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Symptoms · Published

喀痰

Sputum

臓器系
呼吸器
科目
PathologyPulmonologyOncologyInternal MedicinePediatrics
トピック
病理学 C/20:閉塞性肺疾患(気管支喘息・気管支拡張症)呼吸器内科 21:COPDと肺気腫腫瘍学 II-26:肺癌の疫学・病因・組織型・病期・症状・診断内科学 S-55:結核小児科学 3-49:HIV感染症と結核
関連疾患
気管支拡張症結核市中肺炎肺癌肺膿瘍慢性閉塞性肺疾患

🧠 全体像:喀痰は物が体外にされたものであり、評価は量・性状(漿液性・・膿性・血性)・色の3軸で行う。の性状(乾性・湿性)が「痰が出るかどうか」を扱うのに対し、こちらは「出た痰そのものの中身」を扱う。もっとも陥りやすい誤りは色だけで細菌感染の有無を判断することで、量の変化(普段よりどれだけ増えたか)と経過(急性か慢性か)を合わせて初めて意味が出る。

性状と量による分類

性状 色調・特徴 機序 代表的な状況
漿液性 水様、無色〜淡黄色。状のことがある 血漿成分の滲出が主体で細胞成分に乏しい 肺水腫の。大量なら下記の特殊型
透明〜白色、粘稠 からの粘液分泌亢進。好中球は目立たない を伴わない単純な、気道炎症の軽症例
膿性 黄色〜緑色、 好中球とその分解産物()の混入 細菌性気道感染の増悪期、
血性 血液を含む。すじ状の混入から血液そのものまで幅がある 気道・肺実質の血管損傷 下記「血性痰」で扱う

💡 大量の漿液性痰()は特定の腫瘍を示唆することがある。 1日100 mLを超える水様痰の持続は)と呼ばれ、頻度は高くないが粘液産生性の腺癌(かつてと呼ばれた組織型)で特徴的とされる。でもでもない大量の水様痰という組み合わせは、感染症だけで説明しようとすると見落としやすい。

色だけで細菌感染と判断しない

⚠️ 痰の色は好中球の量を反映するだけで、原因菌の有無を教えない。 黄色・緑色はによる色調であり、気道へのは自然免疫反応の一部として細菌感染でもウイルス感染でも起こる。ウイルス性気管支炎でも数日にわたって膿性の痰が続くことは珍しくなく、「痰が黄色くなった=抗菌薬が要る」という短絡は避ける。

抗菌薬の適応は色調単独ではなく、症状の経過・重症度・随伴する発熱や呼吸困難の増悪と組み合わせて判断する。COPD増悪では喀痰の膿性化が抗菌薬適応を判断する構成要素の一つとして扱われるが、これも膿性化だけでなく喀痰量の増加・呼吸困難の増悪と併せて評価するものであり、色調1項目で決めるものではない。

慢性の膿性喀痰:気管支拡張症と慢性気管支炎

慢性の湿性喀痰は、連続する2年間、各年で3か月以上持続するという頻度基準で臨床的にと定義される。この段階の痰はを伴わないことが多く(単純)、同じ機序が進むとCOPDへ移行しうる。

一方、ではの不可逆的な拡張と慢性のが結びつき、大量・膿性の喀痰が持続の中核になる。増悪期には喀痰量の増加と膿性化が同時に進みやすく、この変化を追うことが増悪の早期発見につながる。まで進むと悪臭を伴うになる。

病態 喀痰の特徴 量の目安
単純 なし 増悪期以外は少量〜中等量
膿性、しばしば大量 体位(特に臥位から起き上がった直後)で増える
悪臭を伴う 時に増加

血性痰と喀痰が得られないとき

血液を含む喀痰は量と経過で評価が大きく変わるため独立して扱う。すじ状に血液が混じる程度か、血液そのものがされているかをまず区別し、後者・反復例・大量例は喀血の枠組みに評価を引き継ぐ。

逆に、喀痰が得られない、あるいは得づらい患者もいる。小児の肺結核は排菌量が少なく()、自然に十分量をできないことが多いため、などで検体を代替する。のような非定型肺炎は、症状の中心が持続するであり喀痰が目立たないため、「痰が出ない=軽症」ではなく起因菌の性質の違いとして理解する。

まとめ

  • 喀痰は量・性状(漿液性・・膿性・血性)・色の3軸で評価する。
  • 色だけで細菌感染と判断しない。黄色・緑色はによる色調で、ウイルス感染でも生じる。
  • 抗菌薬の適応は色調単独ではなく、症状の経過・重症度・随伴症状と組み合わせて判断する。
  • 慢性の湿性喀痰(連続2年、各年3か月以上)は臨床的にと定義される。を伴わないと、膿性・大量が持続するは区別する。
  • 大量の漿液性痰()は頻度は低いが粘液産生性の腺癌を示唆しうる。
  • 血液を含む喀痰は量と経過で評価が変わるため、喀血・の枠組みへ引き継ぐ。
  • 小児の肺結核や非定型肺炎では、主体という理由で喀痰が目立たないことがある。