICC 1.0、はICC 0.97(95%CI 0.95〜0.98)、内部一貫性は0.910といずれも良好であった13

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traumatic lower-limb amputation'>外傷性下肢切断</span>"] --> B["AMPで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prosthesis'>義肢</span>適合と<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Medicare Functional Classification Level'>K-level</span>を評価"]
    B --> C{"AMP 37点以上かつ<br>6分間歩行250 m以上か"}
    C -- "いいえ" --> D["AMP・LCIなど従来の尺度で<br>基本的な移動能力を追跡"]
    C -- "はい(K3〜K4相当)" --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Comprehensive High-Level Activity Mobility Predictor'>CHAMP</span>で高強度の<br>身体パフォーマンスを評価"]
    E --> F["スポーツ・軍務復帰など<br>高活動レベルへの準備を判断"]

限界と使ってはいけない場面

⚠️ AMPのを補う位置づけであり、AMPの代わりにはならない。 を実施するにはまずAMPで37点以上・6分間歩行250 m以上を満たす必要があり、それに満たない患者ではの安全性・は検証されていない1

⚠️ 開発・検証対象はを負った18〜40歳の男性軍人に限られる。 血管障害や糖尿病による切断、女性、高齢者、小児での心理測定学的性質は原著では検証されていない13

⚠️ 医学的に不安定な患者、一指を超える上肢切断を伴う患者は対象外。 、複雑な指示の理解に影響する未回復の、可動域や安全な遂行能力を損なう整形外科的合併症、運動が禁忌となる心肺・代謝疾患、断端ので疼痛や可動域制限がある患者、に問題がある患者は、いずれも開発時の検証対象から除外されている1

⚠️ 重症度を区切るが無い。 AMPのような対応表は存在せず、単独の点数で「高活動レベルに到達した/していない」を判定する基準は設定されていない。

💡 日本の一般臨床での普及度は確認できていない。 開発の経緯どおり、現在も主に米国の軍病院リハビリテーション施設で使われている尺度であり2、日本国内での使用実績・普及度を示す資料は本稿執筆時点で確認できなかった。

まとめ

  • は、を負った高活動レベルの軍人を対象に、AMPではのため弁別できない高強度の身体パフォーマンスを測るために開発された性能検査型の尺度である。
  • ・Edgren Side Step Test()・T-Test・Illinois Agility Test()の4種目を実施し、各種目の素点を0〜10点(のみ0.5点刻み)に変換して合計したスコア(0〜40点)を用いる。
  • を実施するにはまずAMP37点以上・6分間歩行250 m以上(おおむねK3〜K4相当)を満たす必要があり、AMPでは差がつかない集団のなかでもを示さず幅広く分布した。
  • 重症度を区切るはなく、経過追跡や群間比較のための連続尺度として使う。開発・検証対象は18〜40歳のを負った男性軍人に限られ、日本国内での普及度は確認できていない。

出典

  1. 1.Development and reliability testing of the Comprehensive High-Level Activity Mobility Predictor (CHAMP) in male servicemembers with traumatic lower-limb loss(Journal of Rehabilitation Research and Development・2013)外傷性下肢切断を負った18〜40歳の現役・退役男性軍人118例(非切断の現役兵との比較データを含む)を対象にCHAMPを開発した原著。SLS・ESST・T-Test・IATの4種目の実施方法、素点から0〜10点への変換区分(Appendix J)、合計0〜40点のCHAMPスコア、CHAMP実施の前提としてAMP37点以上・6分間歩行250 m以上を課したこと、判定者間・再検査信頼性(ICC 0.97〜1.0)、標準誤差1.35点、Cronbachのα0.910、安全性(2,290試行中の有害事象1件)、平均所要時間14分を確認した閲覧 2026-08-02
  2. 2.Construct validity of Comprehensive High-Level Activity Mobility Predictor (CHAMP) for male servicemembers with traumatic lower-limb loss(Journal of Rehabilitation Research and Development・2013)CHAMPの構成概念妥当性を検討した原著。CHAMPスコアと6分間歩行距離(r=0.80)・AMP得点(r=0.87、いずれもp<0.001)との強い相関、最小可検変化量3.74点、AMPで45〜47点(K4相当)に達した片側下腿切断55例でもCHAMPスコアは平均28.4±7.9点・範囲19〜35点(満点40点)と天井効果を示さなかったこと、「AMPは最上位の機能レベルを測るようには設計されておらず天井効果を示す一方、CHAMPはK-level 4を上回りうる機能レベルを測る」という位置づけを確認した閲覧 2026-08-02
  3. 3.Comprehensive High-Level Activity Mobility Predictor (CHAMP)(American Physical Therapy Association)CHAMPの4種目(SLS・ESST・IAT・T-Test)と開発者(Gailey・Gaunaurd)、現在も主に米国の軍病院リハビリテーション施設でリハビリテーションの運動処方・経過評価・高活動レベル復帰の判断に使われていることを確認した閲覧 2026-08-02