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Symptoms · Published

下垂足

Foot drop

別名
drop foot
臓器系
神経運動器
科目
Neurology
トピック
神経内科 G2-10:歩行障害の分類
関連疾患
総腓骨神経麻痺

🧠 全体像:は「をできない」という所見であり、がL5神経根から・まで、どこにあってもよい点が診察の出発点になる。鑑別の軸は2つ——①()と()が保たれているか(では落ち、では保たれる)、②両側性か片側性か・急性か緩徐進行か(両側緩徐進行ならを考える)。この2軸での高さを絞り込んでから、圧迫・外傷・代謝性・遺伝性という原因の性質を鑑別する。

定義と用語の整理

  • は筋群(を中心とする)の筋力低下による状態を指し、単一の疾患名ではなく所見名である1。
  • にが下垂して床に引っかかるのを避けるため、股・膝を通常より高く上げて振り出す代償歩行をと呼ぶ。

病態生理

に関わる経路のどこが障害されてもになりうるため、経路に沿ってを整理すると理解しやすい。

のレベル 代表疾患 以外に落ちる機能
L5神経根 ()、()
大腿・下腿の広い範囲の筋力低下
、足底の感覚
足の(領域)のみ

⭐ とはL5神経根を経由するがは通らない。 したがってではこの2つが保たれ、では落ちる——これがを見たときの最初の分岐になる2。

⚠️ 緊急・見逃してはいけない病態

状況 見逃してはいけない理由
(など)に伴う急性 牽引によるであり、を合併しうる。麻痺の評価より先に血行を評価する
・両側性の+膀胱直腸障害 を含む緊急脊椎病変を疑う
圧迫性腫瘤・急性の裂傷・高度のを伴う例 保存的治療で経過をみずを検討すべき所見である3

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='foot drop'>下垂足</span>を認める"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='varus / inversion'>内反</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tibialis posterior'>後脛骨筋</span>)は保たれているか"}
    B -->|"落ちている"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hip abduction'>股関節外転</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gluteus medius'>中殿筋</span>)も落ちているか確認"]
    C -->|"落ちている"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='L5 radiculopathy'>L5神経根症</span>を疑う"]
    B -->|"保たれている"| E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='eversion'>外反</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='superficial fibular nerve'>浅腓骨神経</span>領域)は保たれているか"}
    E -->|"落ちている"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='common peroneal nerve palsy'>総腓骨神経麻痺</span>を疑う(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='head of the fibula'>腓骨頭</span>の圧迫・牽引歴を確認)"]
    E -->|"保たれている"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep fibular nerve'>深腓骨神経</span>単独障害を疑う(稀)"]
    D --> H{"両側性・緩徐進行か"}
    H -->|"はい"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hereditary neuropathy'>遺伝性ニューロパチー</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Charcot-Marie-Tooth disease'>Charcot-Marie-Tooth病</span>など)を検討"]

(・)はの高さと重症度を確認し、・予後の判定に役立つ3。

対症療法の考え方

そのものを直接治す薬物療法はなく、原疾患の治療と並行してがの挙上を代償し、との改善に用いられる。多くは・・で改善するが、難治例・圧迫性腫瘤・が疑われるではや・を検討する1。

まとめ

  • はL5神経根からまでどこの障害でも起こりうる所見であり、単一疾患名ではない。
  • ()と()が保たれているかどうかが、とを分ける最初の分岐になる。
  • に伴うはとの合併を疑い、麻痺の評価より先に血行を確認する。
  • 両側性・緩徐進行ならを鑑別に加える。
  • 治療の柱はと原因治療で、難治例・急性の裂傷では外科的介入を検討する。

出典

  1. 1.Foot Drop(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)足下垂が背屈筋群の弱化・麻痺による前足挙上不能の状態であり、原因は圧迫性ニューロパチー・外傷・自己免疫性・遺伝性・脊椎由来と多岐にわたりL5神経根症に限らないこと、評価は神経学的診察・代謝検査・画像検査・筋電図検査で行うこと、L5神経根症では腰部から後大腿・前外側下腿・足へ放散する神経障害性疼痛を伴うのに対し、総腓骨神経麻痺では下腿交差の習慣・長時間の跪座・不動・外傷といった病歴があり感覚障害が下腿外側と足背前外側に限局する点で区別されることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Peroneal Nerve Injury(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)総腓骨神経損傷の最も多い臨床像が足関節背屈の筋力低下による古典的な下垂足であること、深腓骨神経が足関節背屈と母趾伸展を、浅腓骨神経が足の外反を担うことを確認した閲覧 2026-09-05
  3. 3.Peroneal Nerve Palsy: Evaluation and Management(Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons・2016)腓骨神経麻痺の最も多い初発像が急性の完全または部分的な下垂足であり足や下腿のしびれを伴いうること、電気診断検査が病巣の局在と治療方針・予後の判定に役立つことを確認した閲覧 2026-09-05