スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Reid指数

Reid index

別名
Reid係数
臓器系
呼吸器
科目
Pathology
トピック
病理学 C/20:閉塞性肺疾患(気管支喘息・気管支拡張症)

🧠 全体像の診断は「2年連続、各年3か月以上続く」という臨床的な時間基準が先に立ち、はそれを裏づけるにすぎない。を実際に切り出して測って初めて計算できる値であり、日常診療で診断や重症度判定に使う数値ではない。それでも今も教えられるのは、「臨床定義」と「病理所見」がどう対応するかを示す典型例だからである。

目的と適用場面

内容
目的 におけるの程度を、腺層と全体の厚さの比として定量する
対象 ・外科の気管支(生検検体では測定できない)
使う場面 病理学的研究、の病態を形態学的に裏づける教育・研究目的
評価しないもの の有無・程度、肺気腫の重症度、臨床的な咳・喀痰の程度

測定方法と計算

気管支の横断切片で、からまでのの厚さを分母、その中に占めるの厚さを分子として比を求める。

項目 内容
分子 の厚さ
分母 の厚さ(
分子 ÷ 分母

を上皮から軟骨まで連続して切り出せることが前提であり、原著(Reid L. Measurement of the bronchial mucous gland layer: a diagnostic yardstick in chronic bronchitis. Thorax. 1960;15:132-141)もの気管支を系統的に切片化してしている。

解釈とカットオフ

目安
0.4未満 正常範囲
0.4〜0.5 移行域(判定が割れやすい)
0.5超 に典型的な腺肥大

原著でのReidの報告値は非気管支炎群で平均0.26(範囲0.14〜0.36)、群で平均0.59(範囲0.41〜0.79)であり、両群の分布はおおむね0.4前後で分かれる。ただしの数値は教科書間でも0.4前後とするものと0.5前後とするものが混在し、文献によって示す値にばらつきがある点に注意する。

💡 日常診療で測ることのないこの指数が今も教えられるのは、診断そのものに使うためではなく、「症状の持続期間という臨床定義で括られた病態の実体が、という形態変化である」という対応関係を、数値で示せる数少ない例だからである。臨床定義が先に立ち、形態がその裏づけになるという順序を掴むための指標として読むとよい。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ の診断は臨床定義(2年連続、各年3か月以上の)で行うものであり、を測定して確定するものではない。 が正常範囲でも臨床的にの診断は成立し得るし、逆もあり得る。

⚠️ やCTでは全層(上皮〜軟骨)を採取できないため、生検検体でを測定することはできない。 測定対象は・外科に限られる。

⚠️ 測定する気管支のレベルや固定・の条件によって値が変動しやすく、施設間・研究間で数値を単純に比較できない。

⚠️ 喫煙者ではの腺肥大があっても臨床的な咳・喀痰の程度との相関が弱いことがあり、形態と症状は完全には一致しない。

⚠️ が反映するのは粘液腺肥大という所見であり、COPDの程度や肺気腫の重症度(など)は評価しない。COPDの重症度判定には使わない。

まとめ

  • は、の厚さをの厚さ()で割った形態指数である。
  • 目安として正常は0.4未満、は0.5超とされるが、原著・教科書間で数値にはばらつきがある。
  • 全層を要するためでしか測定できず、生検検体や日常診療の診断には使えない。
  • の診断は臨床的な咳・喀痰の持続期間で行うものであり、はその形態学的裏づけにすぎない。