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Spinal Instability Neoplastic Score

Spinal Instability Neoplastic Score

別名
SINS
臓器系
運動器腫瘍
科目
Oncology
トピック
腫瘍学 II-40:転移の放射線療法と腫瘍リハビリテーション腫瘍学 II-39:腫瘍救急
構成:症状
骨痛
構成:画像所見
溶骨性病変造骨性病変

🧠 全体像:SINSは、脊椎の腫瘍性病変(多くは転移性)を持つ患者で「このまま放射線療法・薬物療法で経過を見てよいか、脊椎外科に安定化手術を相談すべきか」を6項目・合計0〜18点で層別化するである。リスクを評価するのに対し、SINSは脊椎専用で、部位・疼痛という臨床情報に加え、の性質・アライメント・椎体虚脱・後側方要素という4つの画像所見を組み合わせる点に特徴がある。

目的と適用場面

内容
目的 脊椎の腫瘍性病変による脊椎不安定性の程度を層別化し、脊椎外科への相談要否を判断する
対象 脊椎に腫瘍性病変(多くは転移性、まれに原発性)が確認された患者
使う場面 の画像評価後、疼痛緩和・放射線治療単独で対応するか、脊椎外科へ安定化手術を相談するかの判断
評価しないもの リスク(が担う)、圧迫の重症度そのもの、手術適応の最終決定

2010年、Spine Oncology Study Group(Fisher CGら)が提唱した。それ以前は脊椎腫瘍性病変の不安定性をどう定義するかについて診療科間で一致したガイドラインがなく、外科医の経験的判断に委ねられていた。系統的レビューとmodified によるコンセンサスを統合し、部位・疼痛・の性質・脊椎アライメント・椎体虚脱・後側方要素という6つの臨床的・放射線学的を組み合わせて点数化することで、脊椎外科医への相談が必要な患者を他科の臨床医も同定できるようにすることを狙った1

構成要素と配点

6項目の配点は項目ごとに幅が異なり、合計0〜18点になる。5項目は画像所見、1項目(疼痛)のみがである2

部位(脊椎の可動性)

0点 1点 2点 3点
硬性(S2〜S5) 半硬性(Th3〜Th10) 可動性脊椎(C3〜C6、L2〜L4) 移行部(〜C2、C7〜Th2、Th11〜L1、L5〜S1)

疼痛

0点 1点 3点
無痛病変 時々の疼痛だが機械的でない 機械的疼痛(臥位で軽減し、体動・荷重で増悪する)

の性質

0点 1点 2点
が混在)

脊椎アライメント

0点 2点 4点
正常 新規変形( ・転位あり

椎体虚脱

0点 1点 2点 3点
虚脱なし 虚脱はないが椎体の50%超が病変に占拠される 50%未満の虚脱 50%超の虚脱

後側方要素の関与の骨折または

0点 1点 3点
なし 片側性 両側性

⭐ 配点は項目ごとに飛び番になっている。疼痛と後側方要素は0・1・3点で2点が存在せず、アライメントは0・2・4点で1点・3点が無い。上限は3+3+2+4+3+3=18点になる2

⭐ 6項目のうちの性質は、評価者間で最もが低い項目として繰り返し報告されている。Spine Oncology Study Group自身による検証では観察者間kappaが0.244(部位0.790・疼痛0.841に比べ突出して低い)、整形外科・のレジデント・フェローを対象にした検証でも0.382と、経験年数を問わず判定が割れやすい32

解釈とカットオフ

合計点は3区分に対応づけられ、7点以上が脊椎外科への相談を検討する目安となる13

合計点 分類 対応
0〜6点 安定 安定化は通常不要。放射線治療・薬物療法(骨修飾薬など)で対応する
7〜12点 不確定な安定性 脊椎外科へのコンサルトが推奨される
13〜18点 不安定 安定化の適応となることが多く、脊椎外科への相談が強く推奨される

💡 この分類は「潜在的に不安定〜不安定」(7点以上)の病変を検出する感度95.7%・特異度79.5%と報告されており、見逃しを避けるスクリーニングツールとして設計されている。総スコア自体のは高く、観察者間ICCは原著で0.846、経験の浅い評価者を含めた検証でも0.990に達する32

限界と使ってはいけない場面

⚠️ SINS単独で手術適応を決めない。 脊椎外科への相談が必要かどうかを見分けるスクリーニングツールであり、実際に手術で安定化するかどうかは、所見、全身状態・予後、などと合わせて脊椎外科医が総合的に判断する1

⚠️ 総スコアのは高いが、項目ごとのにはばらつきがある。 部位・疼痛は評価者間で高い一致を示す一方、の性質・脊椎アライメント・椎体虚脱・後側方要素は中等度にとどまり、特にの性質は原著の検証・トレーニングを対象にした検証のいずれでも最も低いだった32

⚠️ リスクには使えない。 の転移性病変にはなど別の体系を用いる。

⚠️ 脊椎外科医以外(放射線腫瘍医など)が判定した場合も、脊椎外科医のと比較した検証では良好な一致(kappa 0.76〜0.80)を示し、不安定病変の見逃し例は報告されていない。ただし対象は限られた症例数の検証研究であり、あらゆる診療科・症例数での再現性が確立しているわけではない4

まとめ

  • SINSは脊椎の腫瘍性病変を、部位・疼痛・の性質・脊椎アライメント・椎体虚脱・後側方要素の6項目、合計0〜18点で採点する。
  • 0〜6点は安定、7〜12点は不確定な安定性、13〜18点は不安定に分類し、7点以上で脊椎外科へのコンサルトが推奨される。
  • 潜在的に不安定〜不安定の病変を検出する感度は高く、総スコアのも高いが、の性質など一部の項目は評価者間でが低い。
  • には適用できず、その場合はを用いる。
  • SINS単独で手術適応を決めず、所見・全身状態・予後と合わせて脊椎外科医が判断する。

出典

  1. 1.A Novel Classification System for Spinal Instability in Neoplastic Disease: An Evidence-Based Approach and Expert Consensus From the Spine Oncology Study Group(Spine (Phila Pa 1976)・2010)Spine Oncology Study Groupが系統的レビューとmodified Delphi法を統合し、脊椎腫瘍性病変の不安定性を定義するガイドラインが無かった状況に対し、部位・疼痛・骨病変の性質・脊椎アライメント・椎体虚脱・後側方要素の6項目からなるSINSを策定したこと、この分類が患者症状と脊椎の放射線学的基準に基づき、脊椎外科医への相談が必要な患者を臨床医が同定する助けとなる体系として提案されたことを報告した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Spinal Instability Neoplastic Score (SINS): Reliability Among Spine Fellows and Resident Physicians in Orthopedic Surgery and Neurosurgery(Global Spine Journal・2017)Fisherらの原著に基づくSINS6項目の配点表(部位0〜3点、疼痛0/1/3点、骨病変の性質0〜2点、アライメント0/2/4点、椎体虚脱0〜3点、後側方要素0/1/3点、合計0〜18点)を再掲した。整形外科・脳神経外科のレジデント23名とフェロー2名、計25名の評価者による30症例の評価で、総スコアの観察者間ICCが0.990、観察者内ICCが0.907と極めて高い一致を示した一方、項目別では骨病変の性質のkappaが観察者間0.382・観察者内0.576と6項目中最も低く、経験の浅い評価者でも最も判定が割れやすい項目であることを報告した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Spinal Instability Neoplastic Score: An Analysis of Reliability and Validity From the Spine Oncology Study Group(Journal of Clinical Oncology・2011)30例の脊椎腫瘍患者データをSpine Oncology Study Groupのメンバーが評価し、SINSによる不確定な安定性・不安定性病変の検出感度95.7%・特異度79.5%、総スコアの観察者間ICC 0.846・観察者内ICC 0.886という高い信頼性・妥当性を報告した。一方で項目別の観察者間kappaは部位0.790・疼痛0.841に対し骨病変の性質0.244・アライメント0.456・椎体虚脱0.462・後側方要素0.492と項目間でばらつきが大きく、骨病変の性質が最も一致率の低い項目であったことを報告した。閲覧 2026-08-10
  4. 4.Reliability of the Spinal Instability Neoplastic Score (SINS) among radiation oncologists: an assessment of instability secondary to spinal metastases(Radiation Oncology・2014)放射線腫瘍医によるSINS判定(安定 vs 不確定な安定性・不安定性の2値評価)は、脊椎外科医のゴールドスタンダードと比較して観察者間kappa 0.76・観察者内kappa 0.80、総スコアのICCは観察者間0.80・観察者内0.88と良好な信頼性を示し、不安定と判定されるべき症例が放射線腫瘍医によって安定と誤判定された例は無く、いずれも適切に脊椎外科への相談が推奨されたことを報告した。閲覧 2026-08-10