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Schizas分類

Schizas classification

別名
Schizas gradingシザス分類
臓器系
運動器神経
科目
Macroscopic Anatomy and Embryology (Macroscopic Anatomy)Neurology
トピック
解剖学 1.4:背部・脊柱:脊髄と髄膜神経内科 G1-25:脊柱管・脊髄の占拠性病変

🧠 全体像:は、の()で、の中に脳脊髄液がどれだけ見えるか・がどう分布するかだけを見て重症度を7段階に分ける形態分類である。断面積をmm²で測る定量評価と違い、ツールもカーソル操作も要らない。ただし原著が示したのは「症状とよく相関する」ことではない——面積とは別の患者を「狭窄」と判定すること、そしてC・D級は保存療法に失敗しやすいという予後情報である。したがってこの分類は、手術適応を決めるではなく、画像の重症度を施設間で同じ言葉に揃えるためのとして使う。

目的と適用場面

内容
目的 の重症度を、を用いずに形態で段階づける
評価の種類 画像所見の。加えて保存療法の成否に関する予後情報を持つ
対象 変性性のが疑われ、のがある患者
判定単位 位ごとに1つの級をつける(患者に1つではない)
使う場面 所見の記載、施設間・研究間での重症度の共有、保存療法の見通し
評価しないもの 症状の重症度、・の狭窄、手術適応そのもの

💡 なぜ面積ではなく形態なのか。 断面積は最も普及した定量指標だが、有症状者と無症状者で記録される面積が大きく重なる——これが原著が挙げた出発点である1。同じ面積でも症状がある人と無い人がいるなら、面積という1つの数値は狭窄の何かを取りこぼしている。Schizasらはその「取りこぼし」を、神経組織そのものが押されているかどうか、すなわちが脳脊髄液の中で泳いでいるか、詰まって動けなくなっているかに求めた。

構成要素と配点

判定に使うのはの1枚だけで、も症状も使わない。の中のと脳脊髄液の比を見て、まずA・B(脳脊髄液が見える)とC・D(脳脊髄液が全く見えない)に分け、Aをさらに4つに分ける1。

A級(狭窄なし〜軽度) — 内に脳脊髄液が明瞭に見える。ただしその分布は不均一で、が寄っている側と脳脊髄液が溜まっている側がある2。

級 の分布
A1 背側に寄り、の面積の半分未満を占める
A2 背側に寄り硬膜と接するが、の配置をとる
A3 背側に寄り、の面積の半分以上を占める
A4 中央に寄り、の面積の大半を占める

B級以降 — 脳脊髄液の見え方で切る。

級 呼び方 所見
B 中等度狭窄 が全体を占めるが、なお1本ずつ見分けられる
C が1本も見分けられず、は均一な灰色信号で脳脊髄液の信号が見えない。ただし後方に脂肪がある
D 極度狭窄 が見分けられず、後方の脂肪も無い

⭐ 臨床的な切れ目はB級とC級の間にある。 A1〜A4は「がどこに寄っているか」の違いにすぎず、いずれも脳脊髄液は見えている。で最初に決めるべきは細分ではなく、脳脊髄液の信号が残っているかどうかである。

💡 C級とD級を分けるのはの外の所見である。 どちらもの中は同じ灰色一色で、区別できるのは後方の脂肪が残っているかどうかだけ。脂肪まで消えているD級は、狭窄がの内側だけで完結していないことを意味する。

解釈とカットオフ

級 重症度 読み方
A1〜A4 狭窄なし〜軽度 手術に至る例は少ない
B 中等度 同上。症状との対応を診察所見で確かめる
C 高度 保存療法がしにくい群
D 極度 同上

原著の95人(手術に至った有症状例37人・保存治療の有症状例31人・のみ27人)では、C・D級の患者は保存療法に失敗しやすく、A・B級は手術に至りにくかった1。手術群は断面積も最小で、C・D級の割合も高かった。

⭐ 面積とこの分類は、同じ患者集団から違う人を選び出す。 原著の比較では、面積による判定は35人で狭窄を過大に、12人で過小に判定した1。呼び元のに挙げたでの断面積基準(狭窄75mm²未満・相対的狭窄100mm²未満)とは測っているものが違うので、どちらかがどちらかの代用になるとは考えない3。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 症状の重さは予測しない。 原著では、狭窄の級も断面積も、ベースラインのOswestry Disability Indexとも手術成績とも関係が見いだせなかった1。「形態分類の方が症状とよく相関する」という言い方は原著の結果を超えている。この分類が面積に対して持つのは症状との相関ではなく、保存療法の成否という予後情報である。

⚠️ 級だけで手術適応を決めない。 D級でも無症状のことがあり、A級でも強いを訴えることがある。が答えるのは「圧迫があるか」ではなく「症状・診察所見とが一致するか」である(画像所見と症状の対応づけも参照)。

⚠️ しか見ていない。 は狭窄を評価対象に含まない。A3・A4のようにの脳脊髄液が保たれていてもが狭いことがあり、狭窄の見落としは手術後に症状が残る主因と考えられている2。も同様に対象外である。

⚠️ 観察者間の一致は中等度にとどまる。 原著では観察者内一致がκ=0.65と高かったのに対し、観察者間一致はκ=0.44と中等度にとどまり、分類を考案した施設のどうしでのみ高い一致が得られた1。一方、教材で事前に学習させた5人による独立検証では観察者間一致はICC 0.827〜0.983と良好で、学習可能な分類であることが示されている2。読み手を訓練しなければ施設間で級が揃わないと理解する。

⚠️ L5/S1は判定が不安定になる。 同じ独立検証で、他ののICCが0.94以上だったのに対しL5/S1だけ0.827〜0.828と落ちた。がもともと狭くの本数も少ないため、「半分未満か以上か」「1本ずつ見分けられるか」という基準が適用しにくい2。

⚠️ 仰臥位・で撮ったの所見である。 の症状は立位・伸展で悪化するため、症状が出ている姿勢での狭窄をこの級は表していない。には放射線学的なそのものに合意が無く、この分類も合意された基準ではなく複数ある提案の1つである3。

まとめ

  • はので、内のと脳脊髄液の比を見て7段階(A1〜A4・B・C・D)に分ける形態分類で、を要さない。
  • A・Bは脳脊髄液が見え、C・Dは全く見えない。C級とD級は後方の脂肪の有無で分ける。
  • 級は位ごとに付ける。臨床的な切れ目は細分ではなくB級とC級の間にある。
  • C・D級は保存療法に失敗しやすいが、級も、代わりに使われる断面積も、症状の重さや手術成績とは相関しなかった。級だけで手術適応を決めない。
  • だけを見ており・の狭窄を評価しない。観察者間一致は訓練しなければ中等度にとどまり、L5/S1では特に揺れる。

出典

  1. 1.Qualitative grading of severity of lumbar spinal stenosis based on the morphology of the dural sac on magnetic resonance images(Spine (Phila Pa 1976)・2010)抄録(Summary of background data・Methods・Results・Conclusion)で確認した内容。狭窄の評価に一般に用いられる硬膜嚢断面積は有症状者と無症状者で大きく重なること、本分類がT2強調軸位断における硬膜嚢の形態(馬尾と脳脊髄液の比)に基づく7段階でA・Bは脳脊髄液が見えCとDは全く見えないこと、手術例37人・保存治療例31人・腰痛のみ27人の計95人に適用したこと、観察者内一致がκ=0.65・観察者間一致がκ=0.44で、原文はそれぞれ substantial・moderate と評価し、分類の考案施設の医師どうしでは substantial だったとしていること、手術群は硬膜嚢断面積が最も小さくC・D級の割合が高かったこと、面積計測は35人で狭窄を過大に・12人で過小に判定したこと、狭窄の級・硬膜嚢断面積のいずれもベースラインのOswestry Disability Index・手術成績と関係が見いだせなかったこと、C・D級は保存療法に失敗しやすくA・B級は手術に至りにくかったことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Clinical validity of two different grading systems for lumbar central canal stenosis: Schizas and Lee classification systems(PLOS ONE・2020)全文(Materials and methods の「MRI grading systems for lumbar central canal stenosis」節、Results、Discussion)で確認した内容。A1〜A4・B・C・Dの各級の定義そのもの、この分類を事前に知らない5人の読影者(臨床フェロー2人・放射線科研修医1人・脳神経外科医1人・整形外科医1人)が70人・280椎間を2か月間隔で2回判定した設計、観察者間一致がICC 0.827〜0.983で全高位で良好だがL5/S1のみ0.827〜0.828と低いこと、再現性がICC 0.652〜0.996で中等度〜良好だったこと、L5/S1は中心管が狭く馬尾の数も少ないため判定が難しいという考察、著者らが臨床症状・神経学的所見・臨床転帰との相関を検討していないと明記していること、Schizas分類が外側陥凹狭窄を評価対象に含まないことを交絡として挙げ、外側陥凹狭窄の見落としが腰椎手術後の failed back surgery の主因と考えられていると述べていることを確認した。閲覧 2026-08-20
  3. 3.Lumbar Spinal Stenosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)Diagnostic Evaluation 節で、非造影MRIが腰部脊柱管狭窄症の第一選択の画像診断でありCTより軟部組織分解能に優れること、CTでの断面積75mm²未満・100mm²未満をそれぞれ絶対的・相対的狭窄とすること、MRIに基づくSchizas分類を含むMRIベースの分類が高い診断精度を持つとされること、腰部脊柱管狭窄症の放射線学的診断基準に合意が無いことを確認した。閲覧 2026-08-20