内科学

内科学 · S-55

結核

Tuberculosis

前提:病態
ヒト結核の起因菌、らい菌
疾患
結核多剤耐性結核
症状
寝汗喀痰

🧠 全体像:結核は群による症で、とを区別する。活動性肺結核を疑えば隔離、、培養・を同時に進め、耐性結果と病変部位に合わせてする。

臨床像

  • 肺結核:長引く咳、喀痰、、発熱、、体重減少。が典型だが、免疫不全では
  • :リンパ節、胸膜、骨・関節、泌尿生殖器、腹膜、髄膜、
  • 、阻害薬、移植、、、最近の感染・濃厚接触は発病リスクを高める

診断

flowchart TD
    A["活動性肺結核を疑う"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airborne transmission'>空気感染</span>隔離"]
    B --> C["喀痰など複数検体を採取"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acid-fast smear'>抗酸菌塗抹</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid molecular test'>迅速分子検査</span>"]
    C --> E["培養+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antimicrobial susceptibility testing'>薬剤感受性試験</span>"]
    D --> F["画像・病理・臨床像と統合"]
    E --> G["耐性結果でレジメン調整"]

(TST)と()は感染を示すが、活動性とを区別できず、の除外にも使えない。接種歴があるとTSTは偽陽性になりやすく、その場合はを優先する1。()はとリファンピシン耐性推定に有用だが、培養・を省略しない。は推奨を初期検査とし、になりやすい感染者・小児では呼吸器検体に加えて便や尿LF-LAMを同時に検査して感度を補うことを勧めている2。

薬剤感受性結核の治療

標準は2か月の・リファンピシン・・後、4か月の・リファンピシン、すなわち2HRZE/4HRである。適格例には・を含む検証済み4か月レジメンもあるが、全例を自己流に短縮しない。

💡 4か月レジメンの中身を覚える。 は(H)・(P)・(M)・(Z)を2か月、続けてHPMを2か月、すなわち2HPMZ/2HPMとして現行推奨に載せている3。米国も12歳以上の薬剤感受性肺結核に限った選択肢として同じ4薬構成を暫定指針で認めた4。標準の2HRZE/4HRが置き換えられたわけではなく、病変部位・感受性・妊娠・薬物相互作用の適格性を満たした例だけが対象である。

薬剤 重要な有害事象・注意
肝障害、末梢神経障害;リスク群では併用
リファンピシン 肝障害、体液橙色化、強い薬物相互作用
肝障害、
;視力・を確認

髄膜炎・などは治療期間やステロイド併用が異なる。服薬支援、感染者、を部門と連携する。

薬剤耐性と潜在性結核

分類 現行定義の要点
MDR/ リファンピシン耐性、またはリファンピシン+耐性
MDR/に加えて
MDR/++またはリネゾリド耐性

は全経口・感受性に基づく短期レジメンを含め専門施設で選ぶ。旧来の画一的な長期注射レジメンを標準としない。は活動性疾患を除外後、・の短期レジメンなどを背景と相互作用に応じて選択する。

⚠️ MDR/の標準は6か月の全経口に置き換わった。 2026年指針(第2版)は、適格なMDR/にBPaLM(++リネゾリド+)6か月を提案する。の肺結核()では重症度で分け、非重症ならを外したBPaL、重症ならをに替えたBPaLCとする。を使えない患者にはBDLLfx/C(++リネゾリド++)があり、非重症のではBDLCとして用いるが、重症のには用いない3。全例に注射薬入り18〜24か月治療を課す旧来の固定方針は現行推奨ではない。

💡 の短期レジメンを名前で覚える。 2024年指針が挙げるのは、週1回+3か月の3HP、毎日+1か月の1HP、毎日リファンピシン4か月の4R、毎日+リファンピシン3か月の3HR、そしてリファマイシンが使えない場合の6H・9Hである。MDR/患者のには6か月(6Lfx)を用いる5。いずれもを除外してから始め、ARTなど併用薬との相互作用を確認する。

まとめ

  • 活動性肺結核を疑えば、確定前でも隔離と迅速検査を開始する。
  • TST/陽性だけではと診断できない。
  • 標準2HRZE/4HRとレジメンを混同せず、培養・感受性結果で最適化する。

出典

  1. 1.Clinical Testing Guidance for Tuberculosis: Tuberculin Skin Test(Centers for Disease Control and Prevention・2025)ツベルクリン皮膚試験の投与・判定法、リスク別陽性閾値、BCG接種者でIGRAを優先することを確認した。閲覧 2026-08-25
  2. 2.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 3: diagnosis(World Health Organization・2025)WHO推奨迅速分子検査を初期検査とすること、およびHIV感染者・小児では呼吸器検体、便、尿LF-LAMを同時に検査して感度を高めることを確認した。閲覧 2026-08-25
  3. 3.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: treatment and care, second edition(World Health Organization・2026)2026-09-27に第2版(ISBN 978-92-4-012512-4)のPDF本体で確認した。推奨A2.1が12歳以上の薬剤感受性肺結核に4か月のイソニアジド・リファペンチン・モキシフロキサシン・ピラジナミド(脚注で2か月HPMZに続く2か月HPM、2HPMZ/2HPM)を用いてよいとし、薬剤感受性結核の推奨は第1版から不変であること。推奨B1.1(更新)がMDR/RR-TBに6か月のBPaLMを提案し、B1.1a・B1.1b(新規)が肺pre-XDR-TBの非重症にBPaL、重症にクロファジミンを加えたBPaLCを提案すること。B1.2(更新)がBDLLfx/CをBPaLMを使えない患者の選択肢として残し、B1.2a(新規)が非重症の肺pre-XDR-TBにBDLCを提案し、B1.2b(新規)が重症の肺pre-XDR-TBにBDLCを用いないよう提案すること。閲覧 2026-09-27
  4. 4.Interim Guidance: 4-Month Rifapentine-Moxifloxacin Regimen for the Treatment of Drug-Susceptible Pulmonary Tuberculosis - United States, 2022(Centers for Disease Control and Prevention・2022)12歳以上の薬剤感受性肺結核で、リファペンチン、モキシフロキサシン、イソニアジド、ピラジナミドを含む4か月レジメンを選択肢とすることを確認した。閲覧 2026-08-25
  5. 5.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 1: Prevention – Tuberculosis preventive treatment, second edition(World Health Organization・2024)結核予防治療のレジメン(3HP・1HP・4R・3HR・6H/9H、MDR/RR-TB接触者への6Lfx)が2024年時点のWHO現行推奨であることを確認した。閲覧 2026-08-25