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切断者移動能力予測尺度

Amputee Mobility Predictor

別名
AMPAMPPROAMPnoPRO
臓器系
運動器
科目
Rehabilitation
トピック
リハビリテーション 02:リハビリテーションにおける機能評価:移動能力・筋力・標準化スケール

🧠 全体像:AMP(Amputee Mobility Predictor、)は、患者が座位保持から歩行・昇降までを実際にやってみせる様子を臨床家が直接採点する、性能検査型の移動能力尺度である。を装着して行うと、なしで行うの2形式があり、特に前の患者に対して行い、その得点から適合の可否と)を見積もるために使う。患者本人の申告に基づくLCIや、生活期の実用的な使用状況を記述するPohjolainenの分類とは、評価する対象も時期も異なる。

目的と適用場面

内容
目的 患者の移動能力を臨床家が直接観察・採点し、前後の機能を予測・確認する
対象 片側のなど)を受けた患者。原著は検討24例(平均68.3歳)、検討167例(平均54.8歳)のを対象とした1
使う場面 前にで適合可否とを見積もり、後にで到達度を確認・再評価する
評価しないもの ADL全般の自立度(が担う)、患者自身の申告による移動能力(LCIが担う)、生活期の実用的な使用状況(Pohjolainenの分類が担う)、高強度・高活動レベルでの運動能力(など別の尺度が担う)2

実施には10〜15分程度を要し、ストップウォッチ、椅子2脚、30 cmものさし、筆、高さ約10 cmの障害物、手すり付きの(2〜3段)、4.5 m程度の歩行路があれば行える。特別な資格認定は不要で、実施要領(マニュアル)を読んだが検者となる13

💡 K0〜K4というそのものの定義・生活範囲の目安はに譲る。AMPはこのを検者のな印象だけに頼らず、標準化された実技採点から見積もるために作られた尺度である。

構成要素と配点

は21項目・基礎点0〜42点(補助具使用による加点を含め0〜47点)、と同じ項目のうちを装着していない側では実施不能な項目8()を除いた20項目・基礎点0〜38点(加点を含め0〜43点)で採点する。から昇降まで易しい課題から難しい課題へと難度順に並んでおり、⭐ 安全に遂行できないと判断した課題は無理に行わせず0点として次に進んでよい13

座位バランス

1. 座位保持

0点 1点
背もたれなしで60秒間座位を保持できない 背もたれなしで60秒間座位を保持できる

💡 この項目で座位保持すら成立しない場合、を使う見込みそのものが乏しいとみなされ、原著はこの水準をK0相当として扱う1

2. 座位リーチ

0点 1点 2点
試みない 前方の物品をつかめない、または上肢で支持を要する 上肢支持なしで前方へリーチし物品をつかめる

移乗・起立

3. 椅子間の90°

0点 1点 2点
できない、または介助を要する 不安定または見守りを要するが自力でできる 安定して自力でできる

4. 椅子からの起立(一動作)

0点 1点 2点
介助なしにはできない 上肢や補助具を使えばできる 上肢を使わずにできる

5. 椅子からの起立(複数動作)

0点 1点 2点
介助なしにはできない 2回以上の試みを要する 1回の試みで立ち上がれる

6. 立位直後のバランス(最初の5秒)

0点 1点 2点
不安定(よろめく、足を動かす、揺れる) や支持物を使えば安定する 支持なしで安定する

7. 立位保持(30秒)

0点 1点 2点
不安定 支持物を使えば安定する 支持なしで安定する

立位バランスの発展課題

8. のみ)

0点 1点 2点
不安定 支持物を使えば30秒保持できる 支持なしで30秒保持できる

⚠️ 項目8は側それぞれで採点し(各0〜2点、この項目だけで最大4点)、を装着していないでは側のが物理的に実施不能なため項目そのものを除く。の満点差(42点対38点)は、この項目1つの除外だけで説明できる13

9. 立位リーチ

0点 1点 2点
試みない つかめない、または上肢支持を要する 上肢支持なしでつかめる

10. 立位保持中の軽い外乱への反応(

0点 1点 2点
転倒し始める よろめく、つかまる、補助具を使う 安定を保つ

11. 立位(30秒)

0点 1点
不安定、または補助具を使う 補助具なしで安定する

12. 床の物を拾う

0点 1点 2点
拾って立位に戻れない 台や椅子、補助具の支えを要する 支えなしでできる

13. 着座

0点 1点 2点
距離を見誤る、椅子に崩れ落ちるなど安全でない 上肢や補助具を使う、または動作が滑らかでない 安全かつ滑らかに着座できる

歩行の質

14. 歩行開始

0点 1点
ためらいがある、または複数回の開始試行を要する ためらいなく開始できる

15. と足のクリアランス(左右それぞれ)

判定項目 0点 1点
一歩の長さ 対側の足に対し30 cm以上振り出せない 30 cm以上振り出せる
足のクリアランス 明らかな代償動作なしに床から足を上げられない 明らかな代償動作なしに床から足を上げられる

⚠️ では左右それぞれに判定するため、この項目だけで最大4点になる。では側の動作そのものを評価できないため、を中心とした動作で判定するが、一次資料では版での左右別の配点内訳までは確認できなかった1

16. 歩行の

0点 1点
歩行の途中で停止や中断がある 連続した歩行に見える

17. 180°方向転換

0点 1点 2点
介助なしには転向できない 介助なしにできるが3歩を超える 3歩以内で転向できる

18. 歩行速度の可変性

0点 1点 2点
歩行速度を制御して変えられない 変えられるが左右非対称、またはバランスが崩れる 左右対称かつバランスを崩さず変えられる

階段・障害物・補助具

19. 障害物のまたぎ越え

0点 1点 2点
またぎ越えられない 足を引っかける、歩行が中断する 歩行を中断せずまたぎ越えられる

20. 昇降(昇り・降りをそれぞれ0〜2点で採点)

0点 1点 2点
不安定でできない 1段ずつ足をそろえてから進む、または手すりや補助具に頼る 手すりに頼らず足をに出して連続して昇降できる

21. 使用するの選択(加点項目)

0点 1点 2点 3点 4点 5点
/平行棒 歩行器 (腋窩用・前腕用) 杖(T字杖・4点杖など) 補助具なし

⭐ 項目21は減点用ではなく加点用の項目で、より自立度の高い(=より軽い)補助具を選ぶほど得点が上がる。とも、基礎点にこの項目の最大5点をした値がの総得点(47点・43点)として引用される13

解釈とカットオフ

得点が高いほど移動能力が高い。の得点は前の予測に、の得点は後の到達確認に用いる。

K-level AMPnoPRO AMPPRO
K0 0〜8点 の対象外)
K1 9〜20点 15〜26点
K2 21〜28点 27〜36点
K3 29〜36点 37〜42点
K4 37〜43点 43〜47点

K0〜K4それぞれが表す生活範囲・歩行様式の定義はを参照する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lower limb amputation'>下肢切断</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prosthetic prescription'>義肢処方</span>前"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Amputee Mobility Predictor without prosthesis'>AMPnoPRO</span>を実施<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prosthesis'>義肢</span>を装着せずに採点)"]
    B --> C["得点から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Medicare Functional Classification Level'>K-level</span>を見積もる"]
    C --> D["見積もった<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Medicare Functional Classification Level'>K-level</span>に応じた<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='prosthesis'>義肢</span>部品構成を処方"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prosthetic fitting'>義肢装着</span>後に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Amputee Mobility Predictor with prosthesis'>AMPPRO</span>を実施"]
    E --> F{"見積もった<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Medicare Functional Classification Level'>K-level</span>と<br>実際の到達度が一致するか"}
    F -- "一致" --> G["同じ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Medicare Functional Classification Level'>K-level</span>での<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Follow-up Routines'>フォローアップ</span>を継続"]
    F -- "不一致" --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Medicare Functional Classification Level'>K-level</span>と部品構成を再評価"]

原著のの検討では、あらかじめ判定された群ごとのAMP平均点はが上がるにつれて有意に高くなったが(でP<.0001)、隣接する群のあいだで得点分布の重なりも大きかった1

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 単独でを確定させない。 得点は米国の保険償還制度に由来するの見積もりに使われる運用が中心であり、隣接する群の得点分布は重なっている。境界域の患者をAMPの点数だけで機械的に振り分けず、LCIなど自己記入式の尺度や日常生活での活動実態も合わせて総合的に判断する1

⚠️ K3〜K4帯でが指摘されている。 後年の検討では、得点はK2群との差は有意だったが、K3群とK4群のあいだでは有意差を検出できず、高活動群の弁別力に限界があることが示唆されている4

⚠️ 原著の検証対象は成人の片側に限られる。 上肢切断や小児、両側切断では原法の心理測定学的性質は検証されていない(両側切断者向けに配点を調整した別版が別途開発されている)。

⚠️ を装着していない状態での実技を要する。 を伴う課題を含むため、検者は各課題の前に安全に遂行できるかを見極め、疑わしい課題は無理に行わせず0点として次に進む。

、判定者内も0.96〜0.97と報告されており、手技自体の再現性は高い1。ただしこれは原著の統制された検討環境で得られた値であり、実際の臨床で同等の再現性を得るには、物品・実施手順を規定どおりに揃える必要がある。

まとめ

  • AMPは患者の移動能力を、から昇降までの実技を臨床家が直接採点する性能検査型の尺度で、下の(21項目・満点47点)となしの(20項目・満点43点)の2形式がある。
  • 前に、は装着後の到達確認に用い、得点は)の見積もりに対応づけられる。そのものの定義はを参照する。
  • の満点差は、側で実施不能な(項目8)の除外によるもので、補助具の選択(項目21)は最大5点の加点として基礎点にする。
  • 判定者間・判定者内は高いが、隣接する群のあいだで得点分布は重なり、K3〜K4帯ではが指摘されている。単独でを確定させず、LCIなど自己記入式の尺度も合わせて評価する。

出典

  1. 1.The Amputee Mobility Predictor: An instrument to assess determinants of the lower-limb amputee's ability to ambulate(Archives of Physical Medicine and Rehabilitation・2002)下肢切断者(信頼性検討24例・平均68.3歳、妥当性検討167例・平均54.8歳)を対象にAMPPRO/AMPnoPROを開発した原著。21項目・基礎点0〜42点(補助具使用の加点を含め0〜47点)のAMPPROと、義肢側の単脚立位(項目8)を除いた20項目・基礎点0〜38点(加点を含め0〜43点)のAMPnoPROの項目構成・配点、判定者間・判定者内信頼性(ICC 0.96〜0.99)、6分間歩行試験との併存的妥当性(r=0.69〜0.82)、独立に判定されたK-level群ごとのAMP平均点の比較(判別的妥当性)を報告した閲覧 2026-08-02
  2. 2.Outcome measures used in lower extremity amputation: Review of clinical use and psychometric properties(Journal of Surgery and Medicine・2021)下肢切断者の評価尺度に関する現行レビュー。AMPを義肢処方前後に用いる性能検査型尺度としてK-levelとの対応を含めて位置づけ、後年の後方視的検討でAMPPRO得点がK3群とK4群のあいだで有意差を検出できなかった(天井効果)ことを紹介している閲覧 2026-08-01
  3. 3.Amputee Mobility Predictor (AMP)(University of Missouri (Geriatric Toolkit))AMPPRO/AMPnoPROの実施用紙を項目ごとに逐語的に再掲した公的資料。実施に必要な物品・所要時間と、得点からK-levelへ換算する範囲表(AMPnoPRO 0〜8/9〜20/21〜28/29〜36/37〜43点、AMPPRO 15〜26/27〜36/37〜42/43〜47点)を確認した。この換算範囲表は原著論文本文そのものでは確認できず、この二次資料でのみ裏づけた数値である閲覧 2026-08-02
  4. 4.Amputee Mobility Predictor (AMP)(American Physical Therapy Association)AMPの適用範囲(義肢処方前後、K-levelの見積もり)、VA/DoD診療ガイドラインや国際義肢装具学会COMPASSでの推奨、より高活動レベルの評価にはComprehensive High-Level Activity Mobility Predictor(CHAMP)が別途用いられることを確認した閲覧 2026-08-02